再度、通貨安に見舞われた南アフリカ ~変革へ舵を切るかどうかの岐路

楽読
(ラクヨミ)
2016年8月29日
Vol.
1,135
再度、通貨安に見舞われた南アフリカ
~変革へ舵を切るかどうかの岐路に~
南アフリカでは、昨年再任されたゴーダン財務相が、2009年まで務めた歳入庁長官時代に汚職に関わった
疑いで警察から出頭命令を受けたと8月23日に報じられました。財政健全化に注力するなど、市場からの信頼
の厚い同財務相の先行きに不透明感が生じたことをきっかけに、足元で通貨ランドに売り圧力が及んでいます。
同国では、ズマ政権への信任投票との見方もあった8月初めの地方選挙で、一党優位体制を維持してきた与
党ANC(アフリカ民族会議)が過半数の票こそ獲得したものの、大きく支持を減らしました。同党は、アパルトヘ
イト(人種隔離)政策の廃止において主導的な役割を果たしましたが、その実現から20年以上も経ったほか、
同党議長(党首)や大統領を歴任したマンデラ氏が1999年に退いて以降、贈収賄や党内分裂が相次いでおり、
現在、同党議長を務めるズマ大統領についても、公金流用や汚職問題などが相次いで発覚している状況です。
加えて、高い失業率や近年の景気低迷などもあり、国民の間でANCや政権への不満は拡がる一方で、勢力退
潮が鮮明なANCが2019年の総選挙で議席を大きく失う可能性が高まっています。こうした中、来年12月の党
首選挙を前に、ANCやズマ大統領の出方に注目が集まりつつあったということもあり、大統領派と対立してい
るゴーダン財務相に対する今回の容疑には、政治的な思惑が絡んでいるとの見方もあります。
ゴーダン氏が財務相を離れる事態に至るような場合はもちろん、大統領が党内の対抗勢力を抑えにかかった
り、大衆迎合的な政策を展開する場合、市場の動揺や同国の格付の引き下げにつながる可能性が考えられま
す。ちなみに、やはり財政健全化をけん引してきたネネ財務相が昨年12月に突如、更迭され、大統領に近いと
される人物が後任として発表された際には、市場の大幅な動揺につながり、結局、ゴーダン氏が財務相に就く
というドタバタがありました。一方、ANC内で、ズマ氏の早期退陣や成長路線への回帰に向けた改革を訴える
声が拡がるような場合には、逆に、市場で先行きへの期待が高まることも考えられます。
南アフリカのGDPと経常収支の推移
6
(%) (2011年1-3月期~2017年10-12月期予想)
南アフリカの物価、金利、通貨の推移
10
GDP(前年同期比)
4
市場予想
8
(2014年1月~2017年12月*)
(%)
*予想以外は月次データ(2016年8月は26日時点)
政策金利(左軸)
消費者物価指数(前年同月比、左軸)
16
14
2
6
0
市場予想
(円)
12
(四半期ベース)
-2
4
ランド高
-4
10
ランド安
8
2
-6
ランド(対円、右軸)
0
14年
15年
16年
14年 15年 16年 17年
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
経常収支(対GDP比)
-8
11年
12年
13年
6
17年
※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
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