Pictet Market Monthly

ご参考資料
ピクテ・マーケット・マンスリー 2016年2月発行
新興国ソブリン債券市場
Pictet Market Monthly
2016年1月の新興国ソブリン債券市場
図1: 新興国ソブリン債券と米国国債の価格推移
1月の市場概観
米ドルベース
1月の新興国ソブリン債券相場(JPモルガンEMBIグ
ローバル・ディバーシファイド指数)は、ドルベースで小
幅な下落となりました。(図1参照)
ドル建て新興国債券市場のベースとなる米国国債は、
中国など株式市場の下落、中東情勢の悪化、原油価
格の下落等によるリスクの高まりなどを背景にリスク回
避姿勢が強まったことや、米連邦準備制度理事会
(FRB)の利上げペースは緩やかとの観測が台頭した
ことで上昇(利回りは低下)しました。一方、米国国債と
新興国債券の利回り格差(スプレッド)は、原油価格の
下落傾向や、地政学リスクの高まりなどを背景に拡大
しました。そのため、ドル建て新興国債券市場はわず
かながら下落(利回りは上昇)しました。
JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数
にお ける 新 興国 ソ ブ リ ン債 券の 利 回り は 前月 末比
0.11%上昇し6.50%となりました。JPモルガンEMBIグ
ローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッドで
みた米国国債との利回り格差は0.48%拡大し4.63%と
なりました。(図2、3参照)
140
2011年1月末=100として指数化
130
120
110
100
新興国ソブリン債券
米国国債
90
80
11年1月
12年1月
13年1月
14年1月
15年1月
16年1月
図2: 新興国ソブリン債券と米国国債の利回り推移
6%
9%
新興国ソブリン債券(左軸)
米国国債(右軸)
8%
5%
7%
4%
6%
3%
5%
2%
4%
1%
0%
3%
11年1月
12年1月
13年1月
14年1月
15年1月
16年1月
図3: 新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差推移
8%
6%
4%
2%
※新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド
指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投
資顧問作成
ピクテ投信投資顧問株式会社
0%
11年1月
12年1月
13年1月
14年1月
15年1月
16年1月
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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新興国ソブリン債券市場
図5: 2016年1月 国別パフォーマンス
地域・国別動向
米ドルベース
地域別では、アジア、欧州が上昇した一方、中南米、ア
フリカ、中近東は下落しました。(図4参照)
国別では、34ヵ国が上昇し、30ヵ国が下落しました。
(図5参照)
ブラジルは同国の中央銀行が景気に配慮し市場予想
に反して政策金利を据え置いたことや対外収支の改善、
海外直接投資の伸びなどを背景に上昇しました。フィリ
ピンは実質GDP(国内総生産)の伸びが市場予想を上
回るなど経済の堅調さが好感され上昇しました。一方、
ベネズエラは原油価格の急落が懸念材料となり、大き
く下落しました。その他、アゼルバイジャンやガボンは
格付け会社による格下げが影響し下落しました。
主な格付けの変更
主な格付け(外貨建て長期債または発行体格付け)の
変更については、格付け会社のスタンダード&プアーズ
がアゼルバイジャンをBBB-からBB+に、ガボンをB+か
らBに、ポーランドをAからBBB+にそれぞれ格下げしま
した。
図4: 2016年1月 国別パフォーマンス
米ドルベース
アジア
1.3%
欧州
0.5%
新興国
-0.2%
中近東
-1.2%
中南米
-1.2%
アフリカ
-1.4%
-2%
-1%
0%
1%
2%
※地域・国別パフォーマンス:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシ
ファイド地域・国別指数
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投
資顧問作成
ピクテ投信投資顧問株式会社
ブラジル
フィリピン
ウクライナ
クロアチア
ボリビア
チリ
ナイジェリア
マレーシア
ケニア
インドネシア
中国
南アフリカ
スロバキア
トルコ
パラグアイ
モロッコ
リトアニア
ルーマニア
インド
セネガル
ベラルーシ
タンザニア
ベトナム
パナマ
ペルー
ロシア
コスタリカ
ハンガリー
ナミビア
ジャマイカ
アルメニア
ポーランド
ジョージア
ヨルダン
セルビア
ラトビア
ウルグアイ
新興国
パキスタン
スリランカ
レバノン
メキシコ
エジプト
グアテマラ
トリニダードトバゴ
コートジボワール
エチオピア
カザフスタン
アルゼンチン
ホンジュラス
コロンビア
ドミニカ
