3月の見通し 株価は悲観的な見通しを織り込んだ

2016年
3月7日号
Vol.292
3月の見通し
株価は悲観的な見通しを織り込んだ
 株式をやや強気へ一段引き上げ
年初から、大きく変動してきた株式ですが、出
来高を伴った大幅安を経験し、目先は反発局
面に向かうと見られることから、これまで中立
だった評価をやや強気へと一段階引上げま
す。株式市場が変動する要因の1つであった
原油安について動きがあったことや2月末に
行われたG20財務相・中央銀行総裁会議を
受けて各国の政策期待も高まっています。
 高まる政策発動への期待
原油安の背景の1つは、産油国間の利害対
立から減産合意が整わないことにありました
が、ここにきて石油輸出国機構(OPEC)の加
盟国と非加盟国が3月中にも臨時会合を開き
原油価格の維持に向けた協議を行う見通しと
報じられました。
何らかの政策協調が生まれる機運が高まっ
ており、原油相場が底入れすることになれば
金融市場も安定する可能性があります。
2月末に行われたG20財務相・中央銀行総裁
会議では、成長押し上げのために金融・財
政・構造改革を総動員することが確認され、
各国の政策に対する期待が高まっています。
3月10日に行われる欧州中央銀行(ECB)の
金融政策決定会合では、資産購入プログラ
ムの増額やマイナス金利幅の拡大など思い
切った追加金融緩和が行われそうです。中国
も景気下支えのために2月29日に預金準備
率を0.5%引き下げ、さらに3月5日に開幕した
全人代では供給過剰などの構造問題を議論
する見通しです。
 冷水3斗で底が入る
年初から軟調な展開が続いていた日経平均
株価は、原油安、円高や欧州の金融機関の
経営不安などの不安材料を受けて2月12日
には15,000円を割り込みました。東証の出来
高も47億株と昨年8月以来の大商いとなり、
週間の下げ幅は1,800円超とリーマン・ショッ
ク以来の大きさでした。
下落相場の最終局面では、このように出来高
を伴った大幅安を経て相場が下げ止まること
がしばしばあります。これを英語で「セリング・
クライマックス」といいます。日本にも「冷水三
斗で底が入る」という相場格言がありますが、
セリング・クライマックスの瞬間の凍りつくよう
な投資家心理を、寒中に三斗(一斗樽3杯
分)の冷水をたて続けに浴びせられるような
過酷な状況に例えて表現しています。
テクニカル分析の視点では、今回の調整局
面はひとまず終了した可能性を示唆していま
す。であれば、株価は目先反発に向かう公算
が高く、まずは100日移動平均線がある
18,000円台回復を目指す動きも期待されま
す。ただし、世界経済を取り巻く不透明要因
が払拭されたわけではなく、春先に見られる
三寒四温の天候のように、強気と弱気が日
替わりとなる不安定な相場環境がしばらく続
きそうです。
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