インドネシア中銀の米国利上げ後の行動

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アジア
2016年1月15日
インドネシア中銀の米国利上げ後の行動
ルピアの動向次第(安定)では利下げも選択肢と見られていたインドネシア中銀は2015年12月に米国が利上げの開
始を決定した後もルピア安進行が見られなかったことなどを受け、今後は利下げ路線に舵を切った模様です。
インドネシア中銀:政策金利を7.50%から0.25%
引下げ7.25%へ-経済成長重視
インドネシア中央銀行は2016年1月14日、政策金利のBIレー
トを7.50%から7.25%へと0.25%引き下げました(図表1参照)。ま
た、翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)も5.50%から5.25%
に、貸出ファシリティー金利も8.00%から7.75%にそれぞれ引き
下げました。事前の市場予想では、引き続きルピア安を懸念
して据え置きとするか、成長を重視しての利下げに舵を切る
かで見方が分かれていました。
インドネシア中銀は2015年10月の政策会合以降、金融緩和
の可能性を示唆してきましたが、一方で米連邦準備制度理
事会(FRB)の利上げ再開により資本流出が起こり、ルピア
安が進行することを懸念して利下げを見送ってきました。
次にルピアの安定です。米国利上げ後のルピアの水準と現在
を比べると、この間には中国など新興国市場の混乱に直面し
たにもかかわらず、ルピアは安定しています。インドネシアの
2015年低成長だった主な背景はルピア安抑制のため高い政
策金利を維持したためと思われます。
3点目は国際収支の改善期待です。一般は金利低下では通
貨安が懸念されます。しかし、インドネシア中銀は海外からの
投資の増加を見込んでおり、資本取引の増加を中心に国際
収支は2016年後半に改善すると予想しているなど、海外から
の投資がルピアの支援材料となる可能性を示唆しています。
米国の利上げに合わせて利上げを実施する新興国が多い
中、インドネシアの動きに注目しています。
図表1:インドネシアの主な政策金利とGDPの推移
(日次、期間:2013年1月14日~2016年1月14日、GDPは四半期)
どこに注目すべきか:
ルピア動向、インフレ目標、資本取引
ピクテ投信投資顧問株式会社
%
6.0
5.5
5.0
主要政策金利(左軸)
FASBI(左軸)
GDP(前年同期比、右軸)
14年1月
15年1月
4.5
4.0
16年1月
図表2:インドネシア・ルピア(対ドル)とCPIの推移
(日次、期間:2013年1月14日~2016年1月14日、CPIは月次)
15,000 ルピア/ドル
14,000
安 ルピア 高
今日のヘッドライン「2015年12月2日号」で、今後のルピアの
動向次第ではインドネシア中銀が利下げに動く可能性を示唆
しました。2015年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で
利上げが決定された後もルピア安進行が見られなかったこと
で、インドネシア中銀は利下げを決定し、今後もルピア次第
ながら成長にも配慮した政策運営を維持する見込みです。
まず、インドネシア経済と金融政策を振り返ると、GDP(国内
総生産)成長率は2014年頃から軟調なものの、インドネシア
中銀は金融政策による景気の下支えに消極的でした(図表1
参照)。理由はルピア安懸念と、それに伴う輸入価格の上昇
などを受け消費者物価指数(CPI)がインフレ目標上限(5%)を
超える局面も見られたためと思われます(図表2参照)。
しかし次の点に注目すると、インドネシア中銀は2016年、ルピ
ア次第ながら、金融緩和姿勢を維持する可能性もあります。
1点目は、インフレ率の低下です。12月のCPIは前年同月比
3.35%と目標の下限近くまで低下しています。インドネシア中
銀は声明でインフレ見通しについて、2016年のみならず2017
年も目標の範囲に止まるとの見通しを示しています。
8
%
7
6
5
4
3
13年1月
13,000
上限
=5%
12,000
インフレ目標
=4%
11,000
10,000
9,000
13年1月
9
8
7
12月
6
3.35%
5
4
ルピア(対ドル、左軸)
3
CPI(前年同月比、右軸)
2
15年1月
16年1月
%
下限=3%
14年1月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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