史跡・名勝飛鳥京跡苑池第10次調査

史跡・名勝
飛鳥京跡苑池 第10次調査
(飛鳥京跡第 176 次調査)現地説明会資料
2015 年 9 月 6 日
奈良県立橿原考古学研究所
調査区全景(南東から)
調査区全景(南から)
飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群
史跡・名勝
指定範囲
水 路
掘立柱建物
高まり
掘立柱塀
(SA00017)
北 池
中 島
わたりづつみ
渡 堤
掘立柱建物
飛鳥川
(門)
南 池
掘立柱塀
石造物
(流水施設第1石)
(SA7103)
掘立柱建物
内郭
掘立柱塀(SA7101)
飛鳥京跡苑池と周辺の遺跡
飛鳥京跡苑池全体図
はじめに
し せき めいしょうあすかきょうあとえんち
史跡・名勝飛鳥京跡苑池は、飛鳥時代の庭園遺跡です。平成 11 年(1999)におこなった発掘調査で、はじめてその存
わたりづつみ
在が明らかとなりました。飛鳥京跡苑池は、これまでの発掘調査で、南北2つの池(南池・北池)と渡堤、水路、掘立柱
建物で構成されることが明らかとなっています。その範囲は、南北約 280m、東西約 100mにおよびます。
当研究所では、平成 22 年度(2010)から史跡・名勝飛鳥京跡苑池保存整備活用事業に伴い、継続的に発掘調査をおこなっ
ています。
調査の内容
発掘調査は、南池の西側(1区)と東側(2区)に調査区を設けておこないました。調査の結果、1区では中世以降の
飛鳥川による河川堆積層、2区では掘立柱建物を検出しました。
掘立柱建物 調査区北東部で検出した総柱建物です。その規模は、南北4間(約 10.8m)、東西2間(約 5.4m)です。
解体時に、柱はすべて抜き取られています。
掘立柱塀(SA7103) 調査区東部で検出しました。先述した掘立柱建物に取り付きます。過去の調査成果をふまえると、
総延長 130m以上になります。なお、掘立柱建物から南側にあったと想定される柱穴の多くは、後世の土地利用により削
平されたと考えられます。
まとめ
今回の調査によって、飛鳥京跡苑池に伴う新たな掘立柱建物を検出しました。検出した掘立柱建物は、飛鳥京跡苑池に
おける位置関係から考えて、苑池の出入り口である門となる可能性が考えられます。
このように、飛鳥京跡苑池の区画施設である門の位置とその構造が明らかとなったことは、飛鳥京跡苑池の全体像を考
える上で、非常に重要な成果といえます。
史跡・名勝 飛鳥京跡苑池 第 10 次調査(飛鳥京跡第 176 次調査)
現地説明会資料
2015 年 9 月 6 日 奈良県立橿原考古学研究所 〒634-0065 奈良県橿原市畝傍町1番地
Tel.0744-24-1101 http://www.kashikoken.jp (ホームページでも現地説明会の案内・説明内容をご覧いただけます。)