ECB理事会(2016年12月8日)結果

2016年12月9日
投資情報室
臨時レポート
(審査確認番号H28-TB245)
ECB理事会(2016年12月8日)結果
○○○○○○○○
資産購入策の期間延長と規模の減額を決定
 ECB(欧州中央銀行)は8日の定例理事会で、資産購入策の期間延長と規模の減額を決定。
 ドラギECB総裁は会見で、景気や物価が見通しよりも悪化した場合等は、資産購入期間の延長
や増額を検討する可能性があると発言。
∼主な決定内容∼
① 量的金融緩和の期間(当初予定は2017年3月末終了)を2017年12月まで9ヵ月延長。
② 2017年4月から国債等の購入額を、月800億ユーロから月600億ユーロに減額。
③ 主要政策金利を0.00%に据え置き。
 ECBの金融政策は引き続き株式市場等の支援材料に。
 ECBはユーロ圏の景気刺激等を目的に、2015年1月に量的緩和を決定。現在はユーロ圏19ヵ国の国
債や欧州系の国際機関が発行する債券等を、2017年3月末を期限として毎月800億ユーロのペースで買
い取っています。その結果、ECBの資産額(バランスシート)は拡大しています(図表1)。
 ユーロ圏の消費者物価や失業率は、量的緩和を決めた2015年1月頃に比べて上昇・改善しています(図
表2)。ECBは今回の決定で、毎月の買入れ額を200億ユーロ減額する一方、市場への影響も考慮し
て期間を9ヵ月間延長しました。事前予想では、買入れ額据置きのまま、期間が2017年9月まで6ヵ月
間延長されるとの見方が多かったようです。
 買入れ額が減額されたこでECBが金融政策の軸足を縮小方向に移したとの受け止め方等から、ユーロ
圏主要国の金利は一旦上昇しました。しかしその後は、1)2017年4月以降の買入れ総額が5,400億
ユーロ(月600億ユーロ×9ヵ月)と、市場の大方の予想額4,800億ユーロ(月800億ユーロ×6ヵ月)
より増額となったことや、2)ドラギ総裁の会見でのハト派的発言等に関心が向かい、金利上昇は一服
しました。金利の落ち着き等を受け、ユーロ圏の主要株価は前日比上昇して引けました(8日時点)。
 ドラギ総裁の景気悪化時の資産買入れ額増額検討発言等にみられるよう、ECBが仮に金融緩和を縮小
するにしても、景気動向に十分配慮した対応を行うものと思われます。ECBの金融政策は株式市場等
を下支えするものと思われます。
図表1:ECB資産額(バランスシート)推移
図表2:ユーロ圏消費者物価と失業率推移
(%)
1.0
データ期間:2014年1月末∼2016年10月末(月次) (%)
14
失業率(右軸)
消費者物価指数(左軸)
0.8
13
0.6
12
0.4
0.2
11
0.0
10
-0.2
9
-0.4
8
-0.6
7
-0.8
2014/1
2015/1
2016/1
(年/月)
出所)図表1∼2はブルームバーグデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成
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