平成26年度卒業式校長式辞

【全日制卒業式 校長式辞】
卒業生のみなさん。卒業おめでとう。
保護者のみなさまには、お子さまのご卒業を心よりお祝い申し上げます。これまでいつく
しみ育ててこられた成果としての今日の晴れ姿があるものと思います。本当におめでとう
ございます。
また、本日は神奈川県議会議員 守屋てるひこ様、同窓会長 小野康夫様をはじめとして
多数のご来賓のみなさまには、ご多忙な中、本校卒業式にご列席いただきまして、深く感
謝申し上げます。ありがとうございます。
さて、卒業生のみなさんに、卒業にあたって一つお話します。
人生において私が確信していることがあります。それは「人間に必ずチャンスは巡ってく
る」ということです。本当にチャンスは必ず巡ってくるんです。
ただし、一つだけ前提条件がつきます。「努力するものにとって」という条件です。
棚から牡丹餅という言葉がありますが、この言葉のように僥倖を待つだけの人間には、チ
ャンスは巡ってこないかもしれません。しかし常に自分が目指す目標に向かって努力を続
ける人間には、チャンスは必ず巡ってきます。たとえ不遇な時期があっても、それでめげ
ることなく、自分の未来を信じて努力するものにチャンスは必ず与えられます。
歴史の中から、一つだけ例を挙げて話したいと思います。
ナポレオン・ボナパルトという人物がいます。フランス革命の混乱から台頭し、フランス
第一帝政の皇帝となり、一時はヨーロッパ大陸のほとんどを影響下においた英雄です。
彼から学ぶことは多いのですが、ここでは最初にあげたチャンスを生かす努力と勉強、不
遇に屈しない強い意思を見てみたいと思います。
彼はフランス領コルシカ島の貴族出身です。しかしフランス貴族としては新参ものであり、
コルシカ訛のフランス語を話す田舎者を、パリの貴族の子弟はばかにしたため士官学校で
は苦労したようです。当時の貴族士官が目指す花形兵種騎兵科ではなく砲兵科を選んだの
にも理由があったといわれています。
彼は努力しました。伝説となっている「3時間睡眠」は事実かどうか確認できませんが、
士官学校時代のナポレオンの勉強ぶりは有名です。
彼が軍に任官後、しばらくは鳴かず飛ばずの時期がありますが、1793 年、ツーロン港奪回
作戦で一躍有名になります。しかし彼なりに革命に共鳴し、一時山岳派のロベスピエール
と親しかったことからテルミドールの反動後、一転失脚し予備役になります。一旦は軍人
としての生命を断たれたのです。しかし彼はけっして人生をあきらめません。幸い革命が
優秀な軍人を必要としていたことから王党派のヴァンデミエール反乱を市街地砲撃戦によ
って鎮圧して再び台頭します。
そして 1796 年、当時総裁政府のフランスは第一回対仏大同盟と戦争していましたが、敵の
中心はオーストリア、今のドイツです。
フランスがドイツと戦争するとき、その正面はライン川です。1796 年のフランス軍はジュ
ルダン、モローの両将軍が主戦場であるラインからウィーンを攻めることになりました。
ナポレオンは牽制役です。ナポレオンのアルプス越えは大変有名ですが、当時のフランス
で、アルプスを越えてイタリアに攻め込む、さらには北イタリアを制圧して再びアルプス
を北上してオーストリア本国に向かうなどは夢のまた夢。あくまでもナポレオンはオース
トリア軍の一部をひきつければそれで役目は成功、あとはライン方面軍がやるからいい、
という図式だったのです。
プライドの高いナポレオンでしたが、けっして脇役であることで拗ねることもなく、むし
ろ闘志を燃やします。脇役が主役になることを狙って。
結果として、ライン川の主戦場でフランス軍は敗退します。そして脇役だったナポレオン
軍がアルプスを越えて、北イタリアを席捲、再度アルプスを越えてオーストリアの首都ウ
ィーンに迫るのです。1797 年のカンポフォルミオ和約の主役はナポレオンでした。
彼から学ぶこと。
自分を信じて努力を続けること。差別やいじめに決して負けない強い精神力を持つ(士官
学校時代)。不遇な時期があってもけっして人生をあきらめない(予備役時代)。そして
チャンスが来ることを信じて努力を続ける。チャンスは小さなものかもしれない、しかし
それを大きなチャンスに変えるのは自分自身だ(イタリア遠征)。
卒業にあたって、みなさんに伝えたいことは以上です。
努力するものにチャンスは必ずやってくる。自分を信じて、努力を続けよ。
人生不遇な時期は必ずある。けっして拗ねるな、チャンスが来ることを信じて努力を続け、
小さなチャンスでもそれを大きなものにするのは自分だ。
みなさんの飛躍を信じています。卒業おめでとう。