原発性副甲状腺機能亢進症、CaR 作動薬はオペに優るか?

中路 啓太先生: Annals of Surgery. 2012; 255(5):981-5.
原発性副甲状腺機能亢進症、CaR 作動薬はオペに優るか?
Calcimimetics versus parathyroidectomy for treatment of primary hyperparathyroidism
: retrospective chart analysis of a prospective database.
【背景】透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症に対し、副甲状腺細胞の Ca 受容体の細胞外カルシウム
濃度に対する感受性を上昇させ、PTH の分泌・合成を抑制する製剤;Calcimimetics が、腺腫主体の原発性
副甲状腺機能亢進症にも効くのか?外科的治療との比較検討が行われました。
【方法】原発性副甲状腺機能亢進症患者(pHPT)で治療されえた 475 名の中から腎合併症や複数の腺腫を
有する症例を除外し、Calcimimetics の薬物療法症例(n=17)を抽出し、副甲状腺摘出術症例 17 例を対照と
して、血清 Ca、PTH 濃度、および大腿骨、脊椎の骨塩(BMD T score)の治療 1 年後の変化が、比較検討さ
れました。
【結果】血清 Ca 濃度/PTH濃度は、外科治療群の 100%/76%、薬物療法群で 70.6%/35%で正常化しており、
外科治療が有意に改善していました。一方、骨塩では、脊椎では、外科治療の 82.4%、薬物療法の 70.6%
で正常化、両治療に有意差を認めませんでしたが、大腿骨では、外科症例の 58.8%、薬物療法の 18.8%で
正常化を認め、明らかに外科治療が有意に改善していました。どちらの治療においても、PTH 濃度の改善
が有意に、骨塩の改善に相関していました。
【結論】このように、原発性副甲状腺機能亢進症に対して、Calcimimetics は、まだまだ外科治療には及ばな
いようです。しかし、PTH 濃度を改善できれば、骨塩の改善につなげることが出来ることから、手術不能症
例でも、十分効果を発揮できる薬物療法の可能性がありそうです。何よりも、今回の抄読会では、副甲状
腺機能亢進症の イロハ を中路先生に教わりました。。
(文責 阿比留)