楽読 (ラクヨミ) 2016年8月25日 Vol. 1,134 ユーロ圏の企業景況感は依然、堅調 ~目先の追加金融緩和は限定的か~ ユーロ圏では、企業の景況感を示すPMI(購買担当者指数)*の堅調が続いており、GDPとの連動性が高いと される総合PMIの8月速報値は前月比+0.1ポイントの53.3と、低下予想に反して2ヵ月連続の上昇となりました。 一方、6月下旬の国民投票でEU(欧州連合)離脱を選択した英国では、7月に総合PMIが▲5.0ポイントの47.5 と、約7年ぶりの水準へ急落するなど、景気の悪化が見込まれている状況です。 *50が活動拡大・縮小の境目 ユーロ圏でも、製造業PMIは2ヵ月連続の低下となり、英国民投票前に集計された6月の水準を1.0ポイント下 回っています。しかし、サービス業PMIが6月の水準から小幅ながらも2ヵ月連続で上昇し、総合PMIの押し上げ に貢献しています。こうしたサービス業PMIの堅調は、ユーロ圏の内需の力強さを示唆していると考えられます。 こうした中、金融市場では、ユーロ圏の主要株価指数が、英国民投票の結果判明後の下げを8月上旬に埋め ました。また、英国のEU離脱選択に伴なって予想される景気悪化が不良債権の増加につながるなどとして、一 時、大きく売り込まれた欧州の銀行セクターの株価も、特に多額の不良債権を抱える伊大手銀行が不良債権 の証券化や増資からなる再建策を7月末に発表したことなどもあり、国民投票の結果判明後の下げ幅の約3分 の2を回復しています。さらに、英国の混乱ぶりを受け、EU離脱の動きが各国で下火になりつつあることなどが 寄与し、通貨ユーロも対米ドルで持ち直すなど、市場はひとまず落ち着きを取り戻した模様です。 9月8日のECB(欧州中央銀行)理事会では、ユーロ圏の景気見通しの改定が予定されており、その下方修 正とともに追加金融緩和が決定されるとの見方があります。ただし、上述のような企業景況感の堅調や市場の 回復といった足元の状況を踏まえると、景気見通しの下方修正が小幅なものとなり、追加緩和についても、目 先は、いわゆるマイナス金利の深掘りなどの積極策は回避され、来年3月末までとなっている資産買入れプロ グラムの期間延長にとどまる可能性があります。 55 ユーロ圏のPMIの推移 ユーロ圏のGDP成長率と通貨ユーロの推移 (2014年1月~2016年8月速報) (2012年1-3月期~2017年10-12月期予想*)(円) 0.8 (%) 160 54 140 ユ ー 0.6 ロ 高 市場予想 53 0.4 120 52 0.2 100 ー ロ 51 活 動 0.0 拡 大 ユ 50 -0.2 49 活 動 縮 -0.4 小 製造業 48 14年 15年 出所:IHSマークイット サービス業 総合 安 80 * ユーロは四半期末の値で、 2017年4-6月期末予想まで GDP(前期比、左軸) 60 40 ユーロ(対円、右軸) -0.6 16年 20 12年 13年 14年 15年 16年 17年 信頼できると判断したデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 目論見書)をご覧ください。 1/1
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