日本基準トピックス 企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する 会計基準の適用指針」の改正案の公表 2014年12月26日 第273号 ■主旨 2014年12月24日、企業会計基準員会(ASBJ)は、企業会計基準適用指針公開草案 第52号として、企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用 指針」を改正する公開草案(以下、本公開草案)を公表しました。コメント募集期限は、 2015年2月24日です。 厚生年金基金および確定給付企業年金の財務諸表の表示方法は、関連する改正によ り一部変更が行われています。これに伴い、複数事業主制度につき確定拠出制度に 準じた会計処理および開示を行うときに求められる「直近の積立状況等」の注記に おいて、実質的に従来と同じ内容の注記が当該変更後も行われるよう、同適用指針 を改正するものです。 公表日以後、即時に適用することが提案されています。 ・原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。 https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/exposure_draft/taikyu2014/ ------------------------------------------------------------------------- 1.経緯 複数事業主制度を採用している場合において確定拠出制度に準じた会計処理および開示 を行う場合、現行の退職給付に関する会計基準の適用指針では、「直近の積立状況等」の 一部として「年金財政計算上の給付債務の額」を開示することとされています。 一方、2012 年 1 月 31 日に厚生労働省から発出された厚生労働省通知(注 1)により、厚生年 金基金および確定給付企業年金の財務諸表の表示方法が以下のように変更されました。 ① 厚生年金基金: 従来、「数理債務」と「最低責任準備金(継続基準)」の合計額として貸借対照表に 表示されていた「給付債務」が表示されなくなりました。 「数理債務」や「未償却過去勤務債務残高」は貸借対照表の欄外に注記されるのみ となり、貸借対照表本体には、「数理債務」から「未償却過去勤務債務残高」を控除し た純額が「責任準備金(プラスアルファ部分)」として表示されることとなりました。 ② 確定給付企業年金: 従来、貸借対照表に表示されていた「数理債務」や「未償却過去勤務債務残高」 は貸借対照表の欄外における注記のみとなりました。 貸借対照表本体には、「数理債務」から「未償却過去勤務債務残高」を控除した 純額が「責任準備金」として表示されることとなりました。 1 本公開草案では、上記の変更後も、実質的に従来と同じ内容の注記が行われるよう、注記 すべき事項の表現の改正を行うものです。 (注 1) 「厚生年金基金の財政運営について等の一部改正及び特例的扱いについて」、「「確定給付企 業年金の規約の承認及び認可の基準等について」、「厚生年金基金から確定給付企業年金に 移行(代行返上)する際の手続及び物納に係る要件・手続等について」の一部改正について」 以下のイメージ図は、「厚生年金基金及び確定給付企業年金の財務諸表の表示方法」を 示しています。 <厚生年金基金の改正イメージ図> <確定給付企業年金の改正イメージ図> 2 2.改正案の内容 従来は、複数事業主制度を採用している場合において、確定拠出制度に準じた会計処理 および開示を行う場合に、「直近の積立状況等」の注記の一部として、「年金財政計算上の 給付債務の額」の記載が要求されていました。本公開草案では、これに代えて、「年金財政 計算上の数理債務の額と最低責任準備金の額との合計額」という名称を付して、当該合計 額を開示することを提案しています。この提案により、従来と実質的に同じ内容の注記を求 めることとなります。なお、確定給付企業年金の場合には、代行部分の給付がないことによ り、開示の対象が年金財政計算上の数理債務の額のみとなるため、「年金財政計算上の数 理債務の額」との名称を付して開示することが認められています。 3.適用時期等 本公開草案は、公表日以後、即時に適用することが提案されています。 あらた監査法人 東京都中央区銀座8丁目21番1号 住友不動産汐留浜離宮ビル (〒104-0061) お問い合わせ: [email protected] 本資料は概略的な内容を紹介する目的で作成されたもので、プロフェッショナルとしてのアドバイスは含まれていません。個別にプロフェッショナル からのアドバイスを受けることなく、本資料の情報を基に判断し行動されないようお願いします。本資料に含まれる情報は正確性または完全性を、 (明示的にも暗示的にも)表明あるいは保証するものではありません。また、本資料に含まれる情報に基づき、意思決定し何らかの行動を起こされたり、 起こされなかったことによって発生した結果について、あらた監査法人、およびメンバーファーム、職員、代理人は、法律によって認められる範囲に おいていかなる賠償責任、責任、義務も負いません。 © 2014 PricewaterhouseCoopers Aarata. All rights reserved. PwC refers to the PwC Network member firms in Japan and/or their specified subsidiaries, and may sometimes refer to the PwC Network. Each member firm is a separate legal entity. Please see www.pwc.com/structure for further details. This content is for general information purposes only, and should not be used as a substitute for consultation with professional advisors. 3
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