PDFで読む - 日興アセットマネジメント

楽読
(ラクヨミ)
2016年2月29日
Vol.
1,071
レアルに下げ止まり感はあるものの、
先行き不透明な国内情勢に要注意
ブラジルでは、厳しい経済・財政状況が続いているほか、汚職疑惑事件の影響などから政治の混迷も継続し、
財政健全化や構造改革の取り組みに大きな進展が見られません。こうした中、通貨レアルは、米追加利上げ
観測の後退や原油安の一服など、外部要因の変化に支えられ、足元で下げ止まり感を見せています。ただし、
先行き不透明感の強い国内情勢の変化が、今後、レアルに大きく影響する可能性があり、注意が必要です。
ブラジルの基礎的財政収支の対GDP比は、2014年の0.6%の赤字から15年には1.9%の赤字へと悪化しま
した。16年についても、政府は0.5%の黒字を目指していましたが、景気悪化に伴なう歳入減見通しなどを背景
に、今年2月19日には最大1%の赤字へと目標を下方修正しました。さらに、景気後退と高インフレ・高金利など
を背景とした、家計・企業の景況感の悪化や、政府の歳入拡大・歳出抑制方針などに対する議会の批判的な
姿勢などを踏まえると、下方修正後の政府目標の達成も危ぶまれる状況です。
ルセフ大統領に対する弾劾請求については、まもなく審理が始まる見通しですが、連立与党が議会の過半数
を占めていることなどから、現状では弾劾回避の可能性が高いとされています。ただし、汚職疑惑事件捜査の
進捗などによっては、今後、弾劾成立の可能性が高まることも考えられます。ちなみに、過去3回の大統領選
挙で与党PT(労働者党)の選挙参謀を務めた人物が、収賄容疑で先週23日に逮捕されたほか、昨年逮捕され
た大手建設会社の役職員やPTの重鎮上院議員らが、当局との司法取引に応じたとの観測などもあり、今後、
重要な証言が出てくる可能性があります。なお、弾劾成立の場合でも、副大統領が大統領職を引き継ぐことな
どから、政治混迷の大幅改善を見込むのには無理があるとみられます。ただし、弾劾とは別に、14年の大統領
選挙でルセフ陣営が違法献金を受け取った疑いがあり、違法献金が事実だと年内に認められ、同選挙の結果
が無効となれば、改めて大統領選挙が行なわれます。この場合、国民の間で政治家への批判が高まっている
だけに、革新的な大統領の誕生につながれば、構造改革などへの期待が一気に高まることも考えられます。
ブラジルの主要指標の推移
16
(%)
ブラジル・レアルと原油先物価格の推移
(2011年1月~2016年1月*)
14
50
(円)
(2014年初~2016年2月26日)
45
政策金利
12
35
(前年同月比)
8
3.5
対円(左軸)
25
4
インフレ目標** **現在は4.5%±2%ポイント
2
0
GDP(前期比)
-2
*GDPは四半期ベース、2015年10-12月期予想まで
-4
11年
12年
13年
14年
15年
市場
予想
16年
2.5
3.0
30
6
1.5
2.0
レアル安
40
消費者物価指数
10
(レアル)
レアル高
4.0
対米ドル(右軸)
20
4.5
(米ドル/バレル)
120
100
80
60
40
20
14年
WTI原油先物
15年
16年
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。
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