2015 年度 慶應義塾大学 商学部 (地理) 解答解説

2015 年度 慶應義塾大学 商学部 (地理) 解答解説
Ⅰ
解答
問1 ( 1 )( 2 )= 26(U)
( 3 )( 4 )= 48(ソグネ)
( 5 )( 6 )= 42(サーミ人)
( 7 )( 8 )= 32(インド=ヨーロッパ) ( 9 )(10)= 39(ゲルマン)
(11)(12)= 34(ウラル)
(13)(14)= 54(ハンガリー)
(15)(16)= 59(プロテスタント) (17)(18)= 12(2)
(19)(20)= 52(ノルウェー)
(21)(22)= 55(フィンランド)
(23)(24)= 45(水力)
(25)(26)= 40(原子力)
問2 (27)= 2
(28)= 2
問3 (31)(32)= 25(第四紀)
(37)(38)= 17(1万)
(29)= 2
(30)= 1
(33)(34)= 20(10万)
(35)(36)= 18(2万)
(39)(40)= 35(カール)
(41)(42)= 60(ホルン)
問4(1)ベルギー、オランダ、ルクセンブルク 【順不同】
(2)マーストリヒト条約
問5 人間環境
問6 UNEP
問7 アイスランド、デンマーク 【順不同】
解説
《北欧諸国の地誌》
昨年や一昨年は問1の空欄補充の問題数・選択肢数ともに少なめになっていたが、今年度は従来の分量にもど
り時間的には少々厳しくなった。しかしながら、難易度においては問3の一部をのぞいて教科書的な内容で、ス
ムーズに解答できる素直な問題がほとんどであった。
問1・問2 スカンディナヴィア半島諸国の地誌問題である。フィヨルド、言語系統、エネルギー構成など基本
的な事象をつまみ上げて出題している。ノルウェーには無数にフィヨルドが存在するが、ベルゲン北部に位
置するソグネフィヨルドは五大フィヨルドの中でも最大で、唯一冬季も遊覧船が運航している。ノルウェー
は産油国で一人当たりの所得水準が極めて高いために、EUには加盟していない。また、スウェーデンやデン
マークはEU加盟国でありながら、所得水準が高いために独自通貨を維持しユーロは導入していない。
問3 商学部ではあまり出題されない、系統地理の自然環境分野からの出題であった。その中でも氷河地形に限
定した出題には、意表を突かれた受験生も多かったと思われる。最終氷河期は今から1万年~2万年前であ
り、当時は現在のベルリンやニューヨークあたりまで氷河に覆われていた。ニューヨークのセントラルパー
クにはその痕跡がみられる。カールやホルンも基本的な知識問題であり、着実に得点したい。今後もこのよ
うな系統地理分野の出題を想定し、基本的な地名・用語を中心に学習をしておきたい。
問4~問7 国際機関についての出題。EU(ヨーロッパ連合)の前身であるEC(ヨーロッパ共同体)は、ECS
C、EEC、EURATOMの3機関が統合して 1967 年に結成したものである。当時の加盟国はベネルクス三国
とフランス、イタリア、旧西ドイツであった。徐々に加盟国を拡大し、1993 年のマーストリヒト条約発効に
よりECを発展的に解消して、EUとなった。また、1972 年の国連人間環境会議は「かけがえのない地球」を
テーマにストックホルムで開催され、ケニアのナイロビにUNEP(国連環境計画)が設立された。この会議
は冷戦期に行われ、各国の首脳クラスの参加は皆無であったが、環境問題の重要性を国際社会に提起し、20
年後にリオデジャネイロで開催される国連環境開発会議に結びついた。
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Ⅱ
解答
問1 (43)(44)= 43(ベンガル湾)
(49)(50)= 20(雨季)
(45)(46)= 37(デカン高原)
(47)(48)= 16(安定陸塊)
(51)(52)= 17(イスラム)
(53)(54)= 40(バラモン)
(55)(56)= 25(ザミンダール) (57)(58)= 46(緑の革命)
(61)(62)= 33(ダモダル)
問2 (67)= 2
(68)= 3
問3 あ=ヒンドスタン
(59)(60)= 32(タタ)
(63)(64)= 41(バンガロール) (65)(66)= 14(SAARC)
(69)= 1
い=3.5
う=人口ピラミッド
え=ジャーティ
問4 医療の進歩や普及と衛生・栄養状態の改善。
(20 字)
問5 外国企業の参入規制。
(10 字)
問6 幼少時から高度な理数教育を受けた、安価で優秀な技術者が豊富にあるため。
(35 字)
問7 a=ネパール
b=ブータン
c=スリランカ
d=モルディブ
解説
《南アジア諸国の地誌》
インドと周辺国に関する地誌問題である。問1の空欄補充の選択問題はⅠと同様の形式であるが、問4~6に
論述問題が3題(計 65 字)出題されている。いずれも教科書レベルでありながら、要領よくまとめあげる練習を
していないと苦戦を強いられる問題であった。このような論述問題で得点に差がつきやすいので、受験生は 10 ~
50 字程度の論述を多くこなし、どのような問題にも手早く対応できる練習をしておく必要がある。
問1 地形、気候、宗教、産業の各分野にわたる基礎的地名・語句が出題されている。ザミンダール、SAARC
などがやや難しいが、これらの問題を着実に正解して他者に差をつけたいものである。
