LCZ696、適切な時期に使用することで米国のHFrEF患者さんで 年間

ノバルティス ファーマ株式会社
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MEDIA RELEASE • COMMUNIQUE AUX MEDIA • MEDIENMITTEILUNG
2016年7月4日
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2016年6月22日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要
約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版
はhttp://www.novartis.comをご参照ください。
LCZ696、適切な時期に使用することで米国のHFrEF患者さんで
年間28,000人を超える死亡を、予防または遅延させることが可能である
という専門家の解析が、JAMA Cardiologyに掲載
•
LCZ696 の治療対象となる米国の全ての左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者さ
んに LCZ696 を処方した場合に見込まれる延命効果について、定量的に示した初めての
報告(著者らの定義による)1
•
循環器領域の専門医は、HFrEF 患者さんに LCZ696 を広く使用することが遅れた場合
のリスクを強調し、より早期に治療に取り入れる努力を求めている 1
•
本論文では、米国の心臓病関連学会により作成された改訂版心不全治療ガイドラインで、
LCZ696 が HFrEF 治療のために強力な ClassⅠ推奨とされた点を強調 1,2
•
JAMA Cardiology の別の解析では、LCZ696 が ACE 阻害薬による治療と比べて費用対
効果が高く、付加価値の高い他の心臓病治療に匹敵することを示している 3
2016年6月22日、スイス・バーゼル発 – JAMA Cardiologyに本日発表された新たな解析から、
LCZ696の治療対象となる左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者全員にLCZ696を適切
な時期にかつ広く採用すれば、米国だけでも毎年28,000人を超える死亡を予防または遅延さ
せることが可能であることが示されました1。本解析は、PARADIGM-HFの結果を既報の心不
全に関する統計学的データに適用したもので、LCZ696による死亡減少という潜在的ベネフィ
ットがもたらしうる影響について初めて定量化したものです1。
心不全は、米国で毎年300,000人を超える死亡の原因となっている慢性疾患で4、患者さんの
約半数がHFrEF患者です5。この新たな解析により、LCZ696を適切に使用すれば、毎年28,484
人というHFrEF患者の死亡を予防または遅延させることが可能であると推定されています
(感度分析による同推定値の範囲は18,230~41,017人/年)1。
さらに本報告では、予測されるリスク‐ベネフィットプロファイルを基に、臨床診療で
LCZ696の日常的な使用が遅れた場合、何万人もの死亡を予防できず、患者さんに大きなマイ
ナス影響が及ぶ可能性が示唆されています1。これらの結果から、著者らの定義による患者さ
んがLCZ696による治療を受けられるようになれば、HFrEF患者に大きな延命効果をもたらす
ことができると示されています1。著者らによると、HFrEF患者の84%(220万人)近くが
LCZ696による治療の候補と言及されています1。
心不全は生命を脅かす疾患で、治療薬があるにもかかわらず、心不全と診断された患者さん
のほぼ半数が5年以内に死亡しています4,6,7。著者らによると、本結果は、臨床診療へ適用す
ることで死亡の予防または遅延という大きな臨床的ベネフィットをもたらし、HFrEF患者の
健康に多大な影響をもたらす可能性があります1。
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ノバルティス ファーマのグローバル開発部門責任者兼チーフメディカルオフィサーである
ヴァサント・ナラシンハン(Vas Narasimhan)は次のように述べています。「この解析では、
LCZ696の治療対象となるHFrEF患者さん全員にLCZ696を使用すれば、毎年多くの患者さん
の命を救うことができると示されています。LCZ696は現在、欧米の臨床診療ガイドラインで
それぞれClassⅠ推奨を受けており、様々な解析から費用対効果が高いと示されていますので、
医師の方々や医療制度でこの画期的新薬を早急かつ広く使用することに自信を感じていただ
けるでしょう」
JAMA Cardiologyの同じ号に発表された別の解析では、研究者らがPARADIGM-HF試験から
得られたデータを用い、30年間にわたりLCZ696が健康にもたらす結果とその費用対効果をモ
デル化しました3。彼らはLCZ696をACE阻害薬のエナラプリルと比較し(いずれも他の標準
治療と併用)、LCZ696は1年を超える平均生存期間延長をもたらすこと、エナラプリルより
費用対効果が高いことを示しました3。モデル解析によりLCZ696またはエナラプリルが投与
された患者さんを1,000人ごとに比較したところ、生存者で毎年59.7回の心不全による入院が
避けられる可能性があります3。また、LCZ696は、植込み型除細動器(ICD)や非ジェネリッ
クの高コレステロール治療薬のスタチン等の、付加価値が高く広く受入れられた他の心臓病
治療と匹敵する高い費用対効果を示し、平均余命を延長させています3。
心不全について
心不全とは、生命を脅かす消耗性の病態で、世界で6千万人以上が罹患し6、65歳以上の入院
の主な原因となっています4,8。心不全患者さんの約半数がHFrEF患者です5。駆出率の低下と
は、心臓が十分な力で収縮できないために送り出す血液が減少することを意味しています8。
心不全の医療経済上の負担は大きくかつ増え続けており、世界経済に対する現在のコストは、
直接費用と間接費用で毎年1,080億ドルを占めています4,10。
なお、このたびノバルティスは、心不全疾患領域で過去最大となるグローバル臨床プログラ
ム「FortiHFy」について発表しました。「FortiHFy」は、40以上の実施中または計画中の臨
床試験で構成されており、LCZ696による症状軽減、有効性、QOL改善、実臨床に基づくエ
ビデンスについての数々の更なるデータを創出し、心不全についての理解を深められるよう
デザインされています。
LCZ696について
LCZ696は1日2回投与する薬剤で、機能不全に陥った心臓の負荷を軽減します。LCZ696は、
心臓に対する防御的な神経ホルモン機構(NPシステム、ナトリウム利尿ペプチドシステム)
を促進すると同時に、過剰に活性化したレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)
による有害な影響を抑制することで作用します11。他の心不全治療薬は、過剰に活性化した
RAASによる有害な影響を抑制するにとどまります12。LCZ696は、新規化合物であるネプリ
ライシン阻害薬サクビトリル、およびアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)であるバルサ
ルタンを含有しています11。
欧州では、LCZ696は、左室駆出率が低下した症候性慢性心不全の成人患者さんを適応として
います。米国では、LCZ696は、収縮不全を伴う心不全(NYHAクラスII~IV)の患者さんの
治療を適応としています11。LCZ696は、エナラプリルと比較して心血管死と心不全による入
院リスクを減少させ、全死亡リスクを低下させることも示されています。LCZ696は通常、ア
ンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはARBに替えて、他の心不全治療薬と併用投与
します。承認された適応症は、各国により異なる場合があります。
なお、現在日本では日本人の慢性心不全患者さんを対象としたLCZ696の第III相臨床試験を実
施中です。
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免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内
容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、
現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバル
ティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、ヘルスケアにおける世界的リーダーです。革新的な新薬、アイケア(眼科
用医療機器、コンタクトレンズなど)、高品質かつ安価なジェネリック医薬品など、幅広い
分野の製品を提供しています。ノバルティス グループ全体の2015年の売上高は494億米ドル、
研究開発費は89億米ドル(減損・償却費用を除くと87億米ドル)でした。スイス・バーゼル
市に本拠を置くノバルティスは約118,000人の社員を擁しており、世界180カ国以上で製品が
使われています。詳細はホームページをご覧ください。http://www.novartis.com
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以上
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