シンポジウム 8 バイオマーカー(体液・アミロイド画像)研究の進歩

シンポジウム 8 バイオマーカー(体液・アミロイド画像)研究の進歩
オーガナイザー:伊藤健吾 長寿医療研究センター長寿脳科学研究部
松原悦朗 大分大学神経内科
概要:近年、アルツハイマー病の診断においてバイオマーカーの進歩が著しい。
アルツハイマー病は、その最初の症例報告から 100 年以上経過した現在でも根
本的な治療の構築には至っていない難攻不落の認知症である。しかし 2000 年以
降ようやく根本的治療への糸口が見えたことを契機として、根本的治療のため
の超早期診断、その際に不可欠なツールとして、バイオマーカー検査そのもの
に明確な整合性が与えられるようになった。バイオマーカーは脳脊髄液などの
体液における生化学マーカーと画像検査に大別されるが、家族性アルツハイマ
ー病家系の自然歴研究において(DIAN 研究等)、両者がペアーとなり脳内発症
病理を可視化しながらサロゲートできること(サロゲートマーカー)
、早期治療
介入を図るためのスクリーニングバイオマーカーとしての意義を有することが
広く周知されるようになり、アルツハイマー病の臨床診断基準に大きな変革を
もたらしている。一方、侵襲性と非汎用性検査とそれぞれの抱える欠点が、そ
の実用性(広く一般診療での活用等)の障壁となっている現状は否めず、これ
らの弱点を克服した非侵襲的血液バイオマーカー開発が急務と考えられている。
本シンポジウムでは、体液・アミロイド画像のバイオマーカー研究のこれまで
を再評価し、非侵襲的バイオマーカー開発の現状と今後の展望を整理したい。