ホメオスタシス 恒常性 生物の生存 外部環境と生物自身の内部環境に依存 外部環境は大きく変動 ↓ 内部環境 (体温・血圧・浸透圧・pH等) = ほぼ一定 生物: 内部環境をほぼ一定に保ち、 細胞・組織・器官が十分に機能できるシステムを持つ この安定した状態 = 恒常性 (ホメオスタシス) 内分泌系と自律神経系が協調的に働く 内部環境の定常性の維持 → 負のフィードバック経路という制御システム 内部環境のそれぞれの状態を測定できるセンサー sensor → 常に細胞外を監視 → その情報を統合中枢 integrating center へ中継 (通常は神経信号として送られる) 統合中枢 その状態の適切値である設定値を持つ (体温、血糖値、腱の伸張度など様々) 脳や脊髄の特定部位、内分泌腺の細胞 複数のセンサーから刺激という形で情報を受け取る それぞれのセンサーの入力の相対的な強さを測定 今の状態値が設定値とずれていないかどうかを決定 偏りが見つかれば → 特定の効果器の活動性 (筋肉や腺) 増加あるいは減少させる 効果器 → その時の状態値を設定値に近づけるよう応答 ヒト: 内温性 外気温とは無関係に 体温を比較的一定に維持 血液温度が37度を超えると 脳の視床下部のニューロン群 ↓ 温度変化を検出 ↓ 運動ニューロンの働きを制御 ↓ 発汗や皮膚内の血管の拡張 ↓ 体温の上昇を抑える 体温が下がる 視床下部 ↓ 先ほどと正反対の応答 震え 皮膚内の血管の収縮 最初の偏りを補正 ↓ 体温の恒常性を保とうとする 外気温が皮膚で感知されると、 (1)交感神経からノルアドレナリンが分泌される (2)同時に、様々なホルモンが分泌される 熱を失わないような機構 が働く 体温を上昇させる方向の機構 同時に血液の温度が体内でモニターされ、 体温は適度に維持される インスリンとグルカゴン すい臓: 胃に近接し、膵管を通して十二指腸に開口 消化酵素を小腸に分泌するための外分泌腺だと考えられていた ↓ 導管を持たない細胞の小集団がすい臓の全体に分布 = ランゲルハンス島 → 糖尿病を防ぐホルモンが分泌 = インスリン 血液中のブドウ糖(血糖、実はグルコース) → 一定濃度への維持 摂食により血糖量が上昇 すい臓のランゲルハンス島B細胞 → インスリン分泌 → 血糖値を元に戻す インスリンの主要な作用 = ブドウ糖からグリコーゲンを合成 肝臓、筋肉、脂肪細胞でブドウ糖の細胞内への取り込みを高める 血糖量が減少すると すい臓のランゲルハンス島A細胞 → グルカゴン分泌 グルカゴン 肝臓に作用 貯蔵されているグルコーゲンを分解 → ブドウ糖 → 血中に分泌 → 血糖量の上昇 副甲状腺ホルモン(PTH) ヒトの生存に不可欠な2ホルモンのうちの一つ (もう一つはアルドステロン) 副甲状腺 → 甲状腺に付着した4つの小さな腺組織 大きさが小さいため、20世紀に入るまでその存在は無視 PTH → 血中Ca++濃度の低下に反応し合成、放出 正常な血中Ca++濃度 心臓を含む筋組織、また神経系や内分泌系の機能に重要 Ca++濃度の低下 → 筋肉の痙攣を引き起こす PTH → 破骨細胞を刺激 → 骨基質のリン酸カルシウムの結晶を溶かす → 血中にCa++イオンを遊離 腎臓を刺激 → 尿からのCa++イオンの再吸収を促進 → ビタミンDを活性化 ビタミンD → 腸からのCa++イオンの吸収を促進 → 血中Ca++イオン濃度の上昇 → 骨の骨化を促進 コルチコステロイド 副腎 内部の髄質 + それを取り巻く外層の皮質 副腎髄質 自律神経系の交感神経からの入力 その刺激に応答 • アドレナリンとノルアドレナリンを分泌 心拍数の増加 血圧の上昇 細気管支の拡張 血糖値の上昇 皮膚・消化器官の血流の減少 = 交感神経を介する効果と同じ 副腎皮質から放出されるホルモン = コルチコステロイドと総称 ① コルチゾル(哺乳類では糖質コルチコイド) 体内の様々な細胞に作用し、糖代謝の調節に関与 下垂体前葉ホルモンのACTHによる調節を受ける 筋肉タンパクのアミノ酸への分解を促進 生じたアミノ酸 → 血流に乗って肝臓へ運ばれる 肝臓内 → 運ばれてきたアミノ酸を使って グルコース合成に必要な酵素の合成を促進 ② アルドステロン = 鉱質コルチコイド (i)腎臓における尿からのNa+イオンの再吸収の促進 尿 = 血液をろ過することで作られる 尿からNa+イオンが再吸収されないと → 血中Na+イオンが低下 = 正常な血液量や血圧の維持に支障をきたす 鉱質コルチコイドがない → 腎臓では過剰量の血中ナトリウムイオンが排出 → それに伴いCl-イオンと水分も尿として排出 → 血液量と血圧が低下 (ii) 腎臓でのK+イオンの尿への排出の促進 血中K+イオン濃度の上昇 → 生命にかかわるほど危険 それ故、ヒトの生存に不可欠な2つ目のホルモン (もう一つは副甲状腺ホルモンPTH)
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