内分泌系 5 カルシトニン・パラソルモン

内分泌系 5
カルシトニン・パラソルモン
医学系研究科
神経生理学講座
木田 裕之
今日勉強すること
1. ホルモンの概論
2. 甲状腺/副甲状腺から出るホルモン
3. カルシウム代謝の調節
4. カルシウム代謝異常と副甲状腺疾患
これまでの復習
・内分泌の中枢はどこですか?
・負のフィードバックとはなんですか?
・甲状腺ホルモンはどんなはたらきをしますか?
ホルモンの概論
内分泌とは・・・
内分泌
細胞が放出する化学伝達物質(ホルモン等)を
血管内などへ放出すること
※視床下部が最高中枢
分泌細胞
受容体
例)パラクリン型
ホルモン
例)オートクリン型
血液
標的器官
生きているという証拠
バイタルサイン
生命活動のサイン(平常時)
意識
血圧
体温
最大140mmHg 36~37℃
/最小90mmHg
呼吸
毎分15-20 回
脈拍
毎分50~60 回
細胞も生きている
ヒトの体は約200種類、60兆個の細胞
36~37℃
体温
浸透圧
酵素活性
pH
7.4
イオン組成
細胞内はK
エネルギー合成 酸素・糖
1つ1つの細胞が生きるから生体も生きる
ホメオスタシス
バイタルが変わればすぐに対応する!
生体環境の維持(恒常性:ホメオスタシス)
自律神経系と内分泌系(ホルモン)による調整機構
をもっており、外部環境または内部環境の変化に対
して一定の幅の中で恒常性を保っている
発見!
指示!
対応!
様々なホルモン
ホルモン
内分泌器から分泌され、
他の器官にさまざまな
シグナルを送る物質
ごく少量ではたらく(●ng/ml)
アミン性ホルモン
ペプチド性ホルモン
甲状腺ホルモン
ステロイドホルモン
分泌場所とホルモン名を覚える!
視床下部-下垂体系
視床下部
(最高中枢)
下垂体前葉に作用する
「~放出ホルモン」という名称のものが多い
下垂体前葉
成長ホルモン
プロラクチン
~放出ホルモン
副腎皮質
糖質コルチコイド
甲状腺
甲状腺ホルモン
精巣・卵巣
エストロゲン、
アンドロゲン
下垂体後葉
バソプレッシン
オキシトシン
ホルモン受容体のある場所
水溶性ホルモン
例)アミン性ホルモン
ペプチド性ホルモン
脂溶性ホルモン
例)ステロイドホルモン
細胞質は脂質でできたことを思い出そう
(水溶性のものは細胞内に入ってこれない)
ホルモンによるフィードバック制御
中枢神経
ホルモン
外部環境
生体
①体温
変化
②PH(水素イオン濃度)
③血圧
④酸素/二酸化炭素分圧
生体内の受容器によってモニター
これらが変化したとき、それを元に戻そうとする
作用(生じた変化を打ち消す向きの変化)を生む
負のフィードバック
(⇔正のフィードバック)
甲状腺・副甲状腺ホルモン
甲状腺・副甲状腺のつくり
甲状腺軟骨
(のどぼとけ)
気管
濾胞(上皮)細胞
副甲状腺
甲状腺
濾胞
内分泌腺にある
完全に閉じた袋状
の構造
甲状腺からのホルモンの分泌
血管
傍濾胞細胞(C細胞)
カルシトニン
濾胞細胞
甲状腺ホルモン
T3
T4
甲状腺から出るホルモンの作用
甲状腺ホルモン(サイロキシン)
代謝亢進
ブドウ糖吸収促進
カルシトニン
・骨からCa放出抑制
・腎臓でのCa排出
代謝亢進とCa濃度下げる
副甲状腺ホルモンの作用
上皮小体ともいう
甲状腺に隣接して2対存在する内分泌腺
パラソルモン (PTH)
・骨からCaを血中へ遊離
・腎臓でのCaを再吸収
・ビタミンDを活性化(腎臓で)
小腸でのCaを再吸収
好酸性細胞
Ca濃度上げる
副甲状腺
主細胞
カルシトニン・PTHの分泌調節
Ca濃度による負のフィードバック
Ca濃度↓
Ca濃度↑
カルシウム受容体
(副甲状腺など)
PTH
PTH カルシトニン
カルシトニン
血中Ca濃(mg/100ml)
Ca濃度↑
Ca濃度↓
カルシウム代謝の調節
カルシウムのはたらき
骨・歯になる
神経伝達
細胞内情報伝達
筋収縮