ガボン共和国
チュニジア
アゼルバイジャン
エルサルバドル
モザンビーク
イラク
モンゴル
エクアドル
アンゴラ
ガーナ
ベリーズ
ザンビア
ベネズエラ -14.7%
-20%
3.1%
2.9%
2.5%
2.3%
2.2%
1.9%
1.8%
1.8%
1.7%
1.6%
1.6%
1.5%
1.3%
1.2%
1.2%
1.1%
0.9%
0.9%
0.8%
0.8%
0.8%
0.7%
0.5%
0.5%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
-0.1%
-0.1%
-0.2%
-0.2%
-0.4%
-0.4%
-0.5%
-0.7%
-0.9%
-1.1%
-1.4%
-1.7%
-1.7%
-1.8%
-1.8%
-1.8%
-1.9%
-2.8%
-3.2%
-3.3%
-4.2%
-5.2%
-5.6%
-5.9%
-6.1%
-6.2%
-6.6%
-7.2%
-7.6%
-9.3%
-15%
-10%
-5%
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Pictet Market Monthly
新興国ソブリン債券市場
為替
ドル・円為替市場は、前月末比26銭円安・ドル高の120
円87銭となりました。ドル・円為替市場は月初、中国な
ど株式市場の下落、中東情勢の悪化、原油価格の下
落等によるリスクの高まりなどを背景にリスク回避姿勢
が強まったこと、米国の住宅着工など一部の指標が市
場予想を下回ったことで利上げペースは緩やかとの観
測が台頭したため円高・ドル安が進行しました。しかし、
月末に日銀が市場予想に反してマイナス金利を柱とす
るマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入を公表
したため急激に円安・ドル高に転じました。結局、月を
通してみると円安・ドル高となりました。
図6: 新興国ソブリン債券価格(円換算)と円/米ドル指数
の推移
220
200
2011年1月末=100として指数化
180
160
140
120
100
新興国ソブリン債券
円/米ドル
80
60
11年1月
12年1月
13年1月
14年1月
15年1月
16年1月
ご参考: 債券価格、為替、利回り動向
2016年 1月 29日
今後の新興国ソブリン債券市場見通し
中長期的には、新興国ソブリン債券市場は政府債務
残高(対GDP比)の水準が先進諸国に比べ低く、相対
的に健全な国が多いことや、新興国の潜在的な成長
力の高さから機関投資家の投資拡大が見込まれるこ
と、通貨が下落したことにより輸出競争力の回復が期
待できることなどを背景に、投資先として魅力が高いと
見ています。
短期的にも、米国金利が安定的、もしくは緩やかに上
昇する環境では、他の高格付けスプレッド資産に比べ
てスプレッドの縮小余地があることは市場の好材料と
なる可能性があります。一方、米国金利が急上昇すれ
ば、新興国ソブリン債券市場全体の上値が一時的に
抑えられる可能性があります。また中国経済の減速や
資源価格の低迷なども大きな懸念材料となる可能性が
あり注意が必要です。しかし、そのような場合であって
も、新興国の堅実な財政・経済運営が次第に評価され
影響は緩和されていくと思われます。ただし、すでに市
場で見られるように、今後は新興国の中でも、国によっ
てリターン格差が生じてくる展開が続くものと想定して
います。
(※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変
更される場合があります。)
価格変動率(円換算、前月末比)
変動率
0.0%
新興国ソブリン債券
米国国債
2.4%
世界国債
1.7%
ユーロ国債
2.2%
日本国債
1.5%
ドル
ユーロ
120.87円 ( 0.26円)
132.17円 ( 0.40円)
0.2%
0.3%
利回り変動幅(前月末比)
新興国ソブリン債券
利回り
6.50%
変動幅
0.11%
米国国債
1.99%
-0.31%
世界国債
1.33%
-0.25%
ユーロ国債
1.00%
-0.24%
日本国債
0.52%
-0.15%
新興国ソブリン債券と米国国債の
4.63%
利回り格差
0.48%
※新興国ソブリン債券:JPモルガンEMBIグローバル・ディバーシファイド
指数、米国国債:JPモルガン米国国債指数、世界国債: JPモルガン世界
国債指数、ユーロ国債: JPモルガンEMU国債指数、日本国債: JPモルガ
ン日本国債指数、新興国ソブリン債券と米国国債の利回り格差:JPモル
ガンEMBIグローバル・ディバーシファイド指数ソブリン・スプレッド
※為替は、対顧客電信売買相場の仲値
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投
資顧問作成
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会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。
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