磁気圏構造とオーロラ 塩川和夫 (名古屋大学太陽地球環境研究所) Contents ・磁気圏のプラズマ領域 ・磁気圏プラズマダイナミクス ・磁気圏プラズマ変動による沿磁力線電流・ オーロラの駆動 ・サブストームとその発生機構の議論 プラズマ圏 1-4Re (1-10eV) リングカレント領域 ローブ peak:3-4Re (10-100keV) 磁気圏境界層 太陽 プラズマシート (1-10keV) ローブ 放射線帯 1.5-4Re (100keV-10MeV以上) 磁気圏境界層 電離圏(1eV以下) 磁気圏プラズマダイナミクス MHD近似による運動方程式 dv nm Pth j B dt n: プラズマ密度 m: 粒子質量(近似的にイオンの質量) v: 流体速度ベクトル Pth: プラズマ圧 Pth = nkBT j: 電流密度ベクトル j = ne(vi-ve) B: 磁場ベクトル (1) MHD近似による運動方程式 dv nm Pth j B dt (1) 粒子加速 = プラズマ圧の勾配力 + 電流にかかるローレンツ力 B 0 j を使うと dv 1 nm (Pth PB ) (B ) B dt 0 (2) 粒子加速=プラズマ圧の勾配力+磁気圧の勾配力+磁気張力 磁気圧力、プラズマ圧力、tension force (磁気張力)の力のバ ランスが崩れたところで、流体粒子の加速が起こる。 dv 1 nm (Pth PB ) (B ) B dt 0 圧力勾配力 磁気張力 磁気張力と圧 力勾配力の釣 り合いの例 (磁気圏尾部) 1.磁気圧に よる圧縮 3.磁気張力に よるプラズマ 加速 2.磁気再結合 惑星間 空間磁場 張力 張力 磁気圧 磁気 再結合 昼側 張力 磁気再結合 夜側 lobe 密度小、温度小、B大 B -∇Pth 密度大、温度大、B小 -∇Pth B -∇PB plasma sheet -∇PB 密度小、温度小、B大 lobe dv Pth j B (1)の式 nm dt に右からxBを作用させると B Pth nm dv j B 2 2 B B dt (3) 磁場に垂直な電流 = プラズマ圧の勾配による電流 + 慣性電流 圧力勾配に伴う電流の説明 Pth = nkT j⊥ B 密度小 密度大 B Pth j 2 B j⊥ B 温度大 温度小 (旋回半径大) (旋回半径小) 圧力勾配(∇Pth ) 圧力勾配(∇Pth ) lobe 密度小、温度小、B大 B -∇Pth 密度大、温度大、B小 -∇Pth B -∇PB plasma sheet -∇PB 密度小、温度小、B大 lobe B Pth j 2 B lobe B -∇Pth plasma sheet B (元の磁場を強める) j⊥ -∇PB B (元の磁場を弱める) B (元の磁場を弱める) j⊥ -∇PB 密度大、温度大、B小 -∇Pth B 密度小、温度小、B大 lobe B (元の磁場を強める) 慣性電流の説明 nm dv j 2 B B dt B=0 B 電子 イオン j⊥ Introduction to Space Physics より Ness et al., JGR, p.3305, 1966. 磁気圏プラズマ変動による 沿磁力線電流・オーロラの駆動 電流の連続の式 j ( j j ) 0 // j// 従って j j// B s B これに B Pth nm dv j 2 B 2 B B dt を代入すると 沿磁力線電流の式が出てくる。 2 B d( v ) j in (nm) j// B 2 j B nm 3 d l// B dt nm B B (4) 2 B d( v ) j in (nm) j// B 2 j B nm 3 d l// B dt nm B B 第1項: j⊥方向の磁場勾配 第2項: flowのshear(渦)の時間変化 第3項: 慣性電流方向の密度勾配 が沿磁力線電流を駆動する=オーロラを光らせる B Pth nm dv j 2 B 2 B B dt (4) nm dv jin 2 B B dt Hasegawa, A., and T. Sato, Generation of field aligned current during substorm, in Dynamics of the Magnetosphere, edited by S.-I. Akasofu, pp. 529-542, D. Reidel, Norwell, Mass., 1979. Haerendel, G., Field-aligned currents in the Earth's magnetosphere, in Physics of Magnetic Flux Ropes, Geophys. Monogr. Ser., vol. 58, edited by C. T. Russell, E. R. Priest, and L. C. Lee, pp. 539-553, AGU, Washington, D. C., 1990. 第1項: j⊥方向の磁場勾配 第3項: 慣性電流方向の密度勾配 j⊥ B B=0 B 電子 j⊥ イオン 密度大 ∇B 密度小 圧力勾配(∇Pth ) ∇B ∇n flowのshear(渦)による沿磁力線電流の駆動 速い イオン 遅い B flowのshear(渦)による沿磁力線電流の駆動 プラズマの流れ +の電荷が溜まる =沿磁力線電流が流れる プラズマの流れ B オーロラとそれを光らせる 電子降り込み Aurora movie provided by Trond Trondsen (U. Calgary) flow shearの描像を示すオーロラアーク 粒子運動における第1断熱不変量保存より 1 2 mv B 一定 2 エネルギー保存から、 1 W m v2 v//2 一定 2 磁力線に沿ってBが増える v⊥が増える v∥が減る v∥=0のところではね返される 磁気圏でのピッチ角(磁力線となす角)が小さいもの (数度以下):電離圏まで到達 (電離圏まで到達できる最大ピッチ角をロスコーンと呼ぶ) 磁気圏でのピッチ角(磁力線となす角)が大きいもの (数度以以上):ミラー点ではね返される。 磁力線方向に実質的な電気抵抗が存在する 磁気圏の電子が運べる沿磁力線電流の量 Knight (PSS, p.741, 1973); Lyons (JGR, p.17, 1980) V∥ :沿磁力線電位差 の時 沿 磁 力 線 電 流 J∥ の時 沿磁力線電位差 V∥ オーロラ上空を横切った 人工衛星による降り込み イオン・電子データ 電気抵抗に伴う 磁力線方向の加 速電場が存在 J∥=KV∥ Shiokawa and Yumoto (JGR, 1993) Aurora movie provided by Trond Trondsen (U. Calgary) Kinetic Alfven waveの描像を示すflickering aurora Inertia Alfven Wave による電子の加速の観測とシミュレーションの比較 Watt et al. (GRL, 2005GL024779, 2006) サブストームとその 発生機構の議論 オーロラの代表的なグローバル変動 ー オーロラサブストーム オーロラサブストームの例 Kotzebue, Alaska September 14, 1994 2つの異なる サブストームモデル NENL model current disruption model 圧力勾配力 磁気張力 NENL model 1.磁気圧に よる圧縮 3.磁気張力に よるプラズマ 加速 2.磁気再結合 current disruption model 2.後方に伝搬 3.磁気再結合 を誘発 2.磁気張力に 1.圧力勾配 よるプラズマ加速 力の減少 NENL描像を示唆す るtailの変動と地上 変動の時間差 Shiokawa et al. (JGR, 1998) オーロラは低緯度側からbreakupを開始NENLではなく地球に近 いところでサブストームが開始? と矛盾 Lyons et al. (JGR, 2002) current disruptionを 示唆する激しい磁場 変動 Takahashi et al. (JGR, 1987) 2つのサブストーム モデルに決着をつけ るTHEMIS衛星群 THEMIS衛星群と 地上観測ネットワーク
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