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ノバルティス ファーマ株式会社
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http://www.novartis.co.jp
MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2015年2月5日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2015年1月28日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳
(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。
英語版はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
ジャカビが希少な血液がんである真性多血症において
標準治療より優れていることを示す試験結果が
ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に掲載
•
疾患コントロール不良の真性多血症患者さんにジャカビを投与することで、持続的
なヘマトクリット値のコントロール、脾臓サイズの縮小、症状の緩和が得られた 1
•
真性多血症は、脳卒中や心臓発作などの重篤な心血管系の合併症を引き起こす
可能性のある血液がん 2
•
ジャカビは、欧州医薬品庁(EMA)医薬品委員会(CHMP)から、ハイドロキシ
ウレア抵抗性または不耐容の真性多血症患者さんの治療薬として承認勧告を取得
2015年1月28日、スイス・バーゼル発-ノバルティスは本日、ジャカビ(一般名:ルキソ
リチニブリン酸塩、以下ルキソリチニブ)に関する第III相ピボタル臨床試験の結果がニュ
ーイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine)
誌に掲載されたことを発表しました。この試験結果は、欧州白血病ネット(European
LeukemiaNet:ELN)の改訂基準の定義によるハイドロキシウレアが十分に奏効しないか
不耐容の真性多血症患者さんにおいて、ルキソリチニブが瀉血療法(体内から血液を抜き
取り赤血球の濃度を低下させる療法)を行わずにヘマトクリット値をよりよくコントロー
ルし、脾臓サイズを縮小させたことを示すものです1,2。ヘマトクリット値のコントロール
と脾臓サイズの縮小は真性多血症における治療効果の主要な指標です2。
真性多血症は、血液細胞が過剰産生される治癒困難な慢性の血液がんで、脳卒中や心臓発
作などの重篤な心血管系の合併症を引き起こします2。真性多血症患者さんの約25%がハイ
ドロキシウレア抵抗性または不耐容となり、疾患コントロールが不良とされます。疾患コ
ントロールの不良は通常、ヘマトクリット値が45%以上で、白血球数または血小板数(ま
たはその両方)が上昇した状態と定義され、消耗性の症状や脾臓の腫大(またはその両方)
を伴う場合もあります2,3,4。白血球数とヘマトクリット値が上昇することで、血栓のリスク
も高まります5。
この試験の筆頭著者であるイタリア・フィレンツェ大学、カレッジ大学病院のアレッサン
ドロ・M. ヴァヌッキ医師(Dr. Alessandro M. Vannucchi, Azienda Ospedaliera
Universitaria Careggi, University of Florence)は次のように述べています。「真性多血症患
者さんの治療で大きな課題となるのは、ハイドロキシウレアなどの現在利用できる治療が
効かなくなるか、または不耐容になることで、そうすると疾患を効果的に管理できる治療
選択肢はほとんどありません。真性多血症は困難な症状を日常的に引き起こし、重篤な合
併症のリスクがある疾患ですが、この試験で、ルキソリチニブがこれらの真性多血症患者
さんに重要な進展をもたらす治療薬となる可能性が示されました」
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試験では、投与開始から32週目の時点で、標準療法群の20%と比較して、ルキソリチニブ
投与群では77%の患者さんが、複合主要評価項目である瀉血療法なしでのヘマトクリット
値のコントロール(全血中に占める赤血球の体積の割合)と脾臓サイズの縮小のいずれか
または両方を達成しました1,2。また、複合主要評価項目をどちらも達成した患者さんの割
合は、標準療法群よりルキソリチニブ投与群の方が有意に高く(それぞれ1%および21%、
p<0.001)、ルキソリチニブ投与群では48週目の時点で91%の患者さんで効果が持続して
いました1。
ノバルティス オンコロジー事業部のオンコロジー開発・メディカルアフェアーズ部門グロ
ーバル責任者であるアレッサンドロ・リバ(Alessandro Riva)は次のように述べています。
「現行の治療では疾患をコントロールできない真性多血症患者さんには高いアンメットニ
ーズがあります。EUで承認されれば、ルキソリチニブは真性多血症患者さんにとってEU
で初の標的治療薬となります。私たちは規制当局と連携をとりながら、ルキソリチニブを
真性多血症患者さんにお届けできるよう取り組んでいます」
本試験で真性多血症に関連する症状が50%以上改善した患者さんは、ルキソリチニブ投与
群で49%、標準療法群で5%でした1。ルキソリチニブ投与群では、寝汗とそう痒の軽減も
みられました(それぞれ約99%および95%)1。また、主な副次評価項目であるELN改訂
基準の定義による血液学的完全寛解について、標準療法群と比較してルキソリチニブ投与
