2015 年度 早稲田大学 教育学部 (生物) 解答解説

2015 年度 早稲田大学 教育学部 (生物) 解答解説
〔Ⅰ〕
解答
問 1 信号刺激に対して,反射が連鎖的に起こるから。
(信号刺激はかぎ刺激としても可)
問 2 (d)
問 3 (c)
問 4 (b)
問 5-1 アンドロゲン(雄性ホルモン,男性ホルモン,テストステロン)
問 5-2 (d)
問 6 求愛行動(営巣行動なども可)
解説
問 1 「その理由を・・・説明しなさい」を,
「どのような仕組みで起こるのか説明しなさい」と解釈すれば解答例
のような文が書けるだろう。しかし,
「どのような理由でそのようなシステムになったのか」と解釈した場
合,
「定型的な行動をとることが生存や繁殖に有利であったため」という解答が考えられる。
出題者の意図を読み取るためのヒントは残念ながら問題文中に見当たらないので,どちらの解答も正解の
可能性があるだろう。
問 2 繁殖期のイトヨのオスの攻撃行動は,対象の腹部の赤色が信号刺激(かぎ刺激)となって引き起こされる。
イトヨの行動を研究した人物はティンバーゲンである。
問 3 脊椎動物の生得的な行動のうち,複雑なものはほとんどが大脳によって制御されている。攻撃行動以外に
も,求愛行動や営巣行動は大脳によって制御されている。
問 4 雄は繁殖期になると,脳下垂体前葉から分泌される生殖腺刺激ホルモンの作用で,精巣が発達する。
問 5-1 高校生物および生物基礎の教科書には記載がないが,精巣からはアンドロゲン(雄性ホルモン)とよば
れるホルモンが分泌されている。テストステロン(男性ホルモン)としている大学の解剖学教科書などもあ
るので,こちらを答えてもよいだろう。
問 5-2 精巣や卵巣,副腎皮質から分泌されるホルモンはステロイド系ホルモンである。ステロイドとはステ
ロイド核という共通構造を持つ物質の総称で,水に溶けにくいが脂質に溶けやすい特性を有する。
問 6 「野生動物」といった場合,ありとあらゆる動物が含まれるので,さまざまな別解があり得るだろう。
〔Ⅱ〕
解答
問 1 ア=4 イ=らせん ウ=クロマチン エ=核
問 2 染色体に含まれる遺伝子の数や種類が異なるから。
問 3 一塩基多型(SNP)
問 4 XY 型:(a) ZW 型:(d)(e) XO 型:(b)(f)
問 5 AY 遺伝子が発現すると,雌に必要な遺伝子が抑制され,雄に必要な遺伝子が発現する。
Copyright (C) 2015 Johnan Prep School
解説
問 2 染色体数が同じであっても,別種の生物であれば,そこに含まれている遺伝子は当然違っている。
問 3 旧課程教科書には「一塩基多型(SNP)」という語句は記載されていないが,新課程教科書では一部の教科
書を除いて記載がある。同種生物における,ゲノム中の特定の部分で見られる一塩基の違いのことをいう。
問 4 性決定の様式については,教科書ごとに記載されている生物が異なっている。
ヒトなどの多くの哺乳類・キイロショウジョウバエ・メダカは XY 型,キリギリス・バッタ・トンボ・コ
オロギ・ゴキブリは XO 型,ニワトリなどの多くの鳥類・ヘビ・カイコガ・アフリカツメガエルは ZW 型,ミ
ノガ・トビケラ・シャクガは ZO 型であることを覚えておくとよいだろう。
ウシガエルを含む両生類は XY 型と ZW 型が混在しており,同種とされる両生類でも,個体群ごとに性決定
の様式が異なる場合もあることが知られている。
このような理由から,(c)のウシガエルは解答例には含めなかった。
問 5 ある 1 つの遺伝子産物の働きだけで全ての雄性形質が発現するわけではない。ある遺伝子(この場合は AY
遺伝子)の遺伝子産物が調節タンパク質として働き,雌性形質に関与する遺伝子の発現を抑え,雄性形質に
関与する遺伝子の発現を促進するのである。そしてさらにそれらの遺伝子産物が別の遺伝子の発現を抑制し
たり促進したりする・・・というように,遺伝子発現の調節は複雑に連鎖している。
〔Ⅲ〕
解答
問 1 ア=水 イ=葉緑体 ウ=チラコイド エ=グラナ オ=ストロマ カ=酵素
キ=カルビン・ベンソン回路
問 2-1 5000lx
問 2-2 B 植物,陰生植物
問 2-3 0〜5000lx
問 2-4 33mg 増加する。
問 2-5 112L
解説
問 2-3 単に「光合成速度」といった場合,それは見かけの光合成速度ではない。見かけの光合成速度に呼吸
速度を加えたものになる。グラフを見ると,A 植物も B 植物も,光強度 0lx のときは光合成速度が 0,光
強度 5000lx のときは光合成速度が 4 であり,
この範囲では光合成速度が等しくなっていることが分かる。
問 2-4 明るいときの二酸化炭素吸収量は 8mg×2×10=160mg で,暗いときの二酸化炭素放出量は 4mg×2×14
=112mg である。したがって,24 時間では 160-112=48mg の二酸化炭素を吸収したことになる。これを
グルコースに換算すると,42mg×180/(6×44)≒33mg となる。
問 2-5 0℃,1 気圧の状態では,1mol の気体は 22.4L に相当する。光合成で使われる二酸化炭素と,放出され
る酸素のモル数は等しいので,5mol の酸素が放出されると考えて,22.4L×5=112L となる。
Copyright (C) 2015 Johnan Prep School