PowerPoint プレゼンテーション

2016年4月20日
投資情報室
臨時レポート
為替市場の動向と今後の見通し
為替市場(円・ドル相場)の動向
18日の東京外国為替市場で円高・ドル安が進みました。円は一時、前週末に比べ約1円の円高となる107円台
後半まで買われました(図表1)。
その背景として、15日の20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議終了後の会見で、麻生財務相が「最
近の為替市場での一方的に偏った動きを懸念」と表明したのに対し、ルー米財務長官が「円高の動きは秩序
的」と発言し、この温度差により「政府・日銀の為替介入が難しくなった」と受け止められたことがあげられます。
また、17日に行われた主要産油国会合において、原油増産の凍結見送りが伝わり、投資家のリスク回避の動
きが強まったことも円高進行に拍車をかけたと考えられます。
今後の見通し
米商品先物取引委員会が発表するシカゴIMM通貨先物データによると、非商業部門(投機筋)の円買い・ド
ル売りの持ち高は足元過去最高水準に達しています。
当面の円・ドル相場は、円を売ってドルを買い戻す動き等を受けて一旦円安方向に動くものと考えます。ただ
し、日米当局の通貨政策に対する温度差などから、円の下値(ドルの上値)は1ドル=110円程度に限られるも
のとみています。
なお、政府・日銀の介入警戒水準については、内閣府の輸出企業の採算円レート※1103.2円割れが一つの目
安になると考えています(図表2)。 過去の介入水準を見ると、国際的な批判を招いた2001年~2003年に見ら
れたドル押し上げ介入を除き、企業の採算円レートを上回る円高が進行するタイミングで介入が実施されてい
るようです(図表2の実線囲い部分)。この水準まで円高が進むケースでは、G20共同声明文の「過度な変動や
無秩序な動き」に該当するとして、政府・日銀が行動に出る可能性があると思われます。
今後の米国の通貨政策を確認する上で、近日公表される予定の米財務省の「為替報告書」が注目されるもの
とみています。昨年10月の報告書では「円はやや割安」との評価が示されました。現在は当時より約10%程度
円高が進行していることから、今回の報告書でその表現が再度掲載される可能性は低いと考えますが、今後
も注意が必要であると思われます。
図表1:円・ドル推移
125
(円)
図表2:企業の採算為替レート※1と日銀単独円売り介入の実績※2
発表年
① 輸出企業の
採算円レート
② 介入開始推定
レベル(円)
②-①
(円)
1996
107.8
105
-3
1999
110.4
108
-2
2000
106.5
101
-5
2001
107.0
119
12
2002
115.3
124
8
2003
114.9
118
3
2004
105.9
105
-1
2016
103.2
-
-
(2016年1月4日~2016年4月18日 日次)
円安
120
115
円高
110
105
1/4
2/4
3/4
4/4
(出所)Bloombergデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
(月/日)
※1 「内閣府企業行動に関するアンケート」輸出企業の採算レート
※2 財務省開示資料を基にニッセイアセットマネジメントが推定
(出所)内閣府のデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
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(審査確認番号H28-TB19)