2016年2月5日 投資情報室 臨時レポート 国内株式市場の動向と今後の見通し 国内株式市場の動向 株安、円高が進んでいます。5日の日経平均株価は一時16,000円台半ばまで下落、為替市場では一時116円台半ばまで 円高・米ドル安が進みました。日経平均株価は、日銀のマイナス金利導入決定(1月29日)前日の水準を下回っており、 マイナス金利導入決定後の上昇分を打ち消された格好となっています。 今回の株価下落の主因は、円高により輸出関連企業を中心に業績見通しの下方修正を迫られる銘柄が増加するとの 懸念が強まったことにあると思われます。マイナス金利導入決定直後は、日本の金利が低下し日米金利差が拡大すると の思惑等から一時121円台まで円安・米ドル高が進みました。しかし、以下の要因等により米国金利が低下した結果、円 高・米ドル安が進んでいるものと思われます。 ①1月の米非製造業景況感指数等、事前予想を下回る経済指標が増加し、米国景気の先行き懸念が強まったこと ②ニューヨーク連銀総裁の発言で米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが遅れるとの思惑が広がったこと 図表1:日経平均株価と為替(円/米ドル)動向 22,000 図表2:10年国債金利動向 (2015年8月3日~2016年2月5日 日次) (円) (円) 126 21,000 124 20,000 122 19,000 120 18,000 118 17,000 114 円/米ドル(右軸) 15,000 112 15/8 15/9 15/10 15/11 15/12 16/1 (2015年8月3日~2016年2月5日 日次) (%) 10年国債金利 0.4 0.3 0.2 116 日経平均株価(左軸) 16,000 0.5 16/2 0.1 0.0 (年/月) (出所)図表1、2はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成 15/8 15/9 15/10 15/11 15/12 16/1 16/2 (年/月) 今後の見通し 出所:図表1~2はブルームバーグデータ、東証データを基にニッセイアセットマネジメントが作成 足元の円高進行により、今後外需企業の一部では業績下方修正となる可能性があります。しかし、原油安や訪日外国人 消費拡大等を受けた内需企業の中には業績上方修正となる企業も見込まれており、今年度の企業業績は全体としては底 堅い内容になるものと判断しています。 年初からの株価下落の要因となった原油価格は、協調減産を巡る動きや値ごろ感からの買い等により、徐々に安定感を 取り戻しつつあるようです。中国株式についても、昨年8月頃の状況に比べると大分落ち着いてきているように思われます。 足元の株価下落の主要因とみられる為替動向は、米国金利の動向に左右される展開が続くものと思われます。今年1月 の大雪の影響等により事前予測を下回る経済指標が増える可能性もあり、短期的には円高・米ドル安が進むことも考えら れます。しかし、今回の円高・米ドル安は米国企業業績にプラスの効果をもたらすことも考えられ、大雪の影響が薄れる2 月には回復を示す経済指標が増えるものと予想しています。 経済に配慮した緩やかな米追加利上げ観測が高まれば、マイナス金利導入により大きく低下した日本の金利との比較で 米ドルが買われ、再び120円台へと円安・米ドル高が進むものと思われます。 現在の株価は企業業績の大幅悪化等、過度の悲観シナリオを織り込んだ水準にあり、また、企業業績等に照らして売られ 過ぎの状況にあるものと思われます。年初からの急落、マイナス金利導入決定による急騰、その後の急落という荒い値動 きが中長期視点からの投資タイミングを計り辛くさせている可能性もあります。 当面、日経平均株価は動きの激しい短期的な資金の売買により、16,000円台半ばを中心とする荒い値動きが続くことも考 えられます。しかし、徐々に円高の動きも衰えてくるものとみており、原油価格や中国株式の安定も支援材料となって、回 復基調に入るものと思われます。 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価 証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将 来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投 資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 1/1 (審査確認番号H27-TB187)
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