2016年3月2日 投資情報室 新興国レポート インド:2016年度予算案について 歳出11%増 財政赤字削減目標は堅持 インド政府は2月29日、2016年度(2016年4月~2017年3月)の予算案を発表し、議会に提出しました。中国 等新興国の景気減速懸念が強まる中、インフラ投資を積極化する等、景気配慮型の予算案となっていま す。主な内容は以下の通りです。 ① 歳出総額は2015年度見込みに比べ約11%増の約19.8兆インドルピー(1インドルピー=1.65円換算(以下 同じ)で約32.6兆円)。増加率は約6年ぶりの大きさ。歳入の内、税収は約11%増の約10.5兆インドルピー (約17.4兆円)を見込む。2015年度見込みが前年度比約5%増であるのに対し、約倍の伸びを予想。 ② 道路・鉄道・電力等、インフラ投資向けに2015年度見込みに比べ約22%増の約2.2兆インドルピー(約3.6兆 円)を計上。 ③ 農業関連予算を同約84%増の約4,800億インドルピー(約7,900億円)計上し、農業の活性化を図る。 ④ 国内総生産(GDP)に対する2016年度の財政赤字比率は、2015年度見通しの3.9%から3.5%に圧縮する。 今回の予算案には、今年3月以降にインド国内に新設される製造業の税率軽減等、以前から公約に掲げて いた法人減税のための具体策が盛り込まれています。現在30%の法人税率を、2019年度までに25%まで 段階的に引き下げていく方針です。 インド株式・為替市場の動向 財政赤字削減目標の実現可能性に対する懐疑的な見方等から、予算発表当日のインド株式市場(SENSEX指 数)は前週末比小幅下落しました。しかし、翌日(3月1日)は、法人減税やインフラ整備等が進めば海外企業の 進出が一段と積極化するとの見方、財政赤字削減目標が堅持されていたことを評価する動き等から買い直さ れ、前日比3%を超える上昇となりました。予算案発表後、為替市場ではインドルピー(対米ドル)が買われ、債 券市場ではインド10年国債金利が低下(価格上昇)しています。 現在、インドでは予算国会が開かれています。当国会では前国会で野党等の合意が得られなかった、現状の 複雑な税体系の簡素化や税収の安定化等をはかるための「物品・サービス税(GST)」の導入法案が再度審議 されるものと思われます。 モディ首相率いるインド人民党は昨年後半の主要州の議会選挙で大敗を喫しており、一部では指導力にかげ りが見え始めたとの指摘もあるようです。法人減税を含む2016年度予算案及びGST法案が今国会で成立する のか、モディ首相がリーダーシップを発揮できるのか、大変重要な時期を迎えているように思われます。 図表2:インドルピー(対米ドル)推移 図表1:インド株式市場(SENSEX指数)推移 (2015年12月1日~2016年3月1日 日次) 27,000 65.0 (インドルピー) (2015年12月1日~2016年3月1日 日次) 7.95 (%) SENSEX指数 26,000 インドルピー高 金利上昇 66.0 7.85 25,000 67.0 7.75 68.0 7.65 24,000 23,000 インドルピー(対米ドル)(左軸)<逆目盛> 10年国債金利(右軸) 69.0 22,000 15/12 16/1 16/2 16/3 7.55 15/12 16/1 (年/月) 16/2 16/3 (年/月) 出所:図表1~2はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価 証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将 来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投 資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 01/01 (審査確認番号H27-TB207)
© Copyright 2025 ExpyDoc