楽読 (ラクヨミ) 2016年8月15日 Vol. 1,129 ニュージーランドの利下げと 今後の金融政策について ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は8月11日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、過去最低の2.00% としました。今年3月以来となる利下げの主な背景は物価の低迷です。同準備銀行は、物価上昇率を目標レ ンジの中間付近で落ち着かせるべく、引き続き金融緩和が必要との見解を示し、追加利下げを示唆していま す。しかし、今回の利下げが市場予想どおりだったことに加え、追加利下げを示唆する準備銀行の声明など が穏やかな内容だったことから、ニュージーランド・ドル(以下、NZD)は同日、対主要通貨で上昇しました。 ニュージーランド経済は、移民の流入や建設投資および観光業の好調、過去と比べて低い金利水準などを 背景に堅調です。ただし、燃料価格の下落や対米ドル等でのNZDの堅調を主な背景として、消費者物価の 伸びが4-6月期に前年同期比+0.4%にとどまるなど、7四半期連続で目標の下限を下回ったのに続き、7-9月 期には+0.2%へ一段の鈍化が見込まれている状況です。このため、準備銀行は現状で最低あと1回、利下げ を想定している模様ながら、これまでの金融緩和の効果や国内景気の堅調に加え、NZD高に伴なう物価押 し下げ効果が今後は低下するなどとして、10-12月期以降は物価の伸びの加速を予想しています。 消費者物価指数 今後の政策金利について、市場では年内(9月ないし11月)にもう1回利下げが行なわれるとの見方が有力 消費者物価指数 ながら、その先の見通しは割れている模様です。ニュージーランドの先々の金融政策を見通す上で注目され る要因の一つは、米国の金融政策の行方です。年内の米利上げ観測が強まるなどし、NZDが対米ドルで弱 含むような場合、ニュージーランドの追加利下げ見通しが後退すると考えられます。また、移民の流入などを 背景に過熱気味となっている、ニュージーランドの住宅市場の動向も注目されます。準備銀行はこれまで、住 宅市場の過熱に対して、住宅関連セクターへの融資に関する規制の強化で対応していますが、過熱感がさら に強まるような場合には、追加利下げの判断に影響が及ぶことも考えられます。 ニュージーランド・ドルの推移 1.0 (米ドル) (2014年1月初~2016年8月12日) 対米ドル(左軸) 0.9 (円) (%) 100 対円(右軸) 4 (%) 4 (ただし、16年8月11日決定分まで) 3 3 90 ニュージーランド準備 銀行の予想 2 2 消費者物価指数 (前年同期比) 1 1 0 0 0.8 80 NZドル高 0.7 NZドル安 0.6 14年 政策金利と物価の推移 (2014年1月~2017年12月予想) 政策金利 72.87 0.720 14年 14年 15年 15年 16年 16年 物 価 目 標 レ ン ジ 17年 17年 *政策金利は月末値(16年8月は除く)、消費者物価指数は四半期ベース 住宅不動産価格(前年同月比)の推移 (2010年1月~2016年7月) 16 70 12 8 4 0 -4 60 10年 11年 12年 13年 14年 15年 15年 16年 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 (%) 16年 ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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