J-REIT市場の動向と今後の見通し(PDF:273KB)

2016年2月3日
投資情報室
臨時レポート
J-REIT市場の動向と今後の見通し
J-REIT市場(東証REIT指数)の動向(2016年2月1日時点)
日銀が1月29日にマイナス金利の導入を決めたことを受けて、J-REIT市場が急騰しています。2月1日の東証
REIT指数は、2015年6月3日以来約8ヵ月ぶりの水準まで上昇し、また売買代金は約1,000億円と、日銀の「量
的・質的金融緩和」導入により相場が急騰した2013年4月5日の約980億円を抜いて過去最高を更新しました。
マイナス金利の導入により、①金利低下でREIT各社の利払い負担が抑えられる、②長期金利の低下により、
J-REITの予想配当利回り(2月1日時点で約3.2%)の相対的な高さが評価され、J-REITへの投資が増加す
る、③住宅ローン金利の低下等を受けて不動産市況の改善スピードが速まり、J-REITの業績拡大をもたらす
等の見通しが強まったことが背景にあるもの思われます。
今後の見通し
東証REIT指数の過去60日間(約3ヵ月間)の移動平均線からのかい離状況、売買代金水準等を勘案すると、
足元のJ-REIT市場は過熱気味になっているように思われます。日銀が追加緩和を決めた日(2014年10月31
日)から今回のマイナス金利の導入決定前日(1月28日)までの価格帯別の売買代金をみると、東証REIT指数
ベースで1,850~1,900ポイント台が最も多くなっています。現水準(2月1日時点で1,848ポイント)から上は戻り待
ち売りが出やすくなる可能性があります。
昨年までの東証REIT指数は上値の重い展開が続いていました。その主な要因としては、①金利の上昇で利払
い費が増加し、J-REIT業績に悪影響を与える、②J-REITの予想配当利回りと金利との差が縮小し、利回り面
での魅力が後退する等の懸念があったものと思われます。今回のマイナス金利導入により、その懸念が後退
することが期待されます。
当面の東証REIT指数は急騰後の反動もあり、荒い値動きを伴いながら1,800ポイント台を固める展開になるも
のとみています。戻り待ち売り等を消化し、1,800ポイント台の水準を固めた後は、不動産市況の回復等に支え
られ、再び上昇基調に入るものと思われます。
今回の上昇があまりに急であったことから、買い遅れた投資家もいるものと思われます。原油価格や中国株式
が安定する等、外部環境の好転が続けば、東証REIT指数は昨年1月に場中につけた2,000ポイント台をうかが
う動きになる可能性もありそうです。
図表1:東証REIT指数(日々線)と60日移動平均線推移
図表2:東証REIT指数価格帯別売買代金
0
(2014年1月6日~2016年2月1日 日次)
2,100
(ポイント)
5,000
10,000
1,950以上
2,000
15,000
20,000
25,000
30,000
(億円)
1,900~1,950
1,900
1,850~1,900
1,800
1,800~1,850
1,700
1,750~1,800
1,600
1,700~1,750
1,500
東証REIT指数日々線
1,400
1,650~1,700
60日(約3ヵ月)移動平均線
1,300
14/1
14/5
14/9
15/1
15/5
15/9
16/1
(年/月)
1,650以下
(東証REIT指数)
(※)売買代金は2014年10月31日~2016年1月28日の合計
(ポイント)
出所:図表1~2はブルームバーグデータ、東証データを基にニッセイアセットマネジメントが作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価
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(審査確認番号H27-TB184)