楽読 (ラクヨミ) 2016年10月13日 Vol. 1,151 徐々に明るい兆しが拡がるブラジル ブラジルでは、依然として軟調な経済指標も目立つものの、企業・家計の景況感の改善にとどまらず、経常 赤字の縮小やインフレ率の改善といった指標面に加え、政治面においても、明るい兆しが拡がっています。 経常赤字(12ヵ月累計ベース)は、昨春には1,000億米ドルを上回っていましたが、貿易黒字の拡大を背景 に急速に縮小し、足元では260億米ドル程度にとどまっています。さらに、対内直接投資が高水準を維持して いることなどもあり、このところのブラジル・レアルの堅調につながっています。また、消費者物価指数の伸び は、今年1月に前年同月比+10.7%を記録したものの、直近9月では+8.5%にまで低下しただけでなく、今後も 改善が続き、中央銀行の目標レンジに収まる見通しとなっています。今後、中央銀行がこうしたインフレ見通 しの改善に自信を持てるようになれば、利下げを通じて景気回復を強く後押しすると期待されます。 一方、引き続き懸念材料なのが財政面で、議会が長期的な改革をためらうような場合などには、格付が引 き下げられる可能性もあります。ただし、現在のテメル政権は、政府支出への上限設定、長期的な財政見通 しの安定化に向けた退職年齢の引き上げ、インフラ整備への民間資金の導入など、様々な改革に取り組む 姿勢を示しています。そして、今週10日には、政府支出に上限を課す法案が下院で大差で可決されました。 同法案の成立までには、下院でのさらなる承認と、上院での審議・承認が必要になりますが、下院でひとまず 幅広い支持を得られたことは、幸先が良いと考えられます。また、10月2日に行なわれた地方選挙の内、最 大都市サンパウロの市長選挙において、企業家出身で政治経験のない、社会民主党(連立与党の一角)の 候補が初出馬で圧勝したことが注目されます。決選投票にもつれ込むのが常の同選挙での今回の圧勝は、 2018年の大統領選挙に投資家寄りの候補者が出馬する道が開ける可能性を示唆していると考えられます。 ブラジル・レアルは、国際商品市況の持ち直しやルセフ大統領の職務停止・罷免などもあり、今年、既に反 発しているだけに、財政健全化に向けた取り組みが滞るような場合や米追加利上げなどをきっかけに、短期 的には下振れする可能性も否定できません。しかし、中・長期的には、国際収支やインフレ率の改善、世界 インフレ目標** **現在は4.5%±2%ポイント 的に見て高い金利水準などにより、世界の投資家の関心を集めると見込まれます。 ブラジル・レアルと商品市況の推移 50 (2014年初~2016年10月12日) (円) レアル高 45 2.0 1,000 レアル安 40 35 30 25 ブラジルの主要指標の推移 (億米ドル) (2012年1月~2017年12月予想*) 1.5 1,500 注:いずれも12ヵ月累計値 対内直接投資 (レアル) 対円(左軸) 対米ドル(右軸) 20 (ポイント) 350 300 250 200 150 14年 15年 2.5 500 3.0 0 3.5 -500 消費者物価指数 貿易収支 4.0 -1,000 (前年同月比) 政策金利 経常収支 貿易収支は16年9月まで、 他は同年8月まで 4.5 -1,500 (%) 16 政策金利 商品市況 (CRB指数) 12 市場予想 8 4 消費者物価指数(前年同月比) 0 16年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 *予想は四半期ベース 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 物 価 目 標 レ ン ジ ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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