北九州・京築地区の金融経済概況

2016 年 6 月 1 日
日本銀行北九州支店
北九州・京築地区の金融経済概況
(2016 年 6 月 1 日)
(本件に関するお問い合わせ先)
日本銀行北九州支店
Tel 093-541-9111
Fax 093-512-1750
当資料は当店ホームページ(http://www3.boj.or.jp/kitakyushu/)にも掲載しています。
1.総論
北九州・京築地区の経済は、緩やかな回復の動きが足踏みしている。
最終需要の動向をみると、公共投資は、減少している。輸出は、弱含んでいる。設備投資
は、一部に計画進捗の遅れがみられるほか、先行きの需要見通しが全体としてやや慎重化し
ていることを背景に、幾分弱含んでいる。個人消費は、今般の熊本地震の影響等から消費者
マインドが幾分慎重化していることもあって、持ち直しの動きが足踏みしている。住宅投資
は、このところ貸家を中心に伸びを高めている。
こうした中で、生産は、新興国経済の減速を受けて海外向けの一部で弱めの動きがみられ
ている一方、国内向けでは自動車関連で持ち直しの動きがみられることから、全体としては
横ばい圏内で推移している。雇用情勢は、引き続き改善している。
【前回との比較】
項目
前回
景気判断
緩やかな回復の動きが足踏みしている。
緩やかな回復の動きが足踏みしている。
公共投資
減少している。
減少している。
輸出
弱含んでいる。
弱含んでいる。
一部に計画進捗の遅れがみられるほか、先
一部に計画進捗の遅れがみられるほか、先
行きの需要見通しが全体としてやや慎重
行きの需要見通しが全体としてやや慎重
化していることを背景に、幾分弱含んでい
化していることを背景に、幾分弱含んでい
要
る。
る。
項
今般の熊本地震の影響等から消費者マイ
目
ンドが幾分慎重化している様子がみられ
需
設備投資
個人消費
今回
ることもあって、持ち直しの動きが足踏み
している。
住宅投資
生産
雇用
今般の熊本地震の影響等から消費者マイ
ンドが幾分慎重化していることもあって、
持ち直しの動きが足踏みしている。
このところ貸家を中心に伸びを高めてい
このところ貸家を中心に伸びを高めてい
る。
る。
新興国経済の減速を受けて海外向けの一
新興国経済の減速を受けて海外向けの一
部で弱めの動きがみられている一方、国内
部で弱めの動きがみられている一方、国内
向けでは自動車関連で持ち直しの動きが
向けでは自動車関連で持ち直しの動きが
みられることから、全体としては横ばい圏
みられることから、全体としては横ばい圏
内で推移している。
内で推移している。
3月の有効求人倍率は 1.24 倍(前年比+
0.16 ポイント)と、前年を上回った。
1
引き続き改善している。
2.需要項目別動向
公共投資は、減少している。
4月の公共工事請負金額をみると、国や都道府県発注分の減少を主因に、前年比マイナス
となった。
輸出は、弱含んでいる。
設備投資は、一部に計画進捗の遅れがみられるほか、先行きの需要見通しが全体としてや
や慎重化していることを背景に、幾分弱含んでいる。
個人消費は、今般の熊本地震の影響等から消費者マインドが幾分慎重化していることもあ
って、持ち直しの動きが足踏みしている。
大型小売店(百貨店・スーパー・複合商業施設)売上高や量販店(ディスカウントストア・
ホームセンター等)売上高は、食料品は底堅く推移しているものの、衣料品や身の回り品が
弱い動きとなっていることから、全体としては持ち直しの動きが足踏みしている。
乗用車販売は、新型車投入効果が引き続きみられているものの、燃費不正問題の影響がみ
られる軽自動車を中心に、足もと弱い動きとなっている。
住宅投資は、このところ貸家を中心に伸びを高めている。
4月の新設住宅着工戸数は、分譲が前年を下回った一方、持家、貸家が前年を上回ったこ
とから、全体でも前年比プラスとなった。
3.生産
生産は、新興国経済の減速を受けて海外向けの一部で弱めの動きがみられている一方、国
内向けでは自動車関連で持ち直しの動きがみられることから、全体としては横ばい圏内で推
移している。
▽業種別生産動向
高炉
鉄
鋼
国内自動車向けが持ち直しつつある一方、海外向けが熱延鋼板や鉄道用鋼材を中心に
弱めの動きとなっていることから、全体としては高めの水準ながら幾分弱含んでいる。
