ファンドニュース 不動産の新しい動向® グローバルアウトルック2015 (Emerging Trends in Real Estate® Global Outlook for 2015) 2015 年 4 月 はじめに プライスウォーターハウスクーパース(PwC)とアーバンランド・インスティテュート(ULI)は不動産動向調査報告書であ る「不動産の新しい動向®」(Emerging Trends in Real Estate ®)を、アジア太平洋地域、アメリカ・カナダおよびヨーロッパ の3地域について毎年作成しています。この報告書では、各地域における、不動産投資と開発のトレンド、不動産金融・ 資本市場の状況、および不動産部門別・都市別の動向に関する見通しを示しています。 今回、PwCとULIは共同でグローバルアウトルック2015を作成しました。この報告書では、上記の3つの地域のトレンド を要約し、さらに各地域を代表する投資家・マネージャーの見解を加えています。また、新興市場であるアフリカでの投 資機会についての説明と投資家サイドの見解も追加解説しています。 本報告書は、不動産を取り巻く環境についての現状認識をふまえ、それらが、今後どのように変化していくのか、また ファンド、不動産投資業界の戦略にどう影響していくのかを検討するのに役立つ情報と考えます。詳細については報告 書をご覧いただきたいと思いますが、簡単に概要を紹介します。 報告書への Link はこちら 概要 1. キャピタル・フロー 調査結果に基づくと、2015年も引き続き、東から西への資金のフローが不動産市況に主な影響を与える要因となると 考えられます。機関投資家(ソブリンウェルスファンド、年金基金および保険会社)はここ数年、資本の出し手として大き な役割を果たしています。なかでも、中国や韓国の資金がグローバルマーケットへ向かっており、日本の年金資金も将 来、同様な流れとなる可能性があります。今のところ、このような資金はアメリカやイギリスのゲートウェイシティのコアア セットをターゲットとしていますが、国際的な投資に習熟するのにしたがい、ドイツやフランス(主にパリ)、アトランタやシ カゴ、ヒューストンといった米国の都市への投資にも向かっています。 2. アメリカ グローバルおよびアメリカ国内の投資家の両者が、アメリカ主要都市の不動産に対して、引き続き、最高値による購 入をしかも短期間で意思決定しています。アメリカの不動産は、確実な投資利回りを確保することができる世界の中でも 数少ない資産として考えられています。現在のアメリカが他と比較して異なっているのは、ファンダメンタルズの改善が 見られ、その傾向が2015年も継続することが期待されていることです。エマージングトレンド2015の調査によれば、「1度 失敗したことは、2度目には慎重になる」という経験が業界として生かされているとされています。 3. ヨーロッパ 2015年のヨーロッパの不動産業界は取引数、利益率など改善の傾向です。ヨーロッパにおける弱いファンダメンタル ズと経済状況、および一部地域の地政学的な懸念にも関わらず、楽観的な見通しを有しています。この自信は資金が 十分に供給されていることに起因しています。エマージングトレンド2015の調査によれば、不動産というアセットクラスに 投資するニーズと多くの流動性が供給されることにより、プライムおよびセカンダリーのどちらも価格が上昇することが期 待されているとのことです。 4. アジア太平洋地域 国内の資金および国際的な資金の不動産への流入が想定され、アジア地域の不動産市況は、2015年では経済的 なファンダメンタルズが低下するものの、引き続き活況であると予想されています。日本は引き続き、投資対象として有 望とされており、2015年の投資および開発見通しについてのランキングでは東京が1位、大阪が3位となっています。U LIのチーフエグゼクティブは「新たな機関投資家からの資金フローや6年間にわたるグローバルな中央銀行の金融緩 和により、無限のように見える資金フローが各地域、各アセットクラスの不動産に向かっており、これが不動産の価格を 押し上げ、キャップレートの低下をもたらしている」と言っています。 5. エマージングマーケット アフリカでの投資機会 グローバル投資家はサブサハラアフリカ地域(サハラ砂漠よりも南のアフリカ諸国、南アフリカ、ナイジェリア、ジンバブ エ等40カ国以上)の不動産への投資検討を開始しています。投資家や開発業者は20%を超えるリターンを期待して、 アフリカの不動産にターゲットを置き始めています。経済の見通しが改善するのに合わせて、ほとんどすべてのアフリカ のマーケットにおいて、ハイクオリティの商業施設、オフィスおよび工業用の宿泊施設に対する需要は供給を超過して います。人口動態のシフトと顧客行動の変化がこの需要の根底にあり、「アフリカ成長ストーリー」がこの地域への海外 投資家を引き付けています。 6. メガトレンド エマージングトレンド調査では以下のメガトレンドが観測されています。 急速な都市化 人口動態と社会の変化 テクノロジーの革新 経済的パワーを有する国のシフト 気候変動と資源不足 おわりに 現時点でのマーケット参加者のコンセンサスを把握するとともに、メガトレンドを理解することで、市場において競合す るプレーヤーよりも有利なポジションを獲得することができると考えられます。本資料がその一助となれば幸いです。 なお、内容にご質問などございましたら、以下のお問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。 文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることを申し添えます。 あらた監査法人 第 3 金融部(資産運用) シニアマネジャー 比 田 井 猛 久 あらた監査法人 第 3 金融部(資産運用) お問い合わせフォーム 本冊子は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナル からのアドバイスを受けることなく、本冊子の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本冊子に含まれる情報は正確性または完全性を、 (明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証するものではありません。また、本冊子に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされ たり、起こされなかったことによって発生した結果について、あらた監査法人、およびメンバーファーム、職員、代理人は、法律によって認められる範 囲においていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。 © 2015 PricewaterhouseCoopers Aarata. All rights reserved. In this document, “PwC” refers to PricewaterhouseCoopers Aarata, which is a member firm of PricewaterhouseCoopers International Limited, each member firm of which is a separate legal entity Please see www.pwc.com/structure for further details.
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