激変するサプライチェーン!卸・メーカーの対応が遅れる

2014年 8月号
激変するサプライチェーン!卸・メーカーの対応が遅れる
~これからはコスト削減とスピードアップが求められる~
6月から7月にかけて卸・メーカー向けのビジネスセミナーが当研究所主催で開催された。出席者のアン
ケートなどから浮かび上がってきたのは、台頭するネット小売への対応や、ネット小売と競合する従来の
販売チャネルの変化への対応が遅れていることだ。これは卸・メーカーだけの問題だけではなく既存の小
売企業にも深くかかわる問題だ。激変するサプライチェーンで勝ち残るためのポイントを探ってみた。
■従来型サプライチェーンの危機!
セミナー冒頭の「激変するサプライチェーン!グーグル・アマゾンが攻めてくる!?」では、日本の人口が減
少に転じる中で新興ネット小売業が大きく売上規模を拡大していること、既存の大手小売チェーンがオム
ニチャネル戦略を打ち出すなど激しい顧客争奪戦が始まっていること、一方で、消費者も店舗では商品を
確認するだけで購入はネットでしたり、カスタマー・レビュー※1やSNS※2の口コミを参考にして商品の購入
を決めるなど購買行動が大きく変化していると指摘した。これらは既存の小売業に頼った従来型サプライ
チェーンの売上規模が確実に減少していくことを示唆している。こうした中、卸・メーカーはネット小売への
参入を含めた新しいサプライチェーンのサプライヤになるのか否かの経営判断を迫られることになる。
■新しいサプライチェーンで求められるコストとスピード
卸・メーカーが新しいサプライチェーンのサプライヤとして成功するためには、競争力のある商品価格と、
即日配送のようなスピード物流体制が求められる。商品価格を低く抑えるためには仕入価格(メーカーな
ら原材料・資材の調達コスト)を下げたいが、現実にはそう簡単にはいかない。そこで注目すべきなのは、
内部コストである。仕入・購買に係るコストは意外に大きいのだが、つい販売に目が向きがちで仕入・購買
は昔のままという企業が圧倒的多数だ。セミナーのアンケートでも出席者の90%以上がFAX発注を行って
おり、いまだに伝票処理に労力をかけている。小売業のようにインターネットEDI化して伝票レスにすること
で大幅コストダウンを図るべきである。物流改革の方は容易ではないが、インターネットEDI化によって、ま
ずはリードタイムを短縮できる。
本気で取り組むサプライ
■先進事例から見えてくる勝ち残り策とは?
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先進事例としては、パン・菓子メーカー最大手の山崎製パンでは今年5月に
物品の購買伝票を全廃するインターネットEDIを導入。今後、資材・原材料の
調達や商品仕入のシステムも順次統合する。また、10年前から仕入購買を
インターネットEDI化している四国の和菓子メーカーあわしま堂では、仕入データを
様々な経営管理に活用するレベルに達している。両社とも得意先からの受注でもインターネット
EDIに対応済みで、新しいサプライチェーンにも積極的に参入している。コスト削減とスピード
アップの実現には得意先・自社・仕入先間を結ぶネットワーク構築が重要との認識があるからだ。
※1カスタマー・レビュー:商品購入者の評価がネット上で閲覧できる仕組みのこと
※2SNS:ツイッターやFacebookなどのソーシャル・ネットワーキング・サービスのこと
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