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シンポジウム 5 白質変性症と非アルツハイマー型認知症
オーガナイザー:玉岡 晃 筑波大学臨床医学系 神経内科
吉田邦広 信州大学医学部神経難病学神経遺伝学部門
概要:少子・高齢化が急速に進行する今日、認知症患者の診療体制および生活・療養環境
の整備は社会的に最重要課題の一つである。現在、認知症はアルツハイマー型認知症と非
アルツハイマー型認知症に大別されるが、両者の割合はおよそ 50%ずつと推察される。非
アルツハイマー型認知症はさらに変性性認知症と非変性性認知症に分類できる。本シンポ
ジウムでは非アルツハイマー型の変性性認知症の中で病変の主座が白質に存在する白質変
性症に焦点を当てる。病態的には神経細胞体の変性や脱落より、軸索変性や脱髄などがよ
り primary な病変と考えるべき疾患群である。
MRI が広く普及した日常診療において白質病変に遭遇する機会は非常に多い。白質病変の
成因は変性のみならず、血管障害、免疫介在性炎症、腫瘍、形成異常など種々ある。臨床
的にも多様であり、重篤な精神・神経症状を呈する患者から、頭痛などの精査時に MRI に
て偶発的に白質病変が見つかる場合もある。原因疾患の頻度もまちまちである。認知症診
療においては、このように多様な白質異常症の中から、認知症の原因疾患として重要な白
質変性症を見極め、鑑別していくことが求められる。最近では、次世代シークエンシング
による網羅的なゲノム解析により、新たな白質変性症の原因遺伝子が次々と同定され、分
子遺伝学的な知見に基づいた病態解明も急速な進歩を遂げている。本シンポジウムでは白
質変性症の中でも診断に苦慮することが多く、認知症診療において知っておくべき重要な
疾患を中心に最近の知見を紹介する。