問2 インドは中国と並ぶ人口大国であるため、農産物や資源・繊維製品など基礎的な物産の生産量はきわめて
多い。特に、熱帯・亜熱帯気候下で栽培されるバナナ、ベジタリアンが多いので蛋白源として貴重な牛乳は、
インドが中国の生産を上回っている。
問3・問6 カーストの内容として「ジャーティ」を記述させるのはやや難問。この職業別の身分制度はインド
発展の足かせとなっているが、問6にも出題されているように近年発展したIT産業はこれら身分制度の範
疇外であるので、カーストの束縛から逃れるため幼少時からの理数教育が盛んとなった。このような社会情
勢が、インドのIT産業を発展させた遠因でもある。
問4 インドに限らずアジア・アフリカの発展途上国でみられた現象を、一般的に説明すればよい。
問5 問1のなかでタタ財閥にふれられているように、インドは国内市場が広大であるため長らく輸入代替型の
経済・貿易体制を維持してきた。[バターからミサイルまで]とよばれるように、食料品から最先端の工業
製品までを国産品でまかない、外国資本の参入を規制してきたのである。
問7 インドとネパールはヒンドゥー教が、パキスタンとバングラデシュとモルディブはイスラム教が、スリラ
ンカは仏教が、ブータンはチベット仏教が多数派となる。ここでは、複数国の場合は最も面積の小さい国を
解答しなければならないので、やや難しくなっている。南アジアのみならず、東南アジア、西アジア地域に
おいても国によって最大宗教が異なるので、この出題パターンにならって対策をとるとよいであろう。
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Ⅲ
解答
問1 (70)(71)= 22(1991)
(72)(73)= 58(ビリニュス)
(74)(75)= 62(リガ)
(76)(77)= 46(タリン)
(78)(79)= 29(イスラム教シーア派) (80)(81)= 30(イスラム教スンナ派)
(82)(83)= 32(イラン)
(84)(85)= 54(トルコ)
(86)(87)= 20(170)
(88)(89)= 12(20)
(90)(91)= 38(沿海)
(92)(93)= 35(ウスリー)
(94)(95)= 28(アンガラ) (96)(97)= 47(チェレンホヴォ) (98)(99)= 63(冷帯夏雨)
(100)(101)= 37(エニセイ)(102)(103)= 33(イルティシ)
問2 あ=グルジア
い=アルメニア
う=ウズベキスタン
(104)(105)= 36(エカテリンブルク)
え=トルクメニスタン
問3 原油〔石油〕
問4 ソビエト社会主義共和国連邦
問5 国家が物資の生産量・価格・流通などを管理・統制する経済システムのこと。
(35 字)
問6 ミンスク
問7 エルブルース山
問8 流入河川沿いで綿花を栽培して、水量が激減したため。
(25 字)
解説
《旧ソ連諸国の地誌》
旧ソ連地域は受験生にとって最も対策が遅れがちな分野の一つである。ここではオーソドックスな学習で対応
可能な、表中の国名・首都名・宗教の問題で得点を稼ぎたいものである。同様な出題が小国の集中する中米・カ
リブ海地域、東欧地域、アフリカ地域などでもあり得るので、各地域内の重要国の国名・首都名を中心として、
地図を活用した学習をお勧めしたい。
問1 本文前半部の空欄補充は旧ソ連の地誌の概要であるが、後半部はシベリア鉄道沿線の地名が主体となって
いて、特にチェレンホヴォ炭田やイルティシ川を選ぶのは厳しかった。しかし、シベリアの都市は鉄道の建
設以後に発展したものがほとんどであり、大河川と鉄道の交点に主要都市が所在するので、都市名と河川名
をセットで学習していた受験生にとってはさほど難しくなかったであろう。
問2 カフカス地域・中央アジア地域の国名を、紛らわしいグルジアとアルメニア、ウズベキスタンとトルクメ
ニスタンの組合せで問うている。
問3 面積の広大なロシアとカスピ海沿岸国では、原油が最大輸出品となっている。ロシアの油田は広範囲に分
布するが、樺太(サハリン)北部からは原油・天然ガスが日本にも輸出されているので、その位置をおさえ
ておきたい。
問4 問1でもソ連解体の年が問われているが、近年、冷戦期の知識を問う問題が増えてきている。
問5 計画経済とは市場経済に対する言葉である。物産の生産や流通を国家が指導し計画的に行う経済システム
であるが、硬直的であったため技術革新をさまたげ生産意欲の低下をまねいた。そのために社会主義国の経
済は停滞し、ソ連崩壊の原因となった。しかし、中国やベトナムは一党独裁の政治体制を維持したまま市場
経済を導入し、先進国からの投資をよび経済発展に成功した。それで現在も社会主義国として存続している。
問6・問7 CISの出題頻度は高いが、その本部の所在地はベラルーシのミンスクにある。また、エルブルース
山はカフカス山脈の北斜面に位置し、ヨーロッパの最高峰である。
問8 アラル海はかつて世界4位の面積の湖であった。ソ連時代に、湖に流れ込むアムダリア川の流域で防寒用
の綿花を増産し、さらにカラクーム運河を建設した。そのため流入する水量が激減し湖面が縮小、干上がっ
てしまった。そして昨年、ついにアラル海はほぼ消滅したとの報道があった。
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