2016年6月20日 投資情報室 (審査確認番号H28-TB66) 新興国レポート インド:ラジャン総裁退任表明 インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁が突然の退任表明 インド準備銀行(中央銀行)のラジャン総裁は6月18日、同行職員向けの書簡で、3年1期の任期が満了する今 年9月4日に退任し、学界に戻ることを明らかにしました。モディ首相率いるインド人民党(BJP)の支持母体であ る民族義勇団(RSS)の中に、同氏の政策に批判的で任期の延長に否定的な意見があることや(モディ首相の 1期目末である2019年5月までに10%(※)の成長率を達成できないとの見方)、同氏がBJPと対立する前政権 下で指名された総裁であることなどが一因となっている可能性があります。 (※)直近2016年第1四半期の成 長率(前年同期比)は7.9% ジャイトリー財務相は後任が近く発表される予定であると述べていますが、明確な後任候補は準備されていな いようです。 インド金融・為替市場の動向と今後の見通し 現在のインド経済は、課題とされていた高インフレが抑制され、また中国を超える高い経済成長率を記録する 等、改善傾向が明らかになりつつありますが、ラジャン総裁の金融政策の巧みな舵取りも大きく貢献しているも のと思われます。 ラジャン総裁が2期目も続投するかについては、モディ首相やジャイトリー財務相が同氏の2013年9月就任後の 物価や通貨ルピーの安定等の業績を高く評価していたこと、また同氏が破産法の制定を受けて銀行の不良債 権処理等に積極的に取り組む意向を示していたこと等から、投資家の間では続投予想が多かったものとみら れます。 ラジャン総裁の突然の退任表明は予想外の出来事であり、投資家が消化難となっている可能性があること、6 月23日の英国のEU(欧州連合)離脱をめぐる国民投票を控え様子見ムードとなっていること等から、20日のイ ンド金融・為替市場(日本時間14時現在)は比較的落ち着いた動きとなっています。 今後については、次期総裁候補が明らかにされ、金融政策の先行きに対する不透明感が後退するまでは、ラ ジャン総裁の退任で改革に遅れが出るとの懸念や次期総裁を巡る思惑等からインドの金融・為替市場は値動 きの荒い展開となることも想定されます。 図表2:インドルピー(対米ドル、対円)の推移 図表1:インド株式と10年国債金利の推移 (2016年3月1日~6月20日 6月20日は14時現在 日次) 28,000 (%) インド株式(SENSEX指数)(左軸) インド10年国債(右軸) 27,000 7.8 (2016年3月1日~6月20日 6月20日は14時現在 日次) 0.0152 1.75 (円) (米ドル) インドルピー高 米ドル安・円安 7.7 0.0151 26,000 7.6 0.0150 1.65 25,000 7.5 0.0149 1.60 24,000 7.4 0.0148 23,000 7.3 0.0147 対米ドル(左軸) 対円(右軸) 3/1 3/21 4/10 4/30 5/20 6/9 (月/日) 出所:図表1~2はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成 1.70 インドルピー安 米ドル高・円高 1.55 1.50 3/1 3/21 4/10 4/30 5/20 6/9 (月/日) ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とする ものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成して おりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示 唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。●投資する 有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商品を 勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号 1/1 加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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