中国貿易統計は、当局に宿題を

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アジア
2015年2月10日
中国貿易統計は、当局に宿題を
中国貿易統計の輸入の減少幅拡大は、内需の弱さを示す一方、季節要因と商品価格の下落も原因と見られます。
また、貿易黒字は高水準に達しており、今後、中国当局は為替政策に微妙な対応を求められる可能性があります。
中国貿易統計:2015年1月の貿易黒字は過
去最高、輸入は大幅減
年1月も前年同月比で-0.6%の減少にとどまっています。一方
で、金額ベースでは-41.8%と価格下落の影響が大きくなってい
ます(図表2参照)。
今後の注目は中国当局の政策対応と見られます。貿易黒字
に焦点を当てるならば人民元高政策、内需の弱さ(を外需で補
う)ならば人民元安と方向が異なる上、足元、海外からの通貨
安政策に対する批判にも気を配る必要があると見られます。
目先、G20(財務相・中央銀行総裁会議)の議論の行く末などに
注意が必要と見ています。
中国税関総署が2015年2月8日に発表した1月の輸入は前
年同月比19.9%減少と市場予想(同3.2%減)を下回りました。
輸出も3.3%減少と市場予想(同5.9%増)を下回りました(図表1
参照)。 貿易黒字は600億ドルに達しました。
原油や鉄鉱石など商品価格の下落と内需の弱さが輸入の
大幅な落ち込みの背景と見られ、1月の原油輸入額は前年
同月比で41.8%の減少で、鉄鉱石も50.3%減、 石炭は61.8%減
図表1:中国輸出と輸入(前年同月比)、季調前)の推移
となりました(図表2参照)。
(月次、期間:2010年1月~2015年1月)
輸出の減少に関しては競争力の低下と外需の弱さへの懸
念を浮き彫りにする面もあり、米国向けは年初来前年比で
100
%
約5%のプラスを確保したものの、2014年12月の約10%に比べ 80
半分程度の伸びとなっています。欧州向けは同-4.6%、日本
中国輸入
60
向けは同-20.6%と輸出が前年同月比でマイナスとなってお
中国輸出
り、輸出額は各国・地域の景気動向を反映した形となってい 40
ます。
20
どこに注目すべきか
季節要因、貿易黒字、中国輸入数量、人民元
中国の貿易統計で国内需要の大きさの目安である輸入の
減少幅が拡大したことは、中国経済の先行きに懸念を示唆
した面もあると思われますが、季節要因と商品価格の下落
が輸入の大幅減を加速させた面もあります。むしろ、今後の
中国の為替政策が注目ポイントと見ています。
中国の輸入が減少した特殊要因を2つあげます。
1つ目は、春節休暇前後の統計の変動です。中国の貿易統
計は季節調整前の数字であるため、毎年実施日が異なる
春節休暇も変動に影響を与えた可能性があり、来月以降も
含めて動向を判断する必要があると思われます。
2つ目は商品市場の下落による価格要因が想定以上に輸
入金額を押し下げた可能性があります。例えば、中国の原
油輸入量は数量ベースでは上昇傾向を維持しており、2015
0
-20
10年1月
11年1月
12年1月
13年1月
14年1月
15年1月
図表2:中国原油輸入数量(左軸)と金額(右軸)の推移
(月次、期間:2010年1月~2015年1月)
32
百万トン
10億米ドル 24
28
20
24
16
12
20
16
10年1月
11年1月
中国原油輸入数量(左軸)
中国原油輸入金額(右軸)
8
12年1月
13年1月
14年1月
15年1月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ピクテ投信投資顧問株式会社
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