本年度学校教育の努力点とその推進計画 進んでかかわる子どもの育成 ─かかわり学び合う明徳文化の継承を通して─ (1) 研究主題について 本校の努力点研究における進んでかかわる子どもとは,目的に応じて,進んで他者とかか わることができる子どものことである。ここでいう目的とは,他者との関係をよりよいもの にすることや学習課題を解決することを指す。 例えば,登下校の場面では,家族・地域の人・教師・友達などに対して,進んで挨拶をす ることができる子どものことである。また,授業の場面では,自分と他者の考えを比較・検 討して,学習の理解を深めることができる子どものことである。 国立教育政策研究所(2011)は,他者とのかかわり方や挨拶の仕方を教えても,成果が見 られなかったり,効果が持続しなかったりすることの原因として,「他者とかかわりたい」と いう意欲の欠如を挙げている。 そこで,本校の努力点研究では,子どもたちにかかわるよさを味わわせる活動を工夫する ことで, 「他者とかかわりたい」という意欲を引き出すようにし,進んでかかわる子どもの育 成を目指したい。 (2) これまでの努力点研究の経過 本校では,平成24年度まで,話す力・聞く力を高める活動の工夫についての研究に取り組 んできた。そこで培った成果を生かして,平成25年度から「進んでかかわる子どもの育成」 といった研究主題を設定し,研究を進めてきた。この研究主題での取り組みは,3カ年計画 で推進してきており,今年度はその3年目に当たる。 1年目では,成果として,「校内において,教師や友達に進んで挨拶できるようになってき た」「挨拶活動,スピーチ活動,他学年との交流活動,五色百人一首,長縄跳び,相手のよさ を見付ける活動,意見交換の活動が,かかわるよさを味わわせる活動として有効であった」 といったことが明らかになった。また,課題として,「校外で,家族や地域の人に挨拶するこ とができない」「目上の人や年が離れた子に対する関係づくりが不得手」「意見が食い違った ときの折り合いを付ける力が不十分」といった点が挙げられた。 2年目では,上記の課題を踏まえて,①挨拶運動,②異学年交流,③かかわるよさが味わ える授業づくりの三つの柱を設定し,実践を行った。その結果, 「進んで挨拶できる子がさら に増えた」「上学年と下学年の関係において,良好なかかわりがよく見られるようになった」 「自他の考えの違いを,学習課題の解決や理解の促進,技能の習得に生かそうとする姿がよ く見られるようになった」といった成果があった。一方, 「相手を見ずに,下を向いて挨拶し ている子がいる」「異学年交流を行うこと自体が目的になってしまっている」「かかわり合う 上で,さらに言語活動を充実させる必要がある」といった課題も明らかになった。 (3) 目指す子ども像の具体化 本研究における進んでかかわる子ども像を、次のように具体化する。 - 1 - ① 目と目を合わせて,笑顔で挨拶することができる子ども ② 上学年のよいところ(明徳文化)を,下学年に引き継ぐことができる子ども ③ かかわり合い,学び合うよさに気付くことができる子ども (4) 目指す子ども像に迫るための手だて ① 挨拶カードによる適切な挨拶の習得(全校) 全学年で共通した挨拶カードを用いて,どんな挨拶の仕方がよいのかといった観点をし っかりともたせ,自分の挨拶を振り返らせることで,目と目を合わせて,笑顔で挨拶する ことができるようにする。また,「目と目を合わせて笑顔で挨拶」をキャッチフレーズとし て設定する。 ② 異学年交流活動による明徳文化の継承(特別活動,総合的な学習の時間) 特別活動や総合的な学習の時間において異学年交流活動を行い,上学年には下学年に伝 えたいことを意識させ,下学年には上学年のよいところを見付けさせることで,上学年の よいところ(明徳文化)を,下学年に引き継ぐことができるようにする。