PDFで読む - 日興アセットマネジメント

楽読
(ラクヨミ)
2016年12月19日
Vol.
1,169
不安定な政局下にあるものの、
財政改革路線を進むブラジル政府
ブラジルでは、12月13日の上院での2度目の可決をもって歳出上限法案が成立しました。これにより、
2017年から20年間、財政支出の伸びが前年の消費者物価上昇率以下に抑えられることになります。また、
財政の長期的な安定化に向けた年金改革法案が12月6日に正式に発表され、2017年に議会で審議される
見通しとなるなど、財政健全化に向けたテメル政権の取り組みが進んでいます。
一方、ブラジルの政局は未だに不安定で、11月下旬には不正疑惑で総務長官が職を辞し、テメル政権発
足以来、6人目の閣僚辞任となりました。また、12月初めには、国営石油会社ペトロブラスに絡む汚職疑惑事
件で逮捕されている大手建設会社の幹部らが、捜査への協力と引き換えに減刑などを認められる司法取引
を承諾したことから、今後、様々な政党の政治家の名前が供述によって浮かびあがるとみられています。
年金改革法案は、受給開始年齢の引き上げなど、国民に痛みを強いる面もあることなどから、連立与党内
にも反対の声があります。さらに、上述の司法取引に基づく供述などを受け、今後、汚職疑惑事件の捜査対
象が拡がるなどして、政局が一段と不安定になる可能性もあり、同法案の審議は一筋縄ではいかないとみら
れます。ただし、同法案が通らないようなことになれば、ブラジルは投資家からの信頼を失い、持ち直しに向
かいつつある景気が市場の動揺などを通じて再度、下振れする恐れがあります。このため、かなりの紆余曲
折が見込まれるものの、ある程度の内容修正などを経て、最終的には何とか成立にこぎ着けるとみられます。
ブラジル・レアルは2016年に概ね回復傾向となったものの、11月の米大統領選挙でのトランプ氏の勝利や
その後の米金利の急上昇などを受け、足下では他の新興国通貨とともに対米ドルで軟調気味となっていま
す。ただし、対米ドルで急激な円安が進んだことから、対円ではレアルは堅調さを維持しています。米金利の
上昇は、同国景気の回復・拡大に伴なうものであり、今後の世界景気の加速や資源の需要・価格の押し上げ
などを予期させます。また、ブラジルでは、政治面での不安定さが時に波乱要因となる可能性はあるものの、
国際収支やインフレ率に改善が見られるほか、相対的に高い金利水準という魅力もあり、財政健全化に向け
(16年まで:4.5%±2%ポイン
インフレ目標**
た取り組みが進められている限り、世界の投資家の関心を集めると考えられます。
ブラジル・レアルと原油価格の推移
50
(円)
(2014年初~2016年12月16日)
ブラジルの主要指標の推移
(レアル)
レアル高
45
1.5 1,500
2.0 1,000
レアル安
40
2.5
500
34.76
35
3.0
3.39
30
25
3.5
対円(左軸)
対米ドル(右軸)
20
(米ドル/バレル)
120
100
80
60
40
20
14年
15年
(億米ドル) (2014年1月~2017年12月予想)
11月まで、他は同年10月まで
(前年同月比)
貿易収支*(左軸)
-500
経常収支*(左軸)
4
2
0
消費者物価指数
0
4.0 -1,000
(%)
* 12ヵ月累計値。貿易収支は16年
対内直接投資*(左軸)
-2
政策金利
市場予想
-4
-6
四半期GDP(前年同期比、右軸)
4.5 -1,500
(%)
16
政策金利
WTI原油先物
12
市場予想
8
51.90
4
消費者物価指数(前年同月比)
0
14年
15年
16年
17年
16年
信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成
(予想は四半期ベース)
-8
物
価
目
標
レ
ン
ジ
※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。
■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘
資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料
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