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株式会社 DZHフィナンシャルリサーチ
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週間展望・回顧(ポンド、加ドル)
March 4, 2016
ポンド、戻りは調整程度で上値重いか
◆ポンド、独自の買い材料は乏しく戻しは調整程度か
◆ポンド、6 月 23 日の国民投票に向け世論調査に一喜一憂の展開か
◆カナダ中銀、政策金利は据え置きか
予想レンジ
ポンド円 154.00-164.00 円
加ドル円 81.50-87.50 円
3 月 7 日週の展望
英国の欧州連合(EU)離脱懸念を背景としたポンドの下げは一巡したものの、戻りは調整程度にと
どまり、上値の重い地合いは続くか。英国の EU 残留・離脱を問う国民投票は 6 月 23 日実施と決まっ
た。直近の世論調査では徐々に残留派が巻き返しているが、英国が EU から離脱した場合、先行きに大
きな不透明感が高まることで英国とユーロ圏経済への悪影響が懸念される。引き続き世論調査に一喜
一憂する展開が続きそうだ。
国民投票で英国民が EU 離脱を選択した場合、キャメロン首相は EU からの脱退を定めた EU 条約 50
条に則り、EU 理事会に対し脱退の意図を通告することになり、再考の余地はないとした。投票日まで
の期間は短く、英景気への大きな影響はないと思われるが、投票の行方をめぐる不透明感から新規の
設備投資や海外からの直接投資は手控えられそうだ。投票日までの間に難民問題やテロ事件など、国
民の反 EU 機運を高めかねない事態が生じれば、世論が離脱に傾く恐れはある。離脱した場合、世界的
な景気減速や金融市場の動揺に発展する恐れがあるだけに、国民投票の結果は予断を許さない。
今週発表された 2 月の景況指数(PMI)は弱い。サービス業 PMI は 52.7 と 2013 年 3 月以来、製造業
PMI は 50.8 と 2013 年 4 月以来の水準に低下し、建設業 PMI も市場予想を下回る 54.2 と 2 カ月連続で
鈍化した。内需と輸出受注の低迷が響いた結果となり、年初から景気回復の弱さが続いていることが
示された。来週は伸びが鈍化している鉱工業生産や製造業生産の発表が予定されている。米連邦準備
理事会(FRB)は昨年 12 月にほぼ 10 年ぶりの利上げに踏み切ったが、2016 年の金融市場が最悪のスタ
ートとなり、追加利上げへの期待感は大きく後退している。先進国の中で、米国に続いての利上げが
見込まれながら、慎重なスタンスを維持してきたイングランド中銀(BOE)はほっとしているだろう。
今週の NY 原油先物が約 2 カ月ぶりの高値水準となる 35 ドル台まで上昇するなど、原油の一段安へ
の警戒感が緩み、足元の加ドルは底堅い動きが続きそうだ。加 10-12 月期国内総生産(GDP)は前年比
+0.8%と、7-9 月期の+2.4%から減速した。輸出や企業投資の減少が目立ち、原油安が加経済の重しと
なっていることが裏付けられた。減少はしたものの、市場の横ばい予想を上回り、来週に予定されて
いるカナダ中銀(BOC)の会合では政策金利の据え置きが見込まれる。2015 年通年での成長率は+1.2%
と、前年の半分程度の水準にとどまった。今年に入ってからも原油価格の持ち直しは鈍く、加経済成
長率は今年も抑制される可能性がある。来週は住宅指標や 2 月雇用統計の発表も予定されている。
2 月 29 日週の回顧
英国の EU 離脱懸念を背景に急落したポンドに調整の買い戻しが入り、ポンドドルは 1.42 ドル近辺、
ポンド円は 161 円台まで持ち直した。原油価格の上昇や予想比上振れの加 10-12 月期 GDP を背景に加
ドルも買いが優勢となり、ドル/加ドルは昨年 12 月上旬以来の加ドル高水準となる 1.33 加ドル台ま
で下落し、加ドル円は 85 円台まで切り返した。(了)
本レポートはお客様への情報提供のみを目的として作成したもので、売買の勧誘を目的としたものではありません。実際に投資をなさる場合の最終ご判断は、お客様ご自身でご判断なさる
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