血液凝固
骨の代謝
リン酸カルシウム
骨細胞 骨芽細胞
破骨細胞
コラーゲン
水分
破骨細胞による
骨基質の吸収反応
Ca
骨吸収
Ca濃度↑
骨芽細胞による
骨基質の形成
Ca
骨形成
Ca濃度↓
情報伝達に使われるCa
1) シナプスでの伝達物質放出
シナプス前終末
①活動電位
②カルシウム
イオン流入
シナプス小胞
シナプス後細胞
2) Caによる細胞内情報伝達
必要なときだけはたらいてほしい
細胞内外の濃度差は10000倍
③シナプス小胞
が膜と融合
血中Ca濃度調節因子
Caの大部分(1kg)は骨にある
体内のCa濃度
99%
骨
1%
血液
血液のCa濃度
60%
遊離
タンパク結合 40%
Ca濃度調節の因子
甲状腺
カルシトニン
副甲状腺 パラソルモン
体内
活性型ビタミンD
血中Ca濃度を
上げる
Ca濃度を上げる活性型ビタミンD
ビタミンD
コレステロール
から人体内で
合成ができる
脂溶性ビタミン
紫外線で活性型するビタミンD
ビタミンDの分泌調節
カルシウム受容体
(副甲状腺など)
Ca濃度↓ (不足)
肝臓と腎臓
PTH
Ca少ないときに
ビタミンDは増加
ビタミンD活性化
小腸
Ca濃度↑
Ca吸収
血中Ca濃度(mg/100ml)
Ca調節と骨代謝のまとめ
活性型ビタミンD/PTH
Caの大部分は骨にある
骨吸収
PTH
骨形成
カルシトニン
血中Ca濃度↓
吸収
血中Ca濃度↑ (腎臓)
(腸)
排出
カルシトニン
カルシウム代謝異常と
副甲状腺疾患
血中カルシウム代謝異常
血中Ca多すぎ
血中Ca少なすぎ
摘出
甲状腺
肥大(がん)
肥大(がん)
副甲状腺
摘出
ビタミンD
欠乏
骨粗しょう症
尿管結石
けいれん
副甲状腺機能亢進
副甲状腺がん・PTH摂取
正常な骨
骨吸収
血中Ca濃度が
増えすぎる
パラソルモン
(PTH)
骨粗しょう症
骨形成速度よりも骨吸収速
度が高いことにより、骨に小
さな穴が多発する症状
骨粗しょう症
副甲状腺機能低下
副甲状切除
骨吸収
血中Ca濃度が
減りすぎる
パラソルモン低下
ビタミンD低下
テタニー
低カルシウム血症によって
おこるけいれん
※細胞膜が不安定化するから
てんかん
過呼吸
テタニー
骨粗しょう症
原発性骨粗しょう症
骨
量
エストロゲン(女性ホルモン)
分泌低下による
年齢
二次性骨粗しょう症
寝たきり
糖質コルチコイド誘発骨粗しょう症
クッシング症候群
甲状腺機能亢進症
CBT問題にチャレンジ
副甲状腺ホルモンの作用として正しいのはどれか。
※リンに対する作用→腎臓で排出促進
1) 骨吸収を抑制する
2)ビタミンDの合成を抑制する
3) 尿中のリン排泄量を増加させる
4) 血中のカルシウム濃度を低下させる
5) 小腸におけるカルシウムの吸収を促進させる
CBT問題にチャレンジ
テタニーをきたすのはどれか。
1) カルシトニン分泌低下
2)インスリン過剰分泌
3) 副甲状腺ホルモン分泌低下
4) ビタミンD分泌過剰
5) 甲状腺ホルモン過剰分泌
授業のまとめ
1 カルシトニンはカルシウム濃度を下げる(骨形成)
2 パラソルモンと活性型ビタミンDは血中カル
シウム濃度を上げる(骨吸収)
3 副甲状腺疾患はカルシウム代謝異常を起こす
その他のキーワード
負のフィードバック 傍濾胞細胞
骨粗しょう症
テタニー
副甲状腺
生理学の勉強の仕方
1) まず暗記を頑張ります
教科書の太字を中心に覚えます
例) PTH
傍濾胞細胞 負のフィードバック
2) 用語を説明できるようにします
友達に教えてあげましょう
3) 理由にこだわって理解する
体はどうしてこういう反応をするのか?
「なるほど!」と思えたらときから、
生理学の勉強をする気になります
教科書を読むこと!
講義と君たちの理解をつなぐのが
教科書です!
参考文献・・・その他たくさん出ています
なんちゃって教科書でたくさん生理学に親しんでください!