また,各学年間 における明徳文化継承の系統性を「明徳文化継承図」としてまとめる。 ③ 学び合い活動によるかかわるよさの感得(各教科・領域) 以下の4観点で学び合い活動を工夫することで,かかわるよさを実感させるようにする。 ア 学習課題(めあて)の提示の工夫 子どもに自ら学びたいと思わせるためには,学習課題(めあて)の提示の仕方をどの ように工夫すればよいか。 イ 学び合う形態の工夫 どのような場面に,何人の集団で,どのような座席配置で学び合わせるのか。 ウ 学び合いを活性化させる教師の働き掛けの工夫 学び合いを活性化させるためには,教師のどんな働き掛けが必要か。 エ 自己評価活動の工夫 学び合いのよさ,かかわるよさに気付かせるためには,どんな観点で学び合い活動を 振り返らせ,自己評価させるとよいか。 かかわるよさを実感させるための効果的な学び合い活動の在り方について明らかにし, その成果を「明徳小の学び合い活動(明徳モデル)」としてまとめる。 (5) 検証方法について 事前と事後に意識調査(アンケート)を実施し,その結果から変容を調べ,研究主題に迫 れたかどうかを検証する。原則として,事前調査と事後調査の調査項目は,同じ内容で実施 する。異学年交流については,事後に感想文を書かせ,その記述内容から実態を調べる。 また,必要に応じて抽出児童を設定し,その変容を調べる。 (6) 環境の整備 教室に,「キャッチフレーズ」や「努力点だより」などを掲示する。 また,当番・係活動等の学級活動における子どもたちの交流の場として,教室の掲示板や 背面黒板に,よいところ見付けのカードや感謝の手紙を掲示する。 - 2 - (7) 組織 校長・教頭 努 力 点 推 進 委 員 会 校長,教頭,教務主任,校務主任,努力点主任,特別支援学級代表,各学年代表 努 低学年 力 点 全 体 会 実 践 部 会 ひばり・つばめ学級担任,1・2年担任,養護教諭,教務主任 中・高学年 3・4・5・6年担任,校務主任 学 年 部 (8) 年間の研究計画 (推…推進委員会,職…職員会議,全…全体会,部…実践部会,学…学年部会) 4月 職・部:研究主題,基本方針の決定(4/7) 全・部:研究推進の提案,部会の計画(4/8) 学・部:実践計画の立案 11月 部・部:授業研究 :全体授業事前検討会(6/11) 12月 部・部:授業研究 :全体授業,事後検討会(6/18) 部・部:授業研究 全・学:2学期の取り組みの反省(12/17) 1月 部・部:授業研究 7月 部・部:授業研究 学・部:最終まとめの作成 全・学:1学期の取り組みの反省(7/6) 8月 学・部:中間まとめの作成 部・部:授業研究 部・部:授業研究 全 9月 部・部:授業研究 10月 全・部:中間報告会(10/8) 5月 全・部:各学年の計画発表(5/18) 6月 全 会 文献研究,研究大会への参加等 2月 全・部:最終報告会(2/4) 3月 推・部:次年度の方向性の検討(3/18) (9) 研究授業について ① 年間に一人1回ずつ,努力点に関わる研究授業を行う。 ② 事前に指導案(略案)を書き,全職員に配付する。 ③ 同じ実践部会内で参加し合う。(他の部会でも参観可) ④ 参観者で事後検討会(約30分間)を行う。 ⑤ 全体の中から代表を一人決め,全体代表授業を行う。加えて,同日の業後に,事後検討 会(60分間)を行う。なお,代表授業については,指導案(細案)を基に,事前検討会(授 業日の1週間前)を行う。 引用・参考文献 国立教育政策研究所(2011)『子どもの社会性が育つ「異年齢交流活動」─活動実施の考え方から教師用活動案ま で─』http://www.nier.go.jp/shido/centerhp/2306sien/2306sien3_2s.pdf - 3 -
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