公共工事向けやマンション向けは低調に推移している一方、民間設備投資向けが堅調
電炉
に推移しているほか、鋼材価格の先高観を背景とした調達前倒しの動きもあって、生
産は持ち直しに転じつつある。
化学
セメント
住設機器
海外自動車向けやスマートフォン関連を中心に、生産は弱含んでいる。
公共関連需要の動向を反映して、生産は弱含んでいる。
住宅関連需要の動向を反映して、リフォーム向けは堅調であるものの、新築向けの持
ち直しの動きが鈍化していることから、生産は横ばい圏内で推移している。
2
電気機械
国内の生産設備向けが堅調に推移しているほか、海外向けの一部で持ち直しの動きが
みられることから、高めの水準となっている。
スマートフォン向けが販売先における内製化や在庫調整の影響もあって弱めの動きと
電子部品
なっている一方、ハイブリッド車向けが増加していることから、生産は増加に転じて
いる。
自動車
海外向けが堅調に推移しているほか、国内向けも一部車種の販売好調を主因に上向い
ていることから、生産は持ち直している。
4.雇用
雇用情勢は、引き続き改善している。
4月の有効求人倍率は、1.12 倍(前年比+0.16 ポイント)と、前年を上回った。
5.物価
4月の消費者物価指数(北九州市の生鮮食品を除く総合ベース)は、前年比プラス(+0.5%)
となった。
6.企業倒産
4月の企業倒産(負債総額 10 百万円以上)をみると、件数は6件(前年同月 11 件)、負
債総額は 1,415 百万円(同 4,463 百万円)となった。
7.金融情勢
4月末の実質預金は、前年比 2.9%増となった(前月同 2.1%増)。貸出は、前年比 4.9%
増となった(前月同 5.0%増)。
この間、貸出約定平均金利(都銀・地銀・地銀Ⅱ平均、総合<ストック・ベース>)は、
1.333%となった(前月 1.302%)。
以 上
3
主要金融経済統計(1)
[前年比 %]
鉱工業生産指数
(福岡県、季節調整済)
鉄鋼生産
粗 鋼
セメント
生 産
鋼 材
指数
通 関
前期比
輸 出
2010年=100
輸 入
%
13年中
▲ 2.6
1.4
4.6
103.9
▲ 3.1
6.5
17.7
14年中
▲ 5.9
4.9
▲ 1.1
104.6
0.7
▲ 2.0
0.4
15年中
7.9
▲ 4.4
▲ 6.2
109.3
4.5
10.8
▲ 8.5
14/10-12月
▲ 0.7
3.7
▲ 4.3
103.5
2.0
0.6
▲ 13.6
15/1-3月
37.0
3.0
▲ 7.6
112.0
8.2
8.2
▲ 1.0
4-6月
6.3
▲ 4.6
▲ 9.2
108.8
▲ 2.8
13.7
▲ 9.6
7-9月
1.1
▲ 6.2
▲ 4.5
107.5
▲ 1.2
12.6
▲ 6.2
10-12月
▲ 4.5
▲ 9.6
▲ 3.7
108.6
1.0
8.9
▲ 17.3
16/1-3月
▲ 0.7
▲ 7.8
▲ 3.4
106.0
▲ 2.4
▲ 12.6
▲ 23.0
15/3月
50.8
▲ 2.8
▲ 10.5
109.4
▲ 1.2
11.3
▲ 4.2
4月
46.8
▲ 4.9
▲ 18.0
108.6
▲ 0.7
20.3
▲ 16.2
5月
▲ 2.8
▲ 1.3
▲ 4.3
108.0
▲ 0.6
7.4
▲ 15.3
6月
▲ 9.4
▲ 7.6
▲ 4.3
109.9
1.8
13.3
4.0
7月
▲ 0.2
▲ 6.9
0.0
112.1
2.0
23.5
▲ 9.2
8月
1.8
▲ 3.0
▲ 0.8
103.3
▲ 7.9
5.6
▲ 8.5
9月
1.7
▲ 8.6
▲ 12.6
107.2
3.8
8.5
▲ 0.6
10月
▲ 6.3
▲ 16.6
7.1
108.8
1.5
19.9
▲ 11.1
11月
▲ 4.5
▲ 6.8
▲ 10.7
109.0
0.2
6.9
▲ 17.6
12月
▲ 2.8
▲ 5.2
▲ 6.7
108.1
▲ 0.8
2.0
▲ 22.8
16/1月
0.0
▲ 9.6
▲ 9.0
108.1
0.0
▲ 15.4
▲ 25.1
2月
▲ 4.8
▲ 6.0
0.6
103.6
▲ 4.2
▲ 8.1
▲ 24.8
3月
2.7
▲ 7.7
▲ 1.8
106.4
2.7
▲ 14.3
r
▲ 18.9
4月
2.8
▲ 3.2
2.6
n.a.
