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株式会社 DZHフィナンシャルリサーチ
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週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
January 22, 2016
ポンド、利上げ期待復活で反動も
◆世界経済の鈍化懸念で、英利上げ期待は大きく後退
◆ポンド、英第 4 四半期 GDP に注目
◆加ドル、引き続き原油価格など外部要因が左右
予想レンジ
ポンド円 162.00-172.00 円
加ドル円 78.00-85.00 円
1 月 25 日週の展望
足元ではポンドの軟調な動きが目立っている。中国懸念や原油安などを背景に世界経済の鈍化が懸
念され、主要国は想定されていたよりも長期にわたり緩和策の維持を強いられそうだ。市場の英利上
げへの期待は大きく後退し、金利の先物市場では利上げではなく、利下げを織り込む動きも出ている。
足元のポンドは、利上げ思惑を背景に買われた動きの巻き戻しが続いている。ただ、リスクオフの動
きが後退すれば、主要通貨のなかで反発余地が一番大きいのもポンドであり、値幅を伴ったリバウン
ドもありうる。利上げ時期の思惑や欧州連合(EU)離脱を問う国民投票などを絡み、今年のポンドは
値幅を伴う荒っぽい動きとなりそうだ。
世界経済情勢が不安定となるなか、当局者の利上げに慎重な発言が目立っている。イングランド銀
行(BOE)のカーニー総裁は「まだ政策金利を引き上げる時ではない」と述べた。金利見通しに言及せ
ず、中国など新興国経済がリスク要因と指摘した。また、原油価格の急落で低インフレが予想より長
期化することに警戒する必要があるとの見方を示した。ブリハ英金融政策委員会(MPC)委員も利上げ
には忍耐強く対応するとし、経済成長が減速していないことが確認できるまで利上げは支持しないと
言明した。
英 12 月消費者物価指数(CPI)は前年比+0.2%に小幅ながら加速し、市場予想を上回った。BOE が注
視している、変動が激しいエネルギーや食料価格などを除いたコアは同+1.4%と、11 カ月ぶりの高い
伸びとなった。2015 年の CPI 伸び率は平均で 0.0%と、前年の+1.5%から大幅に減速した。英 11 月 ILO
失業率(3 カ月)は 5.1%まで低下し、労働市場の堅調さを改めて示した一方で、平均週間賃金上昇率
(ボーナス除く)は前年比+1.9%にとどまった。賃金上昇率の鈍化傾向が続いており、インフレ圧力
の弱さを改めて浮き彫りにした。来週は第 4 四半期国内総生産(GDP)の速報値が発表される。さえな
い結果となれば、景気鈍化懸念が高まり、ポンド売りが加速しそうだ。
原油安が留まらず、加ドルの重い動きは継続。NY 原油先物は年明けからの 3 週間で 10 ドル以上も下
落した。国際エネルギー機関(IEA)は、イランに対する経済制裁解除で同国の原油輸出が増加し、供
給過剰状態は少なくとも 16 年末まで続く見込みで、原油価格のさらなる下落もあり得ると指摘した。
カナダ中銀(BOC)は政策金利の据え置きを決定した。声明では、昨年第 4 四半期の景気は失速したと
の見解を示した一方で、加ドル安や財政政策が経済に追い風となり、昨年の利下げ効果も出ていると
の楽観的な見方も示された。原油安が続けば、市場では再び利下げを織り込む動きが強まるだろう。
1 月 18 日週の回顧
リスク回避ムードが続くなか、ポンドは BOE 総裁の利上げに対する慎重な発言を受けて、売りが加
速。ポンドドルは 2009 年 3 月以来の安値水準となる 1.41 ドル台まで下押し、ポンド円は 2014 年 2 月
以来の 164 円割れまで急落した。加ドルは売り先行も、政策金利の据え置きを受けて買い戻しが入っ
た。一時ドル/加ドルは 1.46 加ドル半ばまで加ドル安が進み、加ドル円は 79 円割れまで下落した。
(了)
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