インド、今後成長率は中国を上回るとの予想もありますが

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アジア
2015年4月8日
インド、今後成長率は中国を上回るとの予想もありますが
今後のインドの金融政策を占う上で鍵はインフレ動向です。インド政府とインド準備銀行の間で合意されたインフレ
目標に向けインフレ率が落ち着けば金融緩和の余地は残るものの、利下げの余裕は少なくなっていると思われます。
インド準備銀行:政策金利を7.5%に据え置き
緩和スタンス維持
インド準備銀行(中央銀行、RBI)は2015年4月7日、政策金
利のレポレートを7.5%に据え置くと発表しました(図表1参
照)。市場では、大半が据え置きを予想していました。声明
文によると、今回政策金利を据え置いた理由は主に2つで
す。まず、前回の利下げ(2015年1月と3月)を物価動向を勘
案して前倒し的に実施したことから、当面様子見をしたいた
めです。2番目の理由は、豪雨で足元食品価格が上昇した
ため、今後のインフレの落ち着きを見極めるためです。
また、これまで2回の利下げ実施後に銀行が貸出金利を引
き下げたところが少なく、金融政策の影響が経済全般に行
き渡っていないとの懸念も指摘されています。その上で、金
融政策の緩和的なスタンスは維持すると述べています。
どこに注目すべきか:
インフレ目標、食品価格、インフラ投資
今後のインドの金融政策を占う上で鍵となるのはインフレ動
向です。インド政府とインド準備銀行の間で合意が発表され
たインフレ目標の達成に向けインフレ率が落ち着けば金融
緩和の余地は残るものの、足元、利下げの余裕が少なく
なっている点に注意が必要と思われます。
まずインド政府と中銀の金融政策の枠組みを振り返ります。
先の発表ではインド中銀が提唱してきたインフレ目標を導入
し、2016年1月までに消費者物価指数(CPI)の上昇率(前年
同月比)を6%以下に収め 2016年度(2016年4月~2017年
3月)までにCPI上昇率を4%(許容範囲上下2%)まで引き下
げ、この近辺で維持することを目指すとされています。
次に今回の声明文でインド中銀のインフレ予想を見ると、当
初2015年8月に向け4%まで低下します。しかし、2015年末に
は反対に5.8%へ上昇すると見込んでいます。悪天候で食料
品価格が上昇した場合等には6%以下に収めることが苦しく
なる可能性もあり、余裕があるとはいえない状況です。
一方、インド中銀ラジャン総裁と合意したインド政府は、構造
ピクテ投信投資顧問株式会社
改革を進めながら経済成長を目指しています(図表2参照)。
例えば、2月末に公表した2015年度予算で補助金を削減しな
がら、インフラ(資本的支出)投資は増加させています。また、
2016年からは待望の物品サービス税の導入も約束するなど
構造改革を伴った経済成長を目指しており、アジア開発銀行
は2015年、インドの成長率は中国を上回ると予想しています。
インド政府と中銀の役割分担は機能している様子が伺え、市
場のインドに対する期待も高まっているように思われます。
ただし、あえて懸念を探すなら、インフレ目標への道筋で先々
(2015年末に向け)余裕が少なくなることが想定されている
中、経済成長に向け必要以上の利下げに追い込まれる格好
となることが、リスクシナリオとして考えられます。
図表1:インド政策金利とCPI, WPI(前年同月比)の推移
(日次、期間:2014年1月1日~2015年4月7日、CPIとWPIは月次)
9
8.1
8.0%
CPI2月 %
8.0 %
は5.37%
6
7.9
7.75%
7.8
3
7.7
インド政策金利(左軸)
7.6
7.5% 0
消費者物価指数(CPI、右軸)
7.5
卸売物価指数(WPI、右軸)
7.4
-3
14年1月
14年7月
15年1月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
図表2:インドの経済成長率実績と予想
(四半期、期間:2013年4-6月期~2014年10-12月期、前年同期比)
9.0%
8.5%
8.0%
7.5%
7.0%
6.5%
6.0%
5.5%
5.0%
2013-14GDP成長率 6.9%(実績)
2014-15GDP成長率 7.4%(推定)
GDP(新基準2011-12年度ベース)
2013-14 7-9月 10-12月 1-3月 2014-15 7-9月 10-12月
4-6月
4-6月
※インドの年度は4月に始まるため、2013-14は2013年4月~2014年3月
出所:インド準備銀行のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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