n.a.
▲ 19.7
p
▲ 19.2
出 所
日 本 銀 行 北 九 州 支 店
福 岡 県
財 務 省
1.本資料は、原則として公表日の前営業日時点で入手可能な計数をもとに作成。
2.本資料における「管内」は、北九州市、行橋市、豊前市、京都郡および築上郡を指す。
3.pは速報値、rはリバイス値(速報値を確報値に修正したり、対象社数を変更した場合等)、bは定義替え等で
時系列データが直前のデータと連続しないことを示す。
4.鉄鋼生産は管内3社計。
5.セメント生産は管内4社計。
6.鉱工業生産指数(福岡県)は、月次指数を除いては公表計数をもとに当店で算出。年中は原指数。
7.通関実績は、財務省貿易統計の3港(門司、戸畑、苅田)の輸出入額(円ベース)の集計値。前年比は当店で
算出。
4
主要金融経済統計(2)
[前年比 %]
公共工事
請負金額
新設住宅
着工戸数
乗用車新車
登録台数
(軽含む)
大型小売店
売 上 高
有効求人
倍 率
新規求人数
消費者物価
指 数
倍
13年中
6.9
19.2
▲ 1.7
▲ 3.2
0.80
▲ 4.1
0.4
14年中
▲ 6.4
▲ 20.9
▲ 1.6
2.6
0.95
7.0
2.6
▲ 0.0
▲ 11.9
1.06
2.3
1.1
▲ 2.5
▲ 12.4
1.05
5.1
2.9
▲ 6.4
▲ 18.4
1.11
5.5
2.6
15年中
b
14/10-12月
15/1-3月
▲ 15.6
b
5.0
b
▲ 9.2
5.3
b
▲ 25.1
b
▲ 16.7
b
4-6月
▲ 12.8
▲ 2.2
2.9
▲ 14.4
0.96
2.5
0.6
7-9月
▲ 19.4
36.4
2.7
▲ 7.8
1.06
▲ 1.0
0.4
10-12月
▲ 20.5
6.8
1.3
▲ 3.1
1.14
2.4
0.6
16/1-3月
▲ 35.0
78.6
1.2
▲ 4.7
1.25
6.7
0.6
15/3月
▲ 22.5
▲ 5.9
▲ 11.6
▲ 12.9
1.08
▲ 1.0
3.0
4月
▲ 44.2
5.4
6.1
▲ 20.8
0.96
2.3
0.7
5月
▲ 2.0
11.3
3.2
▲ 16.8
0.95
1.8
0.7
6月
29.9
▲ 19.0
▲ 0.3
▲ 7.3
0.98
3.4
0.4
7月
▲ 4.4
51.8
2.2
▲ 12.2
1.06
11.2
0.3
8月
▲ 34.7
63.2
0.7
▲ 7.1
1.06
▲ 8.6
0.3
9月
▲ 17.0
1.8
5.6
▲ 4.3
1.07
▲ 4.9
0.5
10月
▲ 30.7
▲ 9.8
5.2
▲ 1.4
1.09
6.4
0.6
11月
▲ 6.1
93.1
▲ 2.4
▲ 1.9
1.13
0.6
0.5
12月
▲ 11.5
▲ 29.7
1.2
▲ 6.0
1.19
▲ 0.4
0.8
16/1月
▲ 69.9
98.0
0.8
▲ 4.1
1.24
5.2
0.5
2月
0.4
98.6
3.8
▲ 1.2
1.28
2.2
0.9
3月
▲ 28.4
48.9
▲ 0.5
▲ 7.6
1.24
13.6
0.2
4月
▲ 19.8
16.7
0.6
16.9
1.12
7.9
0.5
出 所
西日本
建設業保証㈱
国土交通省
日本銀行
北九州支店
福 岡 県 自 動 車
販 売 店 協 会
北 九 州 支 部
福岡労働局
総 務 省
福岡県軽自動車協会
8.公共工事請負金額は北九州市、行橋地区、豊前地区の集計値。前年比は当店で算出。
9.新設住宅着工戸数は北九州市、行橋市、豊前市、京都郡および築上郡の集計値(ただし2014/12月以前は北九州市のみ)。
