シンポジウム 4 認知症を取り巻く諸問題における患者の尊厳を考える オーガナイザー:冨本秀和 三重大学大学院医学研究科 神経内科 三村 将 慶應義塾大学医学部精神神経科学 概要:超高齢社会の到来に伴って、認知症の位置づけは社会インフラや行政施 策を左右するほどの重大事案となっている。現在進行中の認知症施策推進総合 戦略(新オレンジプラン)では「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」がそ の目標として掲げられているが、400 万人を超える認知症患者の増加とそれに附 随する社会構造の変化に適切に対応していくことは、真の意味での地域包括ケ アの実現に向けて必要不可欠である。人口構成の高齢化は認知症患者数の増加 を招いたが、一方では独居や介護者不在世帯の増加の原因にもなっており、現 下の問題をより深刻化している。 認知症を取り巻く諸問題として、徘徊・行方不明、高齢者の自動車事故の増 加、キーパーソン不在による市民後見制度の必要性、犯罪と責任能力など、様々 な課題が指摘されている。このような状況下では、問題解決に向けて性急なあ まり、ともすると患者の尊厳がなおざりにされる傾向が生じやすい。本シンポ ジウムでは、認知症を取り巻くこれらの諸問題を社会全体で解決していくにあ たって、患者の尊厳を守ることが解決へ向けての近道であり、認知症患者にや さしい地域社会と理想的な地域包括ケアを実現する上で最も重要であることを 指摘したい。また、そこに立ちはだかる問題点を明らかにし、その解決へ向け ての方策を提案することを目標とする。
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