群において高い割合で達成されました(それぞれ9%および24%、 p=0.003)1。血液学的
完全寛解は、瀉血療法をせずにヘマトクリット値がコントロールされ、血小板数400 x
109/L以下、白血球数10 × 109/L以下の状態と定義されました。これらはいずれも真性多血
症の疾患コントロールにおける重要な指標です1。
真性多血症患者さんは心血管系の合併症のリスクが高いため、血栓塞栓性事象は重要な治
療目的となっていますが1,2、データでは、血栓塞栓性事象の発現が、標準療法群と比較し
てルキソリチニブ投与群で少ないことも示されました(投与開始から32週目の時点でルキ
ソリチニブ群1名、標準療法群6名)。全体として、ルキソリチニブの忍容性は良好であり、
非血液学的有害事象は真性多血症と骨髄線維症を対象にこれまで実施されたルキソリチニ
ブの試験でみられた有害事象と同様でした1,6,7。投与開始から32週目までにルキソリチニ
ブ投与群で多く観察されたグレード3または4の血液学的有害事象は貧血(2%)および血
小板減少症(5%)でした1。ルキソリチニブ投与群で多く観察された非血液学的有害事象
は、頭痛、下痢、疲労で、グレードは主に1または2でした1。なお、中央値で81週間のフ
ォローアップ期間において、ルキソリチニブ群の約85%の患者さんが治療を継続中でした1。
欧州医薬品庁(EMA)医薬品委員会(CHMP)は先般、ルキソリチニブに対し、ハイドロ
キシウレア抵抗性または不耐容の真性多血症成人患者の治療薬としてこの第 III 相データ
に基づいて承認勧告を行いました。ルキソリチニブは、現在日本を含む 70 カ国以上で、
生命を脅かす消耗性の血液がんである骨髄線維症の治療薬として承認されています。真性
多血症に対しては、日本では 2014 年 9 月に承認申請を行いました。
RESPONSE試験について
RESPONSE 試験は、世界の 90 カ所以上の施設で実施された、国際共同・無作為化・オー
プンラベル試験です。ハイドロキシウレア抵抗性または不耐容の真性多血症患者さん 222
名が、ルキソリチニブ投与群(開始用量:10mg 1 日 2 回投与)と BAT 群(治験責任医の
選んだ単剤療法または経過観察)に 1:1 の割合で無作為割り付けされました 1。ルキソリ
チニブの用量は試験期間を通じ適宜調節されました 1。
試験の主要評価項目は、8 週目から 32 週目に瀉血療法なしでヘマトクリット値がコントロ
ールされ(無作為割り付けから 8 週目までの期間の瀉血療法は 1 回までとする)、ベース
ラインから 32 週目に画像による評価で脾臓容積が 35%以上縮小した患者さんの割合でし
た 1。瀉血療法の実施は、ヘマトクリット値が 45%を超えているか、本試験への参加時(ベ
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ースライン時)の値から 3%以上上昇していた患者さんが対象でした 1。また、奏効持続期
間と血液学的完全寛解の 2 つの主な副次評価項目を用いてさらに有効性を評価しました。
その他の評価項目には、安全性や症状の改善(骨髄増殖性腫瘍の症状評価フォーム
(MPN-SAF)において 14 項目の症状の合計スコアで評価)が含まれました 1。
真性多血症について
真性多血症は、骨髄で血液細胞が過剰産生される治癒が困難な慢性の血液がんで、世界全
体で 10 万人あたり約 1~3 人が罹患していると考えられています 2,8。JAK-STAT 経路の調
節異常が疾患を引き起こしています 9。全血中に占める赤血球の体積の割合であるヘマト
クリット値の上昇を典型的な特徴とし、それによって血液の粘度が亢進し、血栓のリスク
が高まり、白血球数と血小板数も上昇します 2。その結果脳卒中や心臓発作などの重篤な
心血管系の合併症を引き起こし、これらの合併症の発症率およびそれに伴う死亡率を上昇
させる可能性があります 2,5。また、真性多血症の患者さんには脾臓の腫大や消耗性の症状
が多くみられることもあり、日常生活に大きな影響を及ぼします 2。
真性多血症の治療には多くの場合、ヘマトクリット値を正常化するために体内から血液を
抜き取り赤血球の濃度を低下させる瀉血療法が行われます 2。しかし、瀉血療法は、症状
をコントロールできないか、赤血球の過剰な産生を効果的に管理することができないため、
恒常的に行う治療選択肢として適していないことが多く、ハイドロキシウレアなどの抗腫
瘍薬を追加することもあります 2,5。残念ながら、真性多血症患者さんの約 25%がハイドロ
キシウレア抵抗性または不耐容(ELN 基準による)であるため、疾患コントロールが不十
分となり、疾患進行のリスクが高まります 3,4。
ルキソリチニブについて
ルキソリチニブ(開発コード:INC424、欧州における製品名「Jakavi」)は、JAK1/JAK2
チロシンキナーゼの経口阻害剤です。2012 年 8 月、欧州委員会により、原発性骨髄線維
症(慢性突発性骨髄線維症)、真性多血症後の骨髄線維症、または本態性血小板血症後の
骨髄線維症の成人患者さんにおける脾腫または諸症状の治療薬として承認されました。ル
キソリチニブは、欧州連合、カナダ、日本、アジアや中南米、南米の数カ国を含む 70 カ
国以上で骨髄線維症の治療薬として承認されており、このほかにも骨髄線維症および真性
多血症の治療薬として世界各国で承認申請が進められています。真性多血症に対しては、
日本では 2014 年 9 月に承認申請を行いました。
ノバルティスはルキソリチニブについて、インサイト社から米国外での開発と商業化のラ
イセンスを取得しています。欧州委員会(EC)と米国食品医薬品局(FDA)は、骨髄線維
