平成27年度研究推進計画 学 校 名 江田島市立三高小学校 校 1 長 名 桐 原 寿 美 江 研究主題,研究内容,研究方法等について (1) 研究主題 主体的に学び,表現する児童の育成 ~言語活動を効果的に取り入れた指導の充実~ (2) 研究主題設定の理由 本校では,「人とつながり,心豊かにたくましく生きる三高っ子の育成 ~気づき 考え 表 現する児童 ~ 」を教育目標に掲げ「知」「徳」「体」の調和のとれた心豊かでたくましい児 童の育成を目指している。 この教育目標をもとに,昨年度から,国語科における「読むこと」領域の指導法の改善を研究 し,言語環境の整備も行ってきた。 これらの研究から,教師の国語科指導における意識や児童の国語科学習における苦手意識が改 善されてきた。まず,教師については,単元を貫く言語活動の設定と教材分析シートの活用によ り,その単元で児童にどんな力をつけるのか,その教材はどんな特徴もっているのか,最適な言 語活動は何かを,意識した教材研究や指導ができるようになってきた。次に,児童については, 単元を貫く言語活動の設定により,見通しをもった学習ができ,目的をもって読んだり書いたり して,楽しみながら主体的に取り組むことができるようになってきた。 しかし,第二次の指導課程において,単元構成の組み方や指導法に課題が残り,単元を貫いて 言語活動を取り入れた指導にはなりにくかった。また,教材分析シートの児童への活用にも課題 が残り,教材分析シートを見直す必要があるとともに,読み方のコツを指導できるように研修を 積み上げる必要があることも分かった。さらに,評価の仕方や児童の語彙を広げる取組において も課題が残ったり,教科書の採択が変わるため,年間指導計画の作成ができなかったりした。 児童の実態においても,アンケート結果では国語科に対する苦手意識が少しずつ減り,一昨年 度「基礎・基本」定着状況調査質問紙において「国語は好きでない」児童が 4 割以上もいたが, 今年度は 3 割に減っている。 また,昨年度 4 月と 2 月に実施した教研式標準学力検査CRTでは,「国語への関心・意欲・ 態度」における得点率の全国比が,全学年80以上から90以上に向上した。「読む能力」にお ける得点率の全国比も,全学年65以上から90以上に向上した。「書く能力」における得点率 の全国比も,全学年70以上から80以上に向上した。しかしながら,評定が上がったのにもか かわらず,関心・意欲・態度が下がった児童がいたり,「辞書を活用すること」や「目的に応じ て構成を考え書く」,さらには「指示語の理解」や「段落の読取」「要点の読取」「叙述に即し た読取」において,全国比を下回ったりしていた。 さらに,「基礎・基本」定着状況調査結果では,「叙述を基に想像して読む」の通過率が 75.0% と向上した。しかしながら,「読むことタイプⅠ」では,「段落相互の関係を把握すること」の 通過率が 20%, 「ふさわしい言葉を文章中から抜き出して書く問題」の通過率も 20%であった。 「読むこと・書くことタイプⅡ」でも,昨年度 0%であった「目的に応じた引用」や「理由を挙 げた記述」の通過率が 30%と上がってはいるが,県平均よりも低く,文章構成をとらえることに 課題が残った。 全国学力・学習状況調査結果においては,「付せんの内容を関係づけてまとめを書く」ことの 通過率が 31.3%, 「指定された立場に立ち質問や意見を書く」ことの通過率は 37.5%と低く, 「書 くこと」の領域に課題が残った。 これらのことから,児童自らが課題意識をもち,基礎的・基本的な知識・技能を活用して課題 を探究することのできる授業展開の充実がより求められる。また,「話すこと・聞くこと」「書 くこと」「読むこと」においても,各領域の目標を関連付け,指導を調和的に行う配慮がさらに 必要である。 そこで,今年度は,「主体的に学び,表現する児童の育成」を目指し,言語活動を効果的に取 り入れた指導のさらなる充実を目指した研究をすることとした。今年度は2年次として,新教科 書において,様々な言語活動の特徴分析を行い,取り上げる指導事項と付けたい力を明示した年 間指導計画の作成を行う。そして,説明文を中心に,書く活動を取り入れた学習展開の工夫改善 や第二次の指導課程等の工夫改善を行うことにより,読む能力や表現力を高めていきたいと考え る。これによって,主体的に学び表現する子どもの育成ができると考え,本主題を設定した。 (3) 研究仮説 「読むこと」領域の指導において,目的に応じて読む能力の育成に最適な言語活動を選定して単 元を貫いて位置付け,書く活動を取り入れた学習展開の工夫改善を行えば,児童は主体的に学び 表現することができるであろう。 2 研究内容・検証の指標・達成目標及び検証計 研究内容 検証の指標 達成目標 教師の意識調査及び児童の ・教師と児童にアンケート ・年度始めと年度終わりのアンケート 実態調査の実施・分析・考 や標準学力検査 CRT を や標準学力検査 CRT を比べて,数 察 実施する。 値の上昇が見られる。 年間指導計画の作成 ・最適な言語活動の選定と 位置付け ・授業改善に機能した形式 を工夫する。 ・単元構成の工夫 ・書く活動の工夫 指導計画を作成する。 上にする。 ・理論研修や研究授業を実 施する。 ・授業研究のやり方を工夫改善し, 単元を通した研修を行う。 ・学習モデルを作成し,学習規律や指 ・第二次の指導の工夫 言語環境の整備 位置付ける言語活動を明示した年間 ・評価について,B評価以上を 80%以 指導法の工夫改善 ・付けたい力の明確化 ・取り上げる指導事項や付けたい力, 導の一貫性を図る。 ・学級,廊下等の掲示版の 整備を行う。 ・学習の単元計画を掲示する。 ・語彙を広げる掲示の工夫を行う。 ・毎月,児童の川柳を掲示する。 3 研究方法 ①部会研修 ②全体研修 ○指導案検討 ○付けたい力の明確化,最適な言語活動の選定,単元構成の工夫,書く活動の 工夫について,チェックリストを活用して研修する。 ・授業研究…講師を招聘する。思考場面における児童の見取りを行う。 ・事後研究…協議会をもつ。事前研究の検証後,講師から指導を受ける。 4 研究組織図 校長 教頭 教務主任 研究主任 研究企画:校長,教頭,教務主任, 研究主任・ことばの教育担当 【原則として月第4木曜日(15:10~)に設ける】 研究推進部会 言語活動部会 (河野・加藤・宮本) (本﨑・住本・日浦・岩崎) 全体研修会 講師の招聘 ○理論研修 研究会参加 先進校視察 ○事前・事後研究 低学年ブロック 中学年ブロック 高学年ブロック ・校 長・・・全教育活動を統括し,研究企画への指導,助言を行う。 ・教 頭・・・校長の補佐並びに研究企画との連絡調整を行う。 ・研究企画・・・研究計画の立案と各種提案の検討を行う。 【研究推進部会】 【言語活動部会】 ◎授業改善を中心にした研究を行う。 ◎日常生活に生かせる言語環境の研究・整備 を行う。 1 指導法の工夫改善 1 言語環境の充実 ①児童・教師の意識調査及び実態把握 ①学級や廊下,パティオ等の校内掲示物 ②付けたい力の明確化 整備 ③言語活動の種類とその特徴 ②川柳作りの取組 ④言語活動の選定と位置付け ③朝の会のスピーチ ⑤単元構成の工夫 ④話合い活動 ⑥書く活動の工夫 ⑤レインボー・タイム ⑦授業改善に機能した年間指導計画の ⑥ことばノートの取組 作成 2 発表朝会 ⑧学習モデルの作成と学習規律の徹底 3 読書活動の充実 2 板書の構造化 ①読書タイム 3 標準学力検査 CRT の実施と分析 ②読書ボランティア 4 評価の仕方 ③並行読書の工夫 4 あいさつ・返事・言葉遣いの指導 5 校内研修計画(研究企画-原則として月第4木曜日 15:10~設ける,部会研修等-随時) 月 研修形式 内 容 講師招聘 20 ○研究企画 27 ○全体研修 13 ○全体研修 ・単元を貫く言語活動について 21 ○全体研修 ・指導案検討(6/5授業・・・6年) 27 ○部会研修 28 ○研究企画 5 ○授業研究・協議会・ 理論研修(6年) ・授業研究,理論研修 26 ○部会研修 ・読み方学習の進め方 ・掲示物,読書活動の進め方 29 ○研究企画 4 5 6 7 ・研究主題の設定・推進計画の立案, 研究の方向性の確認,学習規律の確認 ・アンケート作成,実施について ・指導案形式,教材分析シートについて, 研究授業の進め方・まとめ方等,児童の実態把握 ・川柳作りの取組,ことばノートの取組,校内掲示につ いて,レインボー・タイムについて ・アンケート実施,年間計画作成スタート ・指導案形式,教材分析シートについて, 研究授業の進め方・まとめ方等 確認 ・川柳作りの取組,ことばノートの取組,校内掲示につ いて,レインボー・タイムについて ○部会研修 ・研究授業でのチェックリスト,評価の仕方について ・校内掲示物について ・研究授業でのチェックリスト,評価の仕方について ・校内掲示物について ・年間指導計画の作成について ・掲示物作成 広島大学大学院 吉田裕久名誉教授 8 26 ○全体研修 27 ○研究企画 ○個人研修 ・教材研究の仕方 17 ○授業研究・協議会 (2年・3年) ・授業研究,理論研修 24 ○研究企画 19 ○全体研修 9 10 ・指導案検討(9/17授業・・・2年・3年) 言語活動について 広島大学大学院 吉田裕久名誉教授 ・指導案検討(11/6授業・・・1年・4年) ○部会研修 6 11 ○授業研究・協議会 (1年・4年) ・授業研究,理論研修 広島大学大学院 吉田裕久名誉教授 ○部会研修 26 12 ○研究企画 ○個人研修 ・授業研究についてのまとめ 6 ○全体研修 ・指導案検討(1/22授業・・・5年) 22 ○授業研究・協議会 (5年) ・授業研究,理論研修 ○部会研修 ・今年度の取組の成果と課題 28 ○研究企画 ・今年度の取組の成果と課題 3 ○検証テスト実施 ・児童の実態把握(アンケート,標準学力検査 CRT) ○個人研修 ・標準学力検査 CRT における分析(各学年) 10 ○部会研修 ・来年度の取組の方向性について(「今年度の取組の成 果と課題」と「標準学力検査 CRT 分析」をもとに) 25 ○研究企画 ・来年度の研究推進計画作成 3 25 ○研究企画 ・来年度の研究に向けて 6 研究公開の予定 1 2 公開予定日 11月14日(土) タイプ 報告型(地域公開) 公開範囲 県内 公開内容 ① 児童発表 ② 国語科経過報告 広島大学大学院 吉田裕久名誉教授
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