TOPICS

TOPICS
設計業の ASEAN 進出
―結果を急がず、夢を持って取り組む
製造業のグローバル化が進む中,企業の海外拠
現地に送るというスタイルが一般的であったが,
点の果たす役割はますますその重要さを増してい
それでも現地の事情に合わせた改造など,設計業
る。進出した企業では,主にコスト削減という観
ができる仕事も多いのではないかと考えていた。
点から,品質基準を満たす部品や生産設備の現地
そこで工業会として,設計業の海外進出について
調達率をいかに高めていくかが,今後ますます重
調査・研究することになり,すでに当社がインド
要なポイントとなっており,生産の現地化に加え
ネシア進出を実施していたこともあり,当社およ
て,開発の現地化も大きな焦点となってきている。 び当社と付き合いのある加工メーカーを中心に視
こうした中,日本機械設計工業会[東京都中央
察いただくことにした(写真 1)
」
区]では,生産設備製造やそれに伴う設計業務の
―御社のタイおよびインドネシア拠点の概要を
現地化の現状や課題を調査するため,昨秋,自動
教えてください。
車工業の進出が著しいインドネシアへの視察旅行
「インドネシアでは,日本人 1 人,インドネシ
を実施した。そこで同視察旅行のメンバーであり,
ア人およびマレーシア人 11 人の併せて 12 人の陣
自身も設計業としてインドネシア,タイに拠点を
容で営業も含めた設計業務をこなしている(写真
置き,今回の視察先企業の一つでもある興南設計
2)
。主に現地の日系企業を顧客として専用機や
[岡山県倉敷市]の森彰代表取締役社長に今回の
治具を中心に設計をしているが,設立して 3 年と,
視察の目的および設計業の海外展開の課題などに
まだ日が浅いため技術的にはまだ課題も多く,現
ついて伺った。
地のお客さんに怒られながら育てていただいてい
(編集部)
大企業とは違う,設計業の海外展開
るところだ。ただし,複数のインドネシア人スタ
ッフが日本の大学への留学経験があり,高い日本
―視察旅行の背景や動機を教えてください。
語能力や仕事への姿勢も含めてきちんとしている
「特に 2013 年の夏ごろまで日本経済の先行きが
ため,人材面では恵まれているといえる」
不透明だったこともあり,設計業の生き残り策の
「一方,タイもやはり 3 年前に開設したが,イ
一環として海外展開を模索しなければならない状
ンドネシアのような繋がりがなかったため,通訳
況があった。設計業は工業製品そのものだけでな
を連れてチュラロンコン大学などの工科系学部を
く,それを作る生産設備にも関与している.生産
設備の場合,従来から国内で開発製造したものを
写真 1‌ インドネシア視察団。日系加工メーカー
千代田工業への視察
90
写真 2 ジャカルタ郊外のブカシ県にある
興南インドネシアの設計室
機 械 設 計