ファンドニュース(49)不動産の新しい動向® アジア太平洋2015

ファンドニュース
不動産の新しい動向® アジア太平洋2015
(Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2015)
2015 年 1 月
はじめに
アーバンランド・インスティテュート(ULI)とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)は 2014 年 12 月、不動産動向
調査報告書である「不動産の新しい動向® アジア太平洋 2015 年」(Emerging Trends in Real Estate® Asia Pacific 2015)
を発表しました。
本報告書は、アジア太平洋地域における不動産投資と開発のトレンド、不動産金融・資本市場の状況、および不動産
部門別・都市別の動向に関する見通しを示しています。詳細については報告書をご覧いただければと思いますが、簡単
に概要を紹介します。
概要
本調査の結果、日本は引き続き不動産投資市場として高い評価を獲得し、2015 年の都市別の不動産投資見通し
ランキングで東京は 2014 年に続いて 1 位を獲得し、2 年前の調査では 22 位と最下層に甘んじていた大阪もトップグ
ループに躍進しました。この背景として、日本政府による大規模な景気刺激策が効果を発揮する余地がまだあることや、
すくなくとも中期的にはダウンサイドリスクが限られていること、そしてアジア太平洋地域の他の投資先と比較して、レバー
ド・リターン(レバレッジを効かせた利回り)が非常に魅力的であることなどが挙げられています。なかでも、東京について
は、緩和政策の進展により市場はさらに活発化し拡大すると指摘する一方、東京の魅力について不動産価格の上昇が
見込まれることだけではなく、認知されるリスクが低水準にある一番手の都市というステータスも魅力の源泉であるとして
います。大阪については、東京において資産の取得競争が激烈で、その結果多くの投資家が日本の二番手市場に押し
出されたことにより大阪はその恩恵に与っており、また、大阪では多くの不動産が供給過剰となってきましたが、昨年に
その大半が吸収され、空室率も低下を続けているとしています。
不動産タイプの見通しについてですが、物流施設が投資見通し、開発見通しの双方で、他の不動産タイプを大きく凌
いで評価されています。その理由として3つ挙げられており、一つは、近代的な物流施設はアジアのほぼすべての市場
で過小評価されている一方、高効率の物流ネットワークの構築に伴うコストダウンは世界的に認識されている点です。次
に、アジアではここ数年 e コマースがブームとなっており、その結果物流施設不足の深刻さが浮き彫りになるとともに、新
たなネットワークの構築が必要になった点です。最後は、他の不動産タイプでキャップレートが大幅に圧縮されているの
に比べ、利回りが良好である点です。
投資戦略別見通しについては、バリューアッド戦略が最も評価が高くなっています。この背景には、不動産価格が高
すぎ、物件が極めて乏しく、市場が大幅に上向く気配がほとんどないことが挙げられています。
おわりに
本報告書は投資家、デペロッパー、不動産会社のトップ、金融機関、仲介業者、コンサルタントなど、385 名を超える
国際的に著名な不動産専門家の見解に基づいて作成されたものです。日本は他のアジア諸国のプレーヤーのマーケッ
トの見方を知ることができるため、投資や資金調達を考える際の一助になれば幸いです。
なお、本件の内容などにご質問などありましたら、以下のお問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。
文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることを申し添えます。
あらた監査法人
第3金融部(資産運用)
シニアマネジャー 比 田 井
猛
久
あらた監査法人 第3金融部(資産運用)
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