2016年2月12日 投資情報室 臨時レポート 国内株式及び為替市場の動向と今後の見通し 国内株式及び為替(円/米ドル)市場の動向 世界経済の先行き不安を背景に、相対的に安全とされる円や日独米等の国債への資金流入が加速しています。一 方、リスク資産を手放す動きから国内外の株式市場は調整色を強めています。為替市場では円が米ドルに対して 昨日11日の海外市場で一時110円台まで買い進まれました。 円高加速のきっかけになったのは、10日のイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言です。「経済が 下振れすれば利上げペースを減速するのが妥当」、「中国発の市場混乱が米景気に悪影響を与えかねない」といっ た趣旨の発言が、市場の米国追加利上げ観測を後退させるとともに、米景気の先行き懸念を強めさせる結果となっ たようです。また欧州での金融機関の信用不安もリスク回避の動きを加速させたとみられています。 日銀のマイナス金利導入決定により国内金利は低下しましたが、米国金利も低下しています。2月10日時点の日米 金利差(2年もの国債金利)は年初水準に比べると縮小しており、円高/米ドル安が進みやすい環境となっています。 図表1:日経平均株価と為替(円/米ドル)動向 図表2:日米金利差(2年もの国債)動向 (2015年8月3日~2016年2月12日 日次) 22,000 126 1.2 21,000 124 1.0 20,000 122 0.8 19,000 120 0.6 18,000 118 0.4 17,000 116 0.2 (円) (円) 16,000 114 日経平均株価(左軸) 円/米ドル(右軸) 15,000 112 14,000 110 15/8 15/9 15/10 15/11 15/12 16/1 16/2 (2016年1月4日~2016年2月10日 日次) (%) 金利差(米国-日本) 日本2年もの国債金利 米国2年もの国債金利 0.0 -0.2 -0.4 (年/月) (出所)図表1、2はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成 1/4 1/14 1/24 2/3 (月/日) 今後の見通し 世界の株式市場は、 1月前半に急落した後、1月後半は一旦持ち直していました。しかし、2月に入ると原油価格 の続落、米国景気や世界景気の減速懸念、欧州金融機関の信用不安等から、再び下落基調を強めています。 米国景気はやや伸び悩んでいるものの、今後は製造業の在庫調整の進展や米ドル高の一服をうけて持ち直し が期待され、世界景気も回復に向かうと見ています。欧州における一部大手銀行の信用不安も、基本的には個 別企業の問題と考えられ、金融システムリスク全体に波及する恐れは小さいとみられます。FRB(米連邦準備制 度理事会)も景気・市場動向に配慮しながら利上げペースを調整する方針を示しており、世界の株式市場も調整 の一巡後は徐々に反発に向かうと見ています。 日本株についても、急激な円高進行による企業業績の悪化懸念も加わり、下値を探る動きが続いています。た だし、企業業績は、外需企業の一部で下方修正が行われる一方、内需企業では上方修正も見られるなど、全体 では底堅い状況も期待でき、現状の15,000円割れの株価水準は企業業績等に照らして割安感が強く、売られ過 ぎの状態にあると考えられます。当面は値動きの荒い展開が続く可能性がありますが、調整一巡後は株価は 徐々に反発に向かうと見ています。 為替市場(円/米ドル相場)については、昨年の夏までは米国の利上げ観測の高まりを背景とした全般的なドル 高傾向の中で米ドル高・円安の動きが続いてきましたが、購買力平価や日本の経常黒字の状況から見ると、中 期的にドルは買われ過ぎの水準にあったと見ています。従って、為替相場は昨年までの米ドル高・円安の修正局 面にはあるものの、足許の修正スピードが株安や投資家心理の悪化等によって行き過ぎたものになっている可 能性もあり、その反動もあって、目先は1ドル=115円~120円程度までの米ドル高・円安方向に動くことも考えられ ます。 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価 証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将 来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投 資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 1/1 (審査確認番号H27-TB193)
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