PDFで読む - 日興アセットマネジメント

楽読
(ラクヨミ)
2016年5月13日
Vol.
1,101
大統領の弾劾に大きく近づいたブラジル
ブラジルでは、ルセフ大統領に対する弾劾が4月に下院で可決されたのに続き、5月12日には上院で過半数
を大きく上回る55票の賛成を得て、弾劾裁判の実施が可決されました。これに伴ない、同大統領は最大180日
間の職務停止となり、テメル副大統領が大統領職を暫定的に代行することが確定しました。そして、弾劾裁判
において上院の3分の2(54票)以上の賛成でルセフ大統領の弾劾が可決される場合、同大統領は失職し、
2018年末までの残りの任期をテメル氏が大統領として務めることになります。
テメル氏が属する民主運動党(PMDB)は、足元で同国最大の勢力を誇る政党で、従来、連立政権の一角と
して、労働者党(PT)のルセフ政権を支えてきましたが、3月末に連立を解消しており、今後は中道右派の社会
民主党(PSDB)などと新たに連立を組むと見込まれています。当面は、連立の行方や閣僚人事などが注目さ
れるほか、市場では、改革志向の強いPMDBの下で、産業界寄りの政策が導入されるとの期待が高まってい
る模様です。また、政治の空白状況が改善し、企業や消費者の景況感などに好影響が及ぶとの見方もありま
す。ただし、国営石油会社に絡む汚職事件の捜査の進展や、ルセフ氏を支えてきたPTなどとの対立激化など
に伴ない、議会審議が停滞するなど、政治の混乱・機能不全が続き、改革が思うように進まない可能性も考え
られ、本格的な改革は、次期大統領選挙・議会選挙が行なわれる2018年以降との見方もあります。いずれに
しても、今年1月の安値から4月下旬の高値までの上昇率が、株価で4割以上、通貨レアル(対米ドル)でも2割
弱と高くなっていることもあり、当面は様子見気分が市場に拡がることも考えられます。
しかしながら、景気後退と物価高という厳しい経済環境も、今後は徐々に改善に向かうと予想されています。
また、持ち直しの兆しを見せる資源価格が、今後、予想されている新興国景気の回復・加速などに伴ない、堅
調な推移を辿ることとなれば、資源大国のブラジルにとってプラスに働くと考えられます。さらに、政治面での改
善も伴なうようであれば、同国に対する投資家の関心は今後も回復に向かうと期待されます。
ブラジル・レアルと商品市況の推移
(円)
(2014年初~2016年5月12日)
ブラジルの主要指標の推移
(レアル)
(%)
(2011年1月~2016年12月予想*)
16
政策金利
レアル高
14
45
2.0
市場
消費者物価指数
12
予想
レアル安
(前年同月比)
40
2.5 10
8
35
3.0
6
30
3.5
4
対円(左軸)
インフレ目標** **現在は4.5%±2%ポイント
25
4.0
2
対米ドル(右軸)
*予想は四半期末ベース
0
20
4.5
(ポイント)
(%)
9
350
GDP(四半期ベース、前年同期比)
*CRB指数
商品市況*
6
市場
300
3
予想
0
250
-3
200
-6
-9
150
11年
12年
13年
14年
15年
16年
14年
15年
16年
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
50
1.5
※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。
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