2013年11月号 年末年始商戦に水を差す「食材偽装問題」の行方は? ~メニュー表示が法規制の対象になる可能性も~ 10月下旬にホテル業界に端を発した食材偽装問題は拡大し続けて収まる気配もない。これまでも偽 装表示と呼ばれる事件は繰り返し起こってきたが、今回の始まりは少し状況が異なっていた。あくまでも 食材の“誤表示”だという主張である。 ■協会加盟の百貨店の6割で「虚偽表示」あり もともと小売業が商品として扱う加工食品や生鮮食品とは異なり、外食業の料理や食材の表示は食品 表示法の対象外だ。メニューに記載された食材と実際に使用した食材が違っていた原因は業界特有の 通称や慣例による誤認識で、単なる間違いの“誤表示”とされた。ところが、子供向けメニューに表記さ れずに実際に使用されていた食材にアレルギーを引き起こすものがあったために状況は一変し、多方 面で調査が進む中、大手百貨店のおせち料理にも食材虚偽が発覚してしまった。さらには、日本百貨店 協会加盟の85社中6割にあたる51社121店で何らかの虚偽表示があったというのだ。 ■小売業も対策を求められるのは必至 アベノミクス効果でやっと上向いてきたムードに水を差された形の百貨店協会は、テナントに対し食材 や調理方法を文書で証明させるなど再発防止策を取りまとめて、すでに消費者庁に提出した。直接的な 責任はテナント側や仕入先にあるのだが、消費者からは看板としての責任を強く求められる。食品スー パーやホームセンターの大型店が、集客対策としてフードコートを設けたり敷地内の飲食業と協業してい るケースも増えている。すでに某GMSの飲食テナントの食材虚偽表示が発覚しており、この先、看板を 掲げる小売業にも対応が求められることは必至だ。 ■テナントの管理は想定外で実態も分からない 実際に飲食テナントなどを持つ小売業数社に影響や対策について聞いてみた。誰もがこれから本格化 する年末年始商戦への影響を危惧していた。ある中堅スーパーのMD担当者は「事件が起きるたびに “何かやらねば”という話にはなるが結局決まらない。取引先から仕入情報に産地や製造年月日、賞味 期限などは取得しているが事故発生時の運用ルールがない。テナント側の管理は全くの想定外で実態 すら分からないので質問表の回答待ち。もし、今後継続的に管理が求められるなら現状の体制では困 難」と胸の内を明かしてくれた。 ■ルール作りのために実態調査を始めよう 消費者庁は外食店のメニュー表示について新食品表示法の中に盛り込んで法規制する方向で検討を 始めた。農水省の食品表示Gメンと連携を取り監視も強化する予定という。 小誌はこれまでも偽装事件が起きるたびに対応策や社内ルールの確立を勧めてきたが、残念ながら 具体的なルールとそれを遵守する体制ができている企業はまだ少ないようだ。繰り返しになるが、事故 が起きてからでは遅い。消費者の信頼を失えばもう取り返しはつかない。まずは今すぐ担当者を決めて、 実態調査を始めてもらいたい。実態が分かれば守るべきルールは見えてくるに違いない。 ● お問合せ:「ニュートラル研究所」編集部 http:// www.neutral.co.jp/institute/ 東京都港区赤坂7-9-1トーユー赤坂ビル別館 TEL:03-5575-3655 FAX:03-5575-3654 E-mail:[email protected] ※ 今後、このような情報提供がご不要な場合は、お手数ですが 送信停止希望欄にチェックの上、ご返信ください。 □ 送信停止希望 お客様FAX番号: - -
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