シンポジウム 9 薬剤性認知障害 オーガナイザー:秋下雅弘 水上勝義 東京大学老年病科 筑波大学スポーツ健康システム・マネジメント科学 概要:認知障害の原因の一つに薬剤がある。1 剤でも認知障害は発現しうるが、 併用薬剤数が増えるにつれリスクが高まる。高齢者は身体疾患の治療のため併 用薬剤が多く薬剤性認知障害をきたしやすい。東大病院老年病科に認知症精査 目的で入院した患者は平均 5 種類の薬剤を服用していた。これらの薬剤を減量・ 中止することで認知障害が改善・軽快することがある。また、せん妄のように 認知症との鑑別が必要な病態も薬剤性の場合があり、これらを含めて薬剤性認 知障害という病態を理解するのが妥当であろう。ところが、まだエビデンスが 乏しいこともあって、認知症疾患治療ガイドラインにも薬剤性認知障害に関す るクリニカルクエスチョンや解説は記載されていない。 そのような背景から、本シンポジウムでは認知障害を来す可能性がある薬剤 を取り上げ、各領域の専門家から最新のエビデンスについて解説していただく ことを目的とした。シンポジウムまでに「高齢者の安全な薬物療法ガイドライ ン 2015」 (日本老年医学会発行)が発表される予定であるが、その中のストップ (中止を考慮するべき薬剤もしくは使用法のリスト)には、認知機能低下を理 由とするものがいくつもある。このリスト作成のもとになった系統的レビュー の担当者に演者を依頼したが、改めて認知機能障害をキーワードに検索した文 献的データや自験例を交えて実践的な内容を発表いただく予定である。
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