2016年1月27日 投資情報室 新興国レポート インド債券・為替市場の動向と今後の見通し インド債券・為替市場の動向 グローバルな金融市場では、中国をはじめとする新興国経済への懸念や原油価格の下落を受け、警戒的な 動きが続いています。しかしながら、インド債券は昨年末以降、金利は小動きで落ち着いた推移となっていま す。また、為替(対米ドル)については、リスク回避の動き等からインド・ルピーも下落していますが、新興国通 貨の中では相対的な堅調さを示しています。 図表1:主要新興国通貨(対米ドル)の推移 図表2:インド国債金利の推移 (2015年7月31日~2016年1月26日 日次) 105 (2015年12月31日~2016年1月25日 日次) 7.9 (%) インド5年国債金利 インド10年国債金利 100 7.8 95 90 7.7 85 各通貨安 米ドル高 80 7.6 インドルピー メキシコペソ 75 ブラジルレアル 中国元 ロシアルーブル 70 15/7 15/8 15/9 15/10 (※)2015年7月31日を100として指数化 15/11 15/12 (年/月) (昨年末に比べ、5年債は金利低下) 7.5 15/12/31 16/1/6 16/1/12 16/1/18 16/1/24 (年/月/日) 出所:図表1~2はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成 今後の見通し ●インド債券は堅調なインド経済とともに、緩和的な金融政策により支えられてきました。インド準備銀行 (RBI)は昨年、合計で1.25%の利下げを実施しましたが、現在も緩和的な姿勢を維持しており、更なる利下げ 余地を残しているとみられています。RBIは経済成長を重視しており、インフレ率をはじめとする経済指標を確 認した上で、今年半ば頃までに更に0.5%程度の追加利下げを実施する可能性もあると考えています。 ●インフレ率(消費者物価指数)は、前年11月時点と同程度の前年比5.0%~5.5%程度のレンジに落ち着くも のとみています。世界的な景気減速や原油・商品価格の下落、昨年のモンスーン期の少雨の影響が今年は 剥落すること等が物価低下圧力となる可能性がある一方、インド経済の緩やかな回復が一定の物価上昇圧 力となることも想定されるからです。インフレ率は結局、レンジ内での推移となるものとみています。 ●インド国債の金利は低下基調が続くものとみており、10年国債の金利(1月25日時点で7.81%)が3月にかけ て7.2%~7.4%程度まで低下する局面も想定されます。ただし当面は、昨年の利下げを一旦織り込んだものと みられるため、狭い範囲での値動きを想定しています。 ●インド・ルピーは年初から下落傾向となっています(対米ドルベースで2.3%、対円ベースで3.9%下落)(1月 26日時点)が、引き続き最も有望な新興国通貨の一つであると考えています。これは、インド経済のファンダメ ンタルズ(経済の諸条件、経済の基礎的条件)が改善傾向にあると考えられることに加え、インドがエネルギー の輸入国であり、エネルギー価格下落の好影響を受けるとみているためです。 ●また、インド経済は中国経済との繋がりが比較的小さいことから、中国景気減速懸念の影響を受けにくく、 足下の不安定な金融市場が落ち着けば、インド・ルピーは再度上昇基調に転じる可能性が高いものと考えて います。 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価 証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将 来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投 資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 01/01 (審査確認番号H27-TB180)
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