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シンポジウム 10 神経病理学の原点と進歩
オーガナイザー:若林孝一 弘前大学脳神経血管病態研究施設 脳神経病理学
井関栄三 順天堂大学江東高齢者医療センターメンタルクリニック
概要:神経病理学の原点は病理検査(病理解剖と生検)を基盤とする臨床病理学にあると
思われる。認知症をきたす代表的疾患であるアルツハイマー病やピック病、レビー小体型
認知症、嗜銀顆粒性認知症などは臨床的観察に加え、病理組織学的観察によって確立した
疾患であり、その後、蓄積タンパク質の生化学的解析が進んだ。現在、これらの疾患の確
定診断は病理解剖によるが、脳内に起こっているのと同一の病態が脳以外にも存在し、そ
の組織が採取しやすい部位(例えば皮膚)である疾患の場合には生検が確定診断に有効と
なるであろう。あるいは将来的にバイオマーカーが見つかるかもしれない。一方、神経病
理学は神経科学の一分野であり、有力な研究手法の一つである。認知症をきたす疾患の多
くは異常タンパク質蓄積病であり、異常蛋白の蓄積、分解、そして脳内進展の観点から研
究が進んでいる。本シンポジウムでは神経病理学の原点を見つめなおすとともに、最近の
トピックスについても紹介したい。