ノバルティスのLCZ696、心血管死と心不全入院のリスクを減少させる

ノバルティス ファーマ株式会社
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http://www.novartis.co.jp/
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2015年7月17日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2015年7月7日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要
約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。
英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
ノバルティスのLCZ696、心血管死と心不全入院のリスクを減少させる
新しい心不全治療薬としてFDAより承認を取得
• 今回の世界初の承認は、米国の何百万人もの左室駆出率が低下した心不全患者さん
に、余命の延長と入院回数の減少という希望をもたらす
• LCZ696 は ACE 阻害薬エナラプリルとの直接比較試験で、死亡率の有意な低下を示
した最初にして、現時点では唯一の治療薬 1
• 心不全は 600 万人近い米国民の生命を脅かしている病態であり、その約半数が左室
駆出率の低下を示す 2
• 今回の承認は FDA の優先審査期日より 6 週間前倒しで得られ、それにより米国の患
者さんが LCZ696 をより早く使用可能となる
2015年7月7日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、米国食品医薬品局(FDA)
がLCZ696を、左室駆出率が低下した心不全の治療薬として承認したことを発表しました。
これによりLCZ696は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)心機能分類クラスII~IVの患者
さんに対し、心血管死のリスク低下、および心不全による入院のリスク低下を適応として
処方が可能となります。通常は、ACE阻害薬またはその他のアンジオテンシン受容体拮抗
薬に代えて、他の心不全治療薬と併用投与します1。
ノバルティス ファーマ(スイス)社長 デビッド・エプスタイン(David Epstein)は、次
のように述べています。「私たちは、不確実な要素もある中、LCZ696を従来の標準薬と
比較する世界最大の心不全の臨床試験を計画しました。その結果、左室駆出率が低下した
心不全と診断された何百万人もの人々がより長生きし、入院せずに済む機会を広げること
ができました。私たちは、できるだけ早く米国の患者さんや処方医のもとにLCZ696をお
届けする責任を認識しており、来週には米国で発売します」
FDAの決定は、8,442名の患者さんが参加したPARADIGM-HF試験の結果に基づくもので
す。この試験は、LCZ696がACE阻害薬エナラプリルと比較して心血管死のリスクを有意
に減少させることを示した時点で早期終了しました1。試験終了時点で、LCZ696を投与し
た左室駆出率が低下した心不全患者さんは、エナラプリルを投与した患者さんよりも生存
率が高く、心不全による入院率が低いことがわかりました。また、安全性データの解析か
ら、LCZ696の忍容性プロファイルはエナラプリルと同様に良好でした。
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米国テキサス州にあるテキサス大学サウスウェスタン医学センターの教授兼臨床科学学部
長のミルトン・パッカー博士(Dr. Milton Packer, Professor and Chair for the Department of
Clinical Sciences at University of Texas Southwestern Medical Center, Texas, USA)は次の
ように述べています。「PARADIGM-HF試験で、LCZ696の生存期間に対する大変意義深
い効果が示されたことにより、医師たちは適応となるすべての患者さんに対して、従来の
ACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬に代えてLCZ696を使用することを検討
することになるでしょう。今後、LCZ696が左室駆出率が低下した心不全患者さんの治療
を変えることが期待されています」
米国では600万人近い人々が心不全に罹患しており、その約半数が左室駆出率が低下した
心不全の患者さんです2。このうち約220万人は、身体活動を制限する症状に基づき、NYHA
心機能分類クラスII~IVに分類されます3。心不全とは、心臓が十分な血液を全身に送り出
すことができない、生命を脅かす消耗性の病態です。患者さんは、高い死亡リスクと度重
なる入院、および息切れ、疲労、体液貯留等の生活の質に大きく影響を及ぼす症状に直面
します4。
LCZ696は現在、カナダ、スイス、EUなど、世界各国の保健当局による審査を受けていま
す。世界各国でLCZ696が承認されれば、左室駆出率の低下した心不全を適応として、売
上高のピークは50億ドルを超えると予想しています。
なお、現在日本では左室駆出率が低下した日本人の慢性心不全患者さんを対象とした
LCZ696の第III相臨床試験を実施中です。
LCZ696について
LCZ696は、心不全における心臓負荷を軽減すると考えられる新規作用機序を有する薬剤
(ARNI、アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)です。1日2回投与する錠剤で、
心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(NPシステム、ナトリウム利尿ペプチドシステム)
を促進すると同時に、有害な機構(RAAS、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン
系)を抑制する作用があります5。
8,442名の患者さんが参加したPARADIGM-HF試験の結果から、以下のことが示されまし
た1。LCZ696はエナラプリルと比較して、
• 心血管死のリスクを20%減少
• 心不全による入院を21%減少
• 全死亡リスクを16%減少
心不全による最初の入院までの期間または心血管死を複合エンドポイントとして評価した
主要評価項目では、20%のリスク低下が認められました。
PARADIGM-HF試験においては、エナラプリル投与患者と比べてLCZ696投与患者は有害
事象による服薬中止例が少ない結果となりました。また、LCZ696群ではエナラプリル群
よりも、低血圧と重篤でない血管浮腫の発現が多く、腎機能障害、高カリウム血症、咳嗽
の発現が少ないとの結果が得られました1。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その
内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに
より、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、
ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
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ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅
広い分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2014年の売上高は580
億米ドル、研究開発費は99億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイ
ス・バーゼル市に本拠を置くノバルティスは約120,000人の社員を擁しており、世界180カ
国以上で製品が使われています。詳細はホームページをご覧ください。
http://www.novartis.com/
参考文献
1.
2.
3.
4.
5.
McMurray JJV et al. Angiotensin-Neprilysin Inhibition versus Enalapril in Heart Failure, N Engl J Med
2014
Mozaffarian D, et al. Heart Disease and Stroke Statistics - 2015 Update: A Report From the American
Heart Association. Circulation. 2014
Novartis Data on File
Mosterd A, Hoes, A, Clinical epidemiology of heart failure, Heart 2007;93:1137-1146
Langenickel TH et al. Angiotensin receptor-neprilysin inhibition with LCZ696: a novel approach for the
treatment of heart failure. Drug Discovery Today: Therapeutic Strategies.2012, Vol 9. No.4
以上
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