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日本基準トピックス
実務対応報告第18号 「連結財務諸表における在外
子会社の会計処理に関する当面の取扱い」の改正
2015年3月30日
第279号
■主旨
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2015年3月26日、企業会計基準員会(ASBJ)は、実務対応報告第18号「連結財務諸表
における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(以下、本実務対応報告)の
改正を公表しました。

本実務対応報告は、主として2014年1月に改正された米国におけるのれんに関する
会計基準への対応、2013年9月に改正された企業会計基準第22号「連結財務諸表に
関する会計基準」への対応、および退職給付会計に関する修正内容の明確化を行って
います。

適用時期は、2015年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することと
されています。
・原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/zaigai2015/
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1.経緯
本実務対応報告では、国際財務報告基準または米国会計基準に準拠して作成されている
財務諸表を連結決算手続上利用する場合に修正を行うべき会計処理について定めています。
ASBJ は、主として以下への対応を行うため、本実務対応報告を公表しました。
 2014 年 1 月に、米国会計基準の改正によって非公開会社がのれんの償却を選択できる
ようになったこと
 2013 年 9 月に改正された企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」
(以下「連結会計基準」という。)による当期純利益の表示の改正
 退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理の修正内容に関する明確化
なお、国際財務報告基準第 9 号「金融商品」における、その他の包括利益を通じて公正価値
で測定する資本性金融商品への投資の公正価値の変動におけるノンリサイクリング処理等
を修正項目へ追加するか否かについては、今後、検討を行う予定とされています。
2.改正の内容
本実務対応報告では、以下の項目について次のとおり定めています。なお、2014 年12 月24 日
に公表されている公開草案の内容から大きな変更はありません。
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(1)のれんの償却に関する取扱い
米国においては、2014 年 1 月に FASB Accounting Standards Codification(FASB による会計
基準のコード化体系)の Topic 350「無形資産-のれん及びその他」が改正され、非公開会社
はのれんを償却する会計処理が選択できるようになりました。
これを受け、連結決算手続上の修正範囲を明確にするため、のれんを 20 年以内の効果の
及ぶ期間にわたって償却するよう修正するのは、在外子会社においてのれんを償却してい
ない場合とすることが定められました。
なお、経過措置として、本公開草案の適用初年度の期首に連結財務諸表に計上されている
のれんのうち、在外子会社において償却処理を選択したのれんについては、実務上の便宜
として、企業結合ごとに以下のいずれかの方法を適用することとされています。
① 連結財務諸表におけるのれんの残存償却期間に基づき償却する。
② 在外子会社が採用する償却期間が連結財務諸表におけるのれんの残存償却期間
を下回る場合に、当該償却期間に変更する。この場合、変更後の償却期間に基づき
将来にわたり償却する。
(2)少数株主損益の会計処理に関する取扱い
2013 年9 月に改正された連結会計基準において、従来の「少数株主損益調整前当期純利益」
を「当期純利益」として表示し、「親会社株主に帰属する当期純利益」を区分して内訳表示
または付記する改正が行われました。この結果、「少数株主損益の会計処理」に関する取扱い
について、国際的な会計基準との差異がなくなったため、関連する文言の削除等の所要の
改正がなされています。
(3)退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理に関する明確化
退職給付会計に関して修正を行うべき内容は従来から修正項目としていた部分に限られる
ことを明確化するため、企業会計基準第 26 号「退職給付に関する会計基準」を参照する文言
を削除する等の改正がなされています。
3.適用時期等
2015 年 4 月 1 日以後開始する連結会計年度の期首から適用することとされています。ただし、
今回の改正により削除された「少数株主損益の会計処理」に関する取扱いを除き、以下の
とおり早期適用を行うことも許容されています。
 本実務対応報告の公表後、最初に終了する連結会計年度の期首から適用する。
 連結会計年度中の第 2 四半期連結会計期間以降から本実務対応報告を早期適用す
る。この場合であっても、のれんの償却に関する経過的な取扱い(2.(1)参照)は、連結会
計年度の期首に遡って適用する。
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