Vol.210 3月の見通し 高値更新する株価に強まる過熱感

2015年
3月9日号
Vol.210
3月の見通し 高値更新する株価に強まる過熱感
 直近の円安値の壁、突破は?
ドル円相場は、昨年10月末の日銀の金融緩
和で大きく円安に振れた後は120円台の壁が
厚くなっています。
これには政府サイドから聞かれ始めた円安
けん制発言も影響しているようです。
今後の政治日程を考えると、まず4月12・26
日に統一地方選挙が実施されます。
地方経済や中小企業にとっては円安のデメリ
ットが大きいため、選挙のことを考えれば今
は円安に振れて欲しくない時期でしょう。さら
に5月の連休中には安倍首相の訪米が予定
されています。
TPP交渉妥結を目前に円安に対する不満が
聞かれ始めた米国議会に対しても一定の配
慮が必要です。
こうした事情を考えると、ドル円相場が昨年
12月につけた121円85銭の高値更新にトライ
する環境が整うのは、4月の統一地方選、5月
の安倍首相訪米という2つの政治日程の後
になるかもしれません。
 金融緩和で欧州のお金はどこへ?
欧州中央銀行(ECB)は、3月5日の理事会で
月額600億ユーロの資産購入計画の具体案
を発表しました。マイナス利回りの債券をどこ
まで購入するのかという点についてドラギ総
裁は「中銀預金金利まで(現在マイナス
0.2%)」と具体的な目処を示しました。
今回の発表でECBがマイナス利回りの国債
買取を容認する考えを示したことになります。
しかし、こうした状況下、欧州の投資家は運
用難に陥っており、少しでも利回りのある社
債市場に資金が向かっています。
 買いは遅かれ 売りは早かれ
より高いリターンを求める資金は、各国の株
式市場にも流入し、主要先進国の株式市場
は高値を追う動きとなっています。
しかし、同時に株価のバリュエーション(投資
価値評価)は割高になっており、世界株式の
株価収益率(PER)は2004年以来の高水準に
あります。
こうした局面では、多くの投資家がチキン・ゲ
ームを競っているような心理状態になります。
割高だと思いながらも相場はまだ上がるの
で、自分だけ先に相場から降りるわけにはい
かないと感じるのです。
その反面、恐怖心から疑心暗鬼になり、ちょ
っとした悪材料にも過剰反応しがちです。
天井圏での相場は、じりじりと上昇して一気
に下げるため、「買いは遅かれ 売りは早か
れ」という相場格言が説得力を持ちます。
ただし、全ての市場に対して割高感を抱く必
要はありません。たとえば好調な決算発表が
続く日本株式や割安感が強まっている一部
の資源国などもあります。先人の経験に学び
つつ、冷静に現状分析することの大切さを、
今更ながらに感じます。
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