症に対してルキソリチニブを希少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ)に指定していま
す。ルキソリチニブは、米国では「Jakafi」の製品名で、中リスクから高リスクの骨髄線
維症患者さんに対する治療薬としてインサイト社から発売されています。ルキソリチニブ
は、最近、ハイドロキシウレアが十分に奏効しない、またはハイドロキシウレアに不耐容
の真性多血症の患者さんの治療薬として FDA から承認されました。
血小板数が100,000mm3から200,000mm3の患者さんに対しては15mgを1日2回投与、血小
板数が200,000mm3以上の患者さんに対しては20mgを1日2回投与が推奨開始用量です。用
量は、安全性と有効性に基づき漸増可能です。血小板数が50,000mm3から100,000mm3の
患者さんに対する推奨開始用量については限られた情報しかありません。こうした患者さ
んに対する最大推奨開始用量は5mgを1日2回投与であり、慎重に漸増してください10。
「Jakavi」は、米国外の国々におけるノバルティス社の登録商標です。「Jakafi」はインサ
イト社の登録商標です。承認されている適応症以外では、ルキソリチニブの安全性と有効
性のプロファイルは確立されていません。
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ルキソリチニブの重要な安全性情報
ルキソリチニブは、血球数減少や感染症などの重篤な副作用を起こす恐れがあるため、血
球数のモニタリングの徹底が推奨されます。重篤な肝障害や腎障害がある場合、または、
血小板減少症、貧血、好中球減少などの血液学的有害事象を示す患者さんには、減薬か投
薬中止を検討してください。強力なCYP3A4阻害剤かフルコナゾールと併用する場合も、
減薬することが推奨されます。妊娠中の女性に対するルキソリチニブ投与は推奨されてい
ません。また、服用中の患者さんは妊娠や授乳を避けてください。ルキソリチニブの最も
多い有害薬物反応(発生率>10%)は、尿道感染症、貧血、血小板減少症、好中球減少、
高コレステロール血症、めまい、頭痛、アラニン・トランスアミラーゼ上昇、アスパルテ・
アミノトランスフェラーゼ上昇、紫斑です。その他の多い有害反応(発生率1-10%)は、
帯状ヘルペス、体重増、鼓腸、および結核(1%)です。進行性多巣性白質脳症(PML)
が報告されています。進行性多巣性白質脳症が疑われる神経精神性の症状には注意が必要
です10。ルキソリチニブの詳しい処方情報は www.jakavi.com でご覧ください。
参考文献
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#S1111.18th Congress of European Hematology Association (EHA), 2013. Stockholm, Sweden.
7. Verstovsek S, Ruben M, Gotlib J, et al. Long-Term Outcome of Ruxolitinib Therapy in Patients with
Myelofibrosis: 3-Year Update from COMFORT-I. Abstract #396. 55th American Society of Hematology
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8. Titmarsh G, Duncombe A, McMullin M, et al. How Common are Myeloproliferative Neoplasms? A
Systematic Review and Meta-analysis. American Journal of Hematology. 2014:1-7.
9. Schafer AI. Molecular Basis of the Diagnosis and Treatment of Polycythemia Vera and Essential
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10. Jakavi® (ruxolitinib) Summary of Product Characteristics. Basel, Switzerland: Novartis Pharma AG; January
2015.
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その
内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどに
より、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、
ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼
科用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品、予防
のためのワクチン・診断関連事業、OTC医薬品など、幅広い分野の製品を提供してい
ます。ノバルティス グループ全体の2014年の売上高は580億米ドル、研究開発費は99
億米ドル(減損・償却費用を除くと96億米ドル)でした。スイス・バーゼル市に本拠を
置くノバルティスは、約130,000人の社員を擁しており、世界180カ国以上で製品が使
われています。詳細はホームページをご覧くださいhttp://www.novartis.com/
以上
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