前年比は当店で算出。
10.大型小売店売上高は管内の百貨店・スーパー・複合商業施設11先の店舗数調整値。
11.乗用車新車登録台数(軽自動車を含む)の年中および四半期の前年比は公表計数をもとに当店で算出。
12.有効求人倍率(含むパート、原計数)および新規求人数(含むパート)は管内3職安(小倉、八幡、行橋)の集計値。
13.消費者物価指数は生鮮食品を除く総合ベース(北九州市)。四半期の前年比は公表計数をもとに当店で算出。
5
主要金融経済統計(3)
[前年比 %]
企業倒産
件数
負債総額
件
実質預金
貸出金
末 残
末 残
貸出約定
平均金利
(総 合)
%
百万円
銀行券発行還収高
発行高
百万円
還収高
百万円
13年中
101
10,385
3.3
2.4
1.551
444,544
125,621
14年中
78
14,386
2.7
4.9
1.441
479,771
115,436
15年中
95
13,741
2.8
3.8
1.371
489,714
135,093
14/10-12月
22
5,622
2.7
4.9
1.441
163,532
27,001
15/1-3月
19
2,894
3.1
4.6
1.407
107,156
37,871
4-6月
36
7,579
3.9
4.6
1.407
131,840
22,587
7-9月
23
1,329
3.1
3.9
1.386
130,312
21,921
10-12月
17
1,939
2.8
3.8
1.371
120,406
52,714
16/1-3月
26
4,263
2.1
5.0
1.302
73,149
62,785
15/3月
6
358
3.1
4.6
1.407
41,846
10,294
4月
11
4,463
2.7
4.1
1.420
48,121
8,356
5月
10
1,694
3.6
4.2
1.415
34,508
7,199
6月
15
1,422
3.9
4.6
1.407
49,211
7,032
7月
8
270
3.4
4.0
1.398
48,369
7,793
8月
8
939
2.8
4.3
1.390
43,574
7,463
9月
7
120
3.1
3.9
1.386
38,369
6,665
10月
6
1,028
3.8
3.9
1.392
33,488
16,379
11月
5
465
2.0
3.9
1.383
28,643
16,414
12月
6
446
2.8
3.8
1.371
58,275
19,921
16/1月
10
2,939
2.2
4.3
1.366
14,703
22,139
2月
7
653
2.0
4.1
1.354
29,859
18,485
3月
9
671
2.1
5.0
1.302
28,587
22,161
4月
6
1,415
2.9
4.9
1.333
31,407
16,271
出 所
㈱東京商工リサーチ
北 九 州 支 店
日 本 銀 行 北 九 州 支 店
14.企業倒産は負債総額10百万円以上。
15.実質預金、貸出金は管内に所在する都銀、地銀、第二地銀、信託(銀行勘定)および日本銀行北九州支店が主管する信金の
店舗における実質預金および貸出金の月末残高をそれぞれ合計したもの。ただし、銀行については、オフショア勘定を除く。
実質預金は預金から切手手形を控除したもの。銀行の貸出金については、中央政府向け貸出を除く。
16.貸出約定平均金利は管内に所在する都銀、地銀、第二地銀の貸出金利(ストックベース)を貸出金残高で加重平均したもの。
6