演習問題と休講課題の解答

7月16日の演習解答
問1.
Cu2+の八面体形ハロゲン錯体で,縦方向に伸びるひずみが生じる理由を,結晶場理論の観点か
ら説明せよ.
答.
Cu2+の電子配置は,
[Ar] (dxy)2 (dyz)2 (dxz)2 (dx2-y2)1 (dz2)2
であり,配位子と相互作用するのは主に,dx2-y2 と dz2 軌道である.dz2 軌道に二つの電子が入
ると,Cu2+の核電荷が効果的に遮蔽され,配位子は金属原子から遠ざかり,z 軸方向に結晶が
歪む.これで錯体のエネルギーが低下し安定する.
問2.
a ジアクアジクロロ白金(Ⅱ)
配位子:Cl―,H2O(neutral)
[ Pt Cl2 (H2O)2 ]
最初に金属,次にアニオン,後に中性の配位子
b ジアミンテトラ(チオシアナト-N)クロム(Ⅲ)酸イオン
Diammine tetra (isothiocyanate) chromate (III)
配位子:NSC― , NH3 (neutral)
[ Cr (NCS)4 (NH3)2 ]―
*本来のクロム酸ではないが,錯体が負の電荷を有するので,chromate と書いたらしい.それ
を翻訳では,クロム酸と訳している.
c トリス(エチレンジアミン)ロジウム(Ⅲ)
[ Rh (en)3 ]3+ 配位子:en (neutral)
d ブロモペンタカルボニルマグネシウム(Ⅰ)
[ Mn (CO)5 Br] 配位子:Br― ,CO (neutral)
e クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)
[ Rh (PPh3)3 Cl] 配位子:Cl― ,(PPh3) (neutral)
7月20日の休講課題解答
問1.p163 演習問題 3.1
問2.p211 練習問題 4.27
Al2S3 +6H2O = 2Al(OH)3 + 3H2S
反応物の Al2S3 はルイス酸 Al3+とルイス塩基 S2-のアダクツと見なされる.同じく H2O はルイ
ス酸 H+とルイス塩基 OH-のアダクツと見なす.それぞれの酸と塩基を交換することにより,新
たなアダクツである Al(OH)3 と H2S が生じると解釈することが可能である.
問3.p253 練習問題 5.4
a)
E
0.05916
pH = 7, PO2 =0.2, EO=1.23
b)
E
0.05916
として,E = +8.06 V
問4.p324 練習問題 7.3
a) Cs
b) D3h
c) Td
d) C∞v
e